公開講座「『私の先祖はさすらいのアラム人でした!』(申命記26章5節)——古代イスラエルの歴史と旧約聖書文学の形成」(“A Wandering Aramean was my Father!”(Deut 26:5): The History of Ancient Israel and the Formation of Old Testament Literature)
INFORMATION
1938年にゲルハルト・フォン・ラートが申命記26章1-11節を「歴史的小信仰告白」と呼んで以来、「さすらいのアラム人」という著名な句は旧約聖書に保存された最も古い記憶の一つと考えられてきた。本講演では、古代イスラエル史が旧約聖書文学に貢献する新たな知見を紹介する。フォン・ラートのアプローチの背景を簡単に紹介した後、ペルシア時代に焦点を当てる。本講演は、ペルシア人の支配下においては、古代西アジアにおいて「ユダヤ教」の明白な諸形態が存在していなかったのみならず、これら諸形態が旧約聖書文学へとつながる種々のアイデンティティ概念へと導いていったことを示す。
講師
ベルリン・フンボルト大学神学部教授
ベルント・シッパー 氏
1968年生まれ。1999年、ボン大学神学部にて神学博士号を取得。ボン大学助手、ブレーメン大学教授などを経て、2010年よりベルリン・フンボルト大学神学部教授。
単著:Geschichte Israels in der Antike, München 2018(『古代イスラエル史』教文館、2024); Proverbs 1-15, Minneapolis 2019; The Hermeneutics of Torah. Proverbs 2, Deuteronomy, and the Composition of Proverbs 1-9, Atlanta 2021. 共編著:Fifty Years of Wisdom. Gerhard von Rad and the Study of the Wisdom Literature, Atlanta 2022; New Perspectives on Proverbial Wisdom - Studies on Prov 10:1-22:16, Tübingen 2024 など。