公開シンポジウム「戦後日本におけるフランス文学受容とその社会的インパクト 鈴木道彦の足跡をとおして」
INFORMATION
昨年11月11日に逝去したフランス文学者鈴木道彦は、プルーストの長篇小説『失われた時を求めて』の個人全訳や、哲学者・作家サルトルの翻訳紹介などによって知られるが、その業績は戦後日本におけるフランス文学受容の核のひとつをなしています。それまで長大で難解とされてきたプルーストの小説を平明に訳し、一般読者に知らしめた功績はもとより、フランス文学の持つ社会的な側面を体現した人物です。
本シンポジウムでは、生前に鈴木道彦と交流のあった研究者から、影響を受けた若手まで他分野の研究者を集め、鈴木の仕事を通して、1960年代から現在までのフランス文学の日本における受容を検討します。
講師
フランス文学者
海老坂 武(えびさか たけし) 氏
フランス文学者、著述家。専門はフランス文学。著書に、『サルトル「人間」の思想の可能性』(岩波新書、2025)、『フランツ・ファノン』(みすず書房、2006)、『戦争文化と愛国心-非戦を考える』(みすず書房、2018)など多数。
京都大学名誉教授
吉川 一義(よしかわ かずよし) 氏
専門はフランス文学。著書に、『プルースト美術館『失われた時を求めて』の画家たち』(筑摩書房、1998)、訳書にプルースト『失われた時を求めて』(岩波文庫、2010-2019、全14巻、日仏翻訳文学賞特別賞)など多数。
一橋大学名誉教授
中野 知律(なかの ちず) 氏
専門はフランス文学。『プルーストと創造の時間』(名古屋大学出版会、2013)、訳書にクリステヴァ『プルースト 感じられる時』(筑摩書房、1998、渋沢・クローデル賞)など。
法政大学教授
竹本 研史(たけもと けんじ) 氏
専門はフランス文学。著書に『サルトル「特異的普遍」の哲学:個人の実践と全体化の論理』(法政大学出版局、2024)など。
早稲田大学教授
中村 隆之(なかむら たかゆき) 氏
専門はフランス文学、黒人文化。著書に、『環大西洋政治詩学:二〇世紀ブラック・カルチャーの水脈』(人文書院、2022)、『ブラック・カルチャー──大西洋を旅する声と音』(岩波新書、2025)など多数。
明治大学教授
合田 正人(ごうだ まさと) 氏
専門はフランス哲学。著書に『ジャンケレヴィッチ—境界のラプソディー』(みすず書房、2003)、『レヴィナスを読む——〈異常な日常〉の思想(ちくま学芸文庫、2011)など多数。
一橋大学名誉教授
鵜飼 哲(うかい さとし) 氏
専門はフランス文学。著書に、『ジャッキー・デリダの墓』(みすず書房、2003)、『いくつもの砂漠、いくつもの夜——災厄の時代の喪と批評』(みすず書房、2023)など多数。
東京都立大学講師
永野 潤(ながの じゅん) 氏
専門はフランス哲学。著書に『哲学のモンダイ』(白澤社、2011)、『図説 あらすじでわかる!サルトルの知恵(青春新書インテリジェンス、2011)など。
國學院大學講師
小林 成彬(こばやし なりあき) 氏
専門はフランス文学・思想。共著書に、Sartre and the International Impact of Existentialism (Palgrave Macmillan, 2020)、『竹内芳郎 その思想と時代』(閏月社、2023)など。
本学名誉教授
澤田 直(さわだ なお)
専門はフランス文学。著書に『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』(集英社、2023年、読売文学賞)、編著に『サルトル読本』(法政大学出版局、2015)、訳書にサルトル『言葉』(人文書院、2003)など多数。
詳細情報
名称
内容
・13:00~13:10 開会の辞/趣旨説明 澤田
・13:10~14:00 基調講演
海老坂 氏、吉川 氏
・14:00~15:30 「プルースト、サルトル、第三世界」
中野 氏、竹本 氏、中村 氏
・15:30~16:00 休憩
・16:00~17:40 「戦後の世界・日本とフランス文学」
合田 氏、鵜飼 氏、永野 氏、小林 氏、澤田
・17:40〜18:20 全体討議
・18:20 閉会の辞