公開シンポジウム「パレスチナ問題を通して考える教育の可能性と課題」

INFORMATION

  • 2025年10月4日(土)14:00~17:00
  • 池袋キャンパス 14号館3階 D301教室

パレスチナ問題は、植民地主義やジェノサイド、宗教的・政治的対立など、複雑に絡み合う構造的暴力の縮図として存在している。イスラエル軍によるガザ地区への攻撃は激しさを増し、多くのパレスチナ難民が生命を脅かされ続けている。イスラエル軍の攻撃はパレスチナ難民が暮らす隣国シリアやレバノンへ拡大し、イスラエルとパレスチナの民族的、宗教的、政治的対立は混迷を極めている。ガザ地区への無差別攻撃や軍事侵攻、それらに対する欧米諸国の政治的発言に関する報道を通じて、断片的にではあるものの、私たちもパレスチナ問題の深刻さ、複雑さを知ることができる。

しかし、パレスチナ問題の歴史的経緯や「ナクバ」と呼ばれる暴力的な出来事を、リアリティをもって理解することは必ずしも容易ではない。宗教、民族、政治が幾重にも絡み合い、絶え間なく生み出される暴力の連鎖は、パレスチナ問題への私たちの理解をより困難にしているといえよう。

だが、私たちは、パレスチナに関わって生きる他者を理解する努力を止めてはならない。今、排他主義へと傾斜する世界情勢にあって、異質な他者との共生をいかにして実現していくかが問われている。教育には、そこで暮らす人々の生活様式の伝承と、彼らが大切にするものを後世世代に伝達する役割がある。異なる文化や価値観をもつ他者をいかに理解し、共生社会をつくることができるのかという困難な課題に対し、教育はどのように応えたらよいのだろうか。本シンポジウムでは、パレスチナ問題に詳しい研究者、実践者と紛争課題や地域課題に取り組む研究者を招き、教育の可能性と課題について検討する。

鈴木啓之氏にはパレスチナ問題の歴史的経緯と現状の課題を、金子由佳氏にはガザ地区や西岸地区での支援活動を通じた紛争解決の試みを話していただく。山﨑瑛莉氏にはアフリカ地域での教育開発について話していただく。パレスチナとアフリカ、それぞれの地域が抱える歴史的・政治的課題を踏まえたうえで、教育の果たす可能性と課題について話し合いたい。

講師

講師

東京大学大学院総合文化研究科特任准教授
鈴木 啓之(すずき ひろゆき) 氏

2010年3月に東京外国語大学外国語学部卒業、2015年5月に東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学、日本学術振興会特別研究員PD、2019年9月より現職。博士(学術)。「蜂起〈インティファーダ〉: 占領下のパレスチナ 1967-1993」(東京大学出版会、2020)、「パレスチナ/イスラエルの〈いま〉を知るための24章」(明石書店、2024)ほか、パレスチナ問題をめぐる著書・論文を多数執筆。

国際NGO・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部アジア中東チームプログラムオフィサー/気候変動問題リード、本学兼任講師
金子 由佳(かねこ ゆか) 氏

2003年恵泉女学園大学国際社会文化学科を卒業後、難民支援NGOやODA実施機関で勤務。2011年にオーストラリア・クイーンズランド大学大学院国際政治学修士課程を修了。2012年からNGO職員としてエルサレム事務所・ガザ事業担当として現地赴任。2018年からは日本赤十字社レバノン派遣要員。現在、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでシリアおよびガザ開発・緊急支援事業担当。2019年から本学兼任講師として「パレスチナ問題の歴史と現在」を担当。

上智大学学事局Sophia Future Design Platform 推進室University Education Administrator、本学兼任講師
山﨑 瑛莉(やまざき えり) 氏

本学大学院文学研究科教育学専攻博士課程前期課程修了後、本学ESD研究センター研究員、東京大学大学院教育学研究科特任研究員、上智大学グローバル教育センター特任助教等を経て、2023年10月より現職。開発教育・比較教育学におけるアフリカ地域における教育に関わる研究を行う。主な著作に「コロナ禍における南アフリカ共和国の教育」(比較教育学研究、2021)、「南アフリカにおけるサービスラーニング」(比較教育学研究、2019)など。

企画趣旨説明・司会進行

東京未来大学こども心理学部准教授、本学兼任講師
越川 葉子(こしかわ ようこ) 氏

本学大学院文学研究科教育学専攻博士課程後期課程単位取得退学後、本学文学部教育学科助手、秋草学園短期大学地域保育学科専任教員を経て、2019年より現職。専門は教育社会学。主な著作に「囚われのいじめ問題」(共著)(岩波書店、2021)、「『いじめ問題』にみる生徒間トラブルと学校の対応」(教育社会学研究、2017)など。

開会・閉会挨拶

立教大学教育学会会長、本学文学部教育学科特別専任教授
石黒 広昭(いしぐろ ひろあき) 氏

本学文学部教育学科特別専任教授、博士(教育学)。専門は教育心理学・発達心理学、著書にArts-Based Methods in Education Research in Japan (Brill, 2022)、「街に出る劇場:社会的包摂活動としての演劇と教育」(新曜社、2018)、「子どもたちは教室で何を学ぶのか(東京大学出版会、2016)」など多数。

詳細情報

名称

公開シンポジウム「パレスチナ問題を通して考える教育の可能性と課題」

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 必要
  • 参加費 無料

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主催

立教大学教育学会

共催

文学部教育学科、大学院文学研究科教育学専攻

お問い合わせ

立教大学教育学会事務局

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