公開講演会「パラグアイにおける言語政策と先住民教育—異文化間複言語教育をめぐる課題—」
INFORMATION
パラグアイは、旧宗主国言語であるスペイン語と土着言語であるグアラニー語を憲法で公用語と定め、それら二言語の併用に基づく教育改革を展開してきた。周辺諸国の例のように、一部の住民(先住民・移民等)のみを対象とするのではなく、全国民のバイリンガル化を目指し推進してきたところに特異性がある。しかしその一方で、現存する19の先住民族諸語の中でのグアラニー語の威信言語化という現象も生じている。「複文化・二言語国家」を憲法に謳うパラグアイを事例として、子どもたちの母語を重視する教育の展開に着目し、多様な民族の自律的統合を実現するには、いかなる言語文化政策や教育改革が求められるのかに関し、主として異文化間複言語教育の観点から考察する。
講師
南山大学外国語学部スペイン・ラテンアメリカ学科教授、大学院国際地域文化研究科博士後期課程研究指導担当教員
牛田 千鶴(うしだ ちづる) 氏
鈴鹿国際大学助教授、カリフォルニア大学デーヴィス校教育学部客員研究員、南山大学助教授・准教授、プリンストン大学人口動態研究所客員研究員(フルブライト研究員プログラム)等を経て2009年4月より現職。著書に『ラテンアメリカ現代史III—メキシコ・中米・カリブ海地域—』(共著、2006年、山川出版社)、『ラテンアメリカの教育改革』(編著、2007年、行路社)、『ラティーノのエスニシティとバイリンガル教育』(単著、2010年、明石書店)、『アウトカムに基づく大学教育の質保証—チューニングとアセスメントにみる世界の動向—』(共著、2015年、東信堂)、『ラテンアメリカ—地球規模課題の実践—』(共著、2021年、新評論)、論文に「パラグアイにおける教育改革の理念とバイリンガル教育の実践」(2023年、『多文化共生研究年報』第20号)、他多数。