公開講演会「ジェノサイド後の分断社会における和解と共生の可能性と不可能性—スレブレニツァを事例に、『犠牲者意識ナショナリズム』の視点から」

INFORMATION

  • 2023年2月28日(火)14:00~17:00
  • ハイブリッド型開催(対面・オンライン)
    池袋キャンパス 8号館1階 8101教室

1995年7月ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争末期に、スレブレニツァ近郊で発生したセルビア人勢力によるイスラム教徒の成人男性に対する集団殺害事件は、凄惨なボスニア紛争の中でも、国際刑事・国際司法裁判所(ICTY,ICJ)から、唯一「ジェノサイド」として認定された象徴的な事件です。ウクライナ戦争においても、同国防省がブチャの惨劇を前に「新たなスレブレニツァ」と公式SNSで発信したことでも知られます。

本シンポジウムは、科研費基盤研究(C)「ジェノサイド後の分断社会における和解と共生の可能性—スレブレニツァを事例に」(20K12332研究代表者:長 有紀枝)の総括として、昨年『犠牲者意識ナショナリズム』の邦訳版を出版した林 志弦(イム・ジヒョン)韓国・西江大学教授をお招きし、ポスト・ユーゴ地域を専門とするロンドン大学のドラゴヴィチ=ソーソ教授をはじめ内外の専門家、研究者とともに、ジェノサイド後の分断社会の和解や共生、記憶の政治について多角的に検討するものです。(日英同時通訳付)

講師

基調講演

韓国・西江大学教授、同トランスナショナル人文学研究所長
林 志弦(イム・ジヒョン) 氏

西江大学博士(西洋史学)。韓国・漢陽大学教授、同大学比較歴史文化研究所長などを経て2015年から現職。専門は、ポーランド近現代史、トランスナショナル・ヒストリー。ワルシャワ大学、ハーバード・イェンチン研究所、国際日本文化研究センター、一橋大学、ベルリン高等学術研究所、パリ第2大学、コロンビア大学などで在外研究と講義を重ね、各国の研究者と共にグローバル・ヒストリーという観点から自国中心の歴史を批判。現在は、記憶の研究に重点を移し、東アジアの歴史和解を模索している。主な著書に『犠牲者意識ナショナリズム国境を超える「記憶」の戦争』(澤田克己訳・東洋経済新報社、2022年) Global Easts: Remembering Imagining, Mobilizing (Columbia University Press, 2022)他多数。

英国・ロンドン大学ゴールドスミス校政治国際関係学部教授
ヤスナ・ドラゴヴィチ=ソーソ(Jasna Dragović-Soso) 氏

ジュネーブ国際開発大学院にて博士号(国際関係・歴史と国際政治)。専門は国際関係と政治学。旧ユーゴスラヴィアおよびポスト・ユーゴ地域の記憶の政治、移行期正義、ナショナリズム、国家の解体と国際社会の介入について著作多数。Palgrave社の「記憶の政治と移行期正義シリーズ」全15巻の共編者。

Professor Jasna Dragović-Soso

国際協力機構(JICA)国際協力専門員・平和構築担当
橋本 敬市(はしもと けいいち) 氏

大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程修了(国際公共政策博士)。新聞記者、在オーストリア日本大使館専門調査員、上級代表事務所(OHR)政治顧問を経て、2002年より現職。主な著作に「“共存”の政治風土は醸成され得るのか」長有紀枝編著『スレブレニツァ・ジェノサイド 25年目の教訓と課題』(東信堂2020)「ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける和平プロセス—国際社会による強権的介入」(『国際問題』2003年7月)など。

京都産業大学国際関係学部教授
クロス 京子(くろす きょうこ) 氏

神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程修了。博士(政治学)。立命館大学立命館グローバルイノベーション研究機構専門研究員を経て2019年より京都産業大学准教授、2022年より現職。主な著書に『移行期正義と和解—規範の多系的伝播・受容過程』(有信堂高文社、2016年)、主な論文に「東ティモール-国連と政府のせめぎあいから生まれた国家建設の方向性」『ハイブリッドな国家建設—自由主義と現地重視の狭間で』(ナカニシヤ出版 2019)、「平和構築と正義の課題」『安定を模索するアフリカ』(ミネルバ書房 2017)ほか多数。

本学大学院21世紀社会デザイン研究科、社会学部教授
長 有紀枝

詳細情報

名称

公開講演会「ジェノサイド後の分断社会における和解と共生の可能性と不可能性—スレブレニツァを事例に、『犠牲者意識ナショナリズム』の視点から」

内容

14:00 開会
14:05~15:00【基調講演】
林志弦 氏「犠牲者意識ナショナリズムを超えて」
(休憩 15:00~15:10)
15:10 ~17:00【パネルセッション】
“Srebrenica and ‘coming to terms with the past’ in the post-Yugoslav region” ヤスナ・ドラゴヴィチ=ソーソ氏 
「スレブレニツァをめぐる記憶の戦争」長有紀枝
「2021年7月の上級代表(OHR)によるジェノサイド否定を処罰するボスニア刑法改正とその背景」橋本敬市 氏
「誰が正当な『被害者』かー補償をめぐる分断と政治化」クロス京子 氏
コメント:林 志弦 氏
会場との質疑
17:00 閉会

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 必要
  • 参加費 無料

以下のwebサイトよりお申し込みください。

主催

21世紀社会デザイン研究科、社会デザイン研究所

協力

特定非営利活動法人難民を助ける会(AAR Japan)、科研費基盤研究(B)「旧ユーゴスラヴィア地域における民族を超えた文化の学際的研究:紛争後30年を経て」(21H03710 研究代表者 神田外語大学鈴木健太)

備考

お問い合わせ

スレブレニツァシンポジウム事務局(長研究室)

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