公開シンポジウム「『華岡青洲の妻』の継承と新生——松竹と文学座の競演」

INFORMATION

  • 2025年6月15日(日)14:00~16:00(開場 13:30)
  • 池袋キャンパス 14号館3階 D301教室

有吉佐和子の代表作『華岡青洲の妻』を、2025年、松竹(7~8月、齋藤雅文演出)と文学座(10~12月、鵜山仁演出)が上演する。医学者・華岡青洲を中心に、その母と妻の「嫁姑問題」を描いた同作は『新潮』1966年11月号に掲載され、翌年に新潮社が書籍化。第6回女流文学賞を受賞した。小説の人気とともに、しばしば映像化され、有吉自身が脚色した舞台は、1967年の芸術座での初演を皮切りに文学座、新派、東宝等が上演を重ね、とくに母・於継は、文学座の杉村春子の当たり役となった。

文学座、新派、歌舞伎が共演する時代もあった『華岡青洲の妻』は、近代日本演劇——ことに新派と新劇の結節点としても考えることができる。作品および技芸の継承は、ジャンルをこえて次代への課題を浮き彫りにするだろう。松竹と文学座の競演を通して何がみえてくるのか。2025年に上演される二つの『華岡青洲の妻』から、日本演劇がつないできたものと新たな作品のかたちを探ってみたい。

講師

俳優、劇団新派
波乃 久里子(なみの くりこ) 氏

1945年神奈川県生まれ。父は十七代目中村勘三郎、母は六代目尾上菊五郎の長女久枝。弟は十八代目中村勘三郎。1950年「十七世中村勘三郎襲名披露新春大歌舞伎」で初舞台。1961年に『婦系図』の妙子役で劇団新派に参加し翌年入団。初代水谷八重子に師事。舞台のみならず映画、テレビといった幅広いジャンルで活躍を続け、芸歴70年を超えても芝居に対する真摯な姿勢を持ち続けている。2021年に主演した『太夫さん』で劇団新派が令和3年度文化庁芸術祭大賞を受賞。2025年7~8月に『華岡青洲の妻』で於継を演じる。

劇作家、演出家、劇団新派文芸部
齋藤 雅文(さいとう まさふみ) 氏

1954年東京都生まれ。1980年に松竹傘下の劇団新派文芸部に入る。新派の他、歌舞伎や新劇、ミュージカルなど、商業演劇を中心に幅広いジャンルの脚本・演出を手がける。劇団新派では近年『糸桜—黙阿弥家の人々—』、江戸川乱歩原作『黒蜥蜴』や横溝正史原作『犬神家の一族』『八つ墓村』などの脚色・演出を担当。『恋ぶみ屋一葉』で第2回読売演劇大賞最優秀作品賞(1994年)、『竜馬がゆく立志篇』で大谷竹次郎賞(2007年)を受賞。コロナ禍の渦中で演劇ユニット「新派の子」を立ち上げ、独自の活動も展開している。2025年7~8月に『華岡青洲の妻』で演出を担当。

俳優、文学座演技部
小野 洋子(おの ようこ) 氏

北海道生まれ。1975年文学座附属演劇研究所入所、1977年『飢餓海峡』にて初舞台を踏む。1980年に座員となり、現在に至る。主な出演作に『出雲の阿国』、『唐人お吉ものがたり』、『好色一代女』、『わが町』、『聖なる炎』など多数。声優としても活躍しており、韓国ドラマ『冬のソナタ』(カン・ミヒ役/ソン・オクスク)、『宮廷女官チャングムの誓い』(ハン・ペギョン役/ヤン・ミギョン)の日本語吹替え版などを担当している。2025年10月、文学座本公演『華岡青洲の妻』で於継を演じる。

演出家、文学座演出部
鵜山 仁(うやま ひとし) 氏

1953年生まれ。慶應義塾大学仏文科卒業。文学座附属演劇研究所入所(17期)。1982年文学座アトリエの会『プラハ1975』で初演出。座内外で幅広く活動し、日本演劇界を牽引してきた。シェイクピア作品も数多く手がけ、2010年『ヘンリー六世』(新国立劇場)で読売演劇大賞最優秀演出家賞と芸術選奨文部科学大臣賞、2020年『リチャード二世』の演出と新国立劇場でのシェイクスピア歴史劇シリーズ完結で毎日芸術賞最優秀演出家賞、他受賞多数。2020年紫綬褒章受章。2025年10月、文学座本公演『華岡青洲の妻』で演出を担当。

本学文学部文学科日本文学専修教授、江戸川乱歩記念大衆文化研究センター長
金子 明雄(かねこ あきお)

研究領域は近現代日本文学。具体的なテーマとしては、①明治30年代から大正期におけるメディア状況と文学、②家庭小説の読者論的研究、③芸術としての文学ジャンルの成立期の文学史的研究、④物語論を中心とする文学理論および小説の方法論、⑤現代小説と現代の文化状況の関連性、など。

文学座文芸編集室、本学兼任講師、江戸川乱歩記念大衆文化研究センター特定課題研究員
後藤 隆基(ごとう りゅうき) 氏

1981年静岡県生まれ。本学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。専門は近現代日本演劇・文学・文化。著書に『高安月郊研究:明治期京阪演劇の革新者』(晃洋書房、2018)、『乱歩を探して』(立教学院、2024)、編著に『ロスト・イン・パンデミック:失われた演劇と新たな表現の地平』(春陽堂書店、2021)、『小劇場演劇とは何か』(ひつじ書房、2022)ほか。

詳細情報

名称

公開シンポジウム「『華岡青洲の妻』の継承と新生——松竹と文学座の競演」

内容

①開会挨拶:金子明雄
②小説としての『華岡青洲の妻』:金子明雄
③『華岡青洲の妻』の上演史:後藤隆基氏
休憩
④ディスカッション 『華岡青洲の妻』の継承と新生:波乃久里子氏、小野洋子氏、齋藤雅文氏、鵜山仁氏、後藤隆基氏

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 必要
  • 参加費 無料

【定員】
200名

以下のWebサイトよりお申込みください。

主催

江戸川乱歩記念大衆文化研究センター

共催

科学研究費助成事業基盤研究(C)「近代日本演劇成立期の基礎的研究—新興演劇と政治小説の関係を中心に—」(代表・後藤隆基/24K03477)

協力

松竹株式会社、株式会社文学座

備考

お問い合わせ

江戸川乱歩記念大衆文化研究センター

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