公開講演会「現代社会の諸問題への文学からのアプローチ」

INFORMATION

  • 2019年10月4日(金)18:30~21:00
  • 池袋キャンパス 12号館地下1階 第1・2会議室

現代社会の諸問題を、文学テキストからアプローチする。ひとつには19世紀、アーダルベルト・シュティフターのユートピア的短編小説でテーマとされた問題が現代社会の中でどのような位置づけがなされているかを検証し、もうひとつには同時代の小説から、移民という問題が、文学テキストとして詩的にどのような技術と構造をもって描かれているかを検証し、一般的な社会問題を文学がどのように文学特有に扱うか、そのモデル構築を試みる。

講師

ドイツ・ボン大学助教
ヤーナ・シュスター(Jana Schuster) 氏

1977年生まれ。ミュンヘン大学にてドイツ文学および歴史学専攻。ギムナジウム教員資格取得。
2003-2005年ミュンヘン大学助手。
2009年ベルリン自由大学にて博士号取得(『空間の方向転換。ライナー・マリア・リルケの動きの詩学』(2009年))。
2011-2012年ベルリン・フンボルト大学ポスドクプロジェクト「文学知」メンバー。
2013-2014年ベルリン・フンボルト大学および自由大学ポスドクプロジェクト「文学研究フリードリヒ・シュレーゲル文学研究会」メンバー。
2014年夏学期フンボルト大学ドイツ文学専攻兼任講師、2014年秋学期から現職。

抒情詩、知識と文学、時間・空間・移動の美学、文学と造形芸術、音楽と舞踊などを研究重点とする。上記博士論文単行本のほか、「温厚な庭師、またはアーダルベルト・シュティフターにおける生物・地理的語り」(2019)、「移動的なものの賛美。リルケと近代舞踊」(2018)、「‘事物’とことばの連動。ラトゥールとシュティフターにおける不浄化」(2018)、「「黙示録的生成。リルケの『マルテの手記』について」(2017)、「‘光の幕’。シュティフターの宇宙空間について」(2017)、「生命の素材。「‘舞踊像’としてのソネット。ライナー・マリア・リルケの舞踊演出的ソネット美学」(2012)、「オルフェウス的反響。リチャード・ディーコンのスケッチ集『It's Orpheus When There's Singing』とライナー・マリア・リルケの聴くことの美学」(2009)、「‘聴覚の中の神殿’。音響詩の独自運動性について。ライナー・マリア・リルケの『オルフェウスに寄せるソネット第一ソネットを例に』(2007)など論文多数。

ドイツ・ボン大学助教
アンドレア・シュッテ(Andrea Schütte) 氏

1972年生まれ。
2003年ボン大学にて博士号取得。
2007年よりボン大学助教。
2018年教授資格取得(Habilitation)。

「キュウリサラダ付き馬の餌。アレクサンダー・クルーゲの映画における戦争イメージに対する笑い」(2018)、「逃げるテキスト。ドロテー・エルミガーの小説『夢遊者』における逃亡と移民」(2018)、「送信—喧噪—殴打。西暦2000年頃の現代文学におけるメッセージ」(2016)、「クロアチア女性作家ドゥブラフカ・ウグレジッチとの空想的インタビュー」(2014)、「ペーター・ハントケの弁護の文学」(2014)、「戦争裁判。グローバルな文脈における戦争犯罪の文学的提示と法律的処置」(共著、2014)、「穴と小さな穴。イェニー・エルペンベックの小説『すべての日々の晩』」(2013)、『余地』(共著論集、2013)、「バッフ!テレツィア・モラの小説『すべての日々』における強烈さ」(2013)、「体およびテキスト体における戦争(後)。イヴァナ・サイコの小説リオ・バー」(2013)、「愛を顧慮および計量すること。マルティン・ヴァルザーの『逃亡する馬』およびカーレン・ドゥーヴェの『これは愛の歌ではない』における恋愛関係について」(2013)、「戦争とドタバタ喜劇。ボスニア戦争の文学的描写における制御と制御喪失」(2012)、「放物線。サーシャ・スタニジッチの『いかに兵士が蓄音機を修理するか』における限界状況」(2010)、『神学者の罠の中で。解体の魅力について』(2006)、「Nāsus, ī (m.) —鼻。図像における知識人の自己演出」(2005)、「聖なるソクラテスよ、私たちのために祈って!—シミュレーションと活版印刷」(共著、2005)、『19世紀におけるヤーコプ・ブルクハルトと美学的秩序』(2004)、など論文多数。

通訳

早稲田大学准教授
マヌエル・クラウス 氏

立教大学大学院人文研究科ドイツ文学専攻修了文学博士
帝京大学外国語学部を経て現在早稲田大学商学部準教授

詳細情報

名称

公開講演会「現代社会の諸問題への文学からのアプローチ」

内容

講演 1)ヤーナ・シュスター(Jana Schuster):「シュティフターのコペルニクス的詩学『コンドル』(1840年)」
(Stifters kopernikanische Poetik. „Der Condor“ (1840))
内 容:フィクション上の成層圏を漂う気球から暗黒の宇宙の中の輝きのない星への眺めが、アーダルベルト・シュティフターの1940年の短編小説『コンドル』の中心にあるが、物理学を専攻し風景画家でもあったシュティフターはこの作品で文壇にデビューした。社会的に解放された若い女性が大気の遙か高みへ飛翔することが、芸術的には高尚なところから不気味なところへの墜落と重なり合い、ロマン派以後の芸術家小説のジェンダー政治的な枠組みの中で、地動説ショック以降の知をめぐる詩学を演出する。この詩学は同時に、生理的な生活条件と美的な知覚条件の整合性を、宇宙という真空空間の片隅で問う。地球を離れることによって地球空間はその際に包括的な意味で生命にあふれる媒体であることが判明するが、この生命にあふれる媒体の変質は天文学的にも神学的にも脅威として作用する。

講演 2)アンドレア・シュッテ(Andrea Schütte):「移動を読む。ローラント・シメルプフェニヒの小説『21世紀始めのとある晴れた凍てつく寒い1月の朝』(2016年)における人間とオオカミの移民」
(„Fährten-Lesen. Migration von Mensch und Wolf in Roland Schimmelpfennigs Roman An einem klaren, eiskalten Januarmorgen zu Beginn des 21. Jahrhunderts“(2016))
内 容:移民は現代社会に対する最も重大な難局のひとつであり、ドイツ、ヨーロッパでは政治的な起爆剤ともなっている。「移民学」の構築は、このテーマが学術的言説の中で確固とした位置づけがなされていることを示している。文学研究に端を発する移民研究は大抵は文学テキストを出発点とし、そのテキストの中で移民と非移民の摩擦をはらむ出会いがテーマとされ、この二項対立に終始するが、本講演では、文学テキストを移民問題という素材よりもむしろ、詩学、テキスト構築という表現技術・芸術性のレベルで取り上げる方法論を試みる。

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 不要
  • 参加費 無料

主催

文学部文学科

お問い合わせ

学部事務1課 ドイツ文学専修担当