レクチャーコンサート「Hispania vetus—中世スペインの聖歌と典礼—」

INFORMATION

  • 2019年7月20日(土)18:30~20:00
  • 池袋キャンパス 立教学院諸聖徒礼拝堂(池袋チャペル)

中世スペインの教会音楽を実演とともに解説する。スペイン(イベリア半島)は西洋キリスト教史上、とりわけ重要な地域であった。殉教が多く出たローマ帝国の属州時代、そして、帝国崩壊後の西ゴート支配の時代を通じて、キリスト教が根強く受け取られた。本レクチャーコンサートでは、そうしたスペイン(イベリア半島)におけるキリスト教受容の歴史を視野に収めつつ、そこで生まれた育まれた教会音楽の伝統を探ってゆく。

以上の趣旨に沿って、本レクチャーコンサートでは中世スペインの聖歌、典礼音楽を中心に様々な作品が紹介される。例えば、その中で取り上げられる、サラゴサ出身のプルデンティウス(348-405)は、司祭でも修道者でもなく、一般信徒からラテン教父になった唯一の人物であるが、長い叙情詩的賛歌を著しており、ラテン語による最初の偉大なキリスト教詩人と称されている。またモサラベ典礼という独自典礼聖歌の発達についても取り上げるが、これはイベリア半島に住むキリスト教徒がイスラムの支配下にあったとき、ローマの中央集権化を免れてローカルな発展を遂げた典礼である。しかし、やがてレコンキスタの勝利とともに禁じられ、ラテン典礼に置き換えられていった。そのように消え失せる運命にあったモサラベ典礼の音楽については、かぎられた史料しか残存していないが、今回は、それらを手がかりにして演奏とともに紹介する貴重な機会となる。

また同地域からは16世紀には偉大な聖人が多く出て、キリスト教史・霊性史上、特別な輝きを見せた。乾いた石の荒地からアヴィラのテレサや十字架のヨハネに代表される、いわゆるスペイン神秘主義が生まれ、バスクからは『霊躁』を著したロヨラのイグナチオが出て、世界宣教を目指すイエズス会が設立され、そこから派遣されたフランシスコ・ザビエルがやがて日本にたどりつき、日本のキリスト教信仰と教会音楽の礎が築かれる。そうした今日のわれわれへとつながる歴史的連環に思いをはせつつ、スペイン的キリスト教霊性と教会音楽の精神性について考えを深めたい。

講師

ラウデージ東京主宰者
杉本 ゆり(すぎもと ゆり) 氏

武蔵野音楽大学音楽学学科卒業。中世ルネサンス音楽史専攻。日本音楽学会会員、グレゴリオの家・宗教音楽研究所勤務。学習院大学生涯教育講座、およびスペンイン国営セルバンテス文化センターで「中世スペイン音楽」の講師を務める。上智大学神学講座の音楽を担当。また八王子と桐生の聖クララ会、コンベンツアル聖フランシスコ会修道院、十字架のイエス・ベネディクト会女子修道院、跣足女子カルメル会聖家族修道院で音楽講義および指導者を行う。2012年、フォンス・フローリス古楽院にて「ラウダを歌う」の講師を務める。

古楽器奏者、大妻女子大学非常勤講師
須藤 みぎわ(すどう みぎわ) 氏

桐朋学園大学古楽器科、同研究科卒業。リコーダーを花岡和生氏に師事。同研究科でアンサンブルを中心にバロック、ルネサンス期の演奏法を学び、卒業後は広く演奏活動をしている。語り・芝居・音楽ユニット「からし種シアター」メンバーとして長崎、平戸のザビエル教会に招聘され、好評を博す。和泉短期大学、大妻女子大学非常勤講師。

古楽器奏者、国立音楽大学、上野学園講師
坪田 一子(つぼた いちこ) 氏

国立音楽大学楽理学科卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバを神戸愉樹美氏に師事。ベルギーでヴィーラント・クイケン、ポルトガルでパオロ・パンドルフォ氏のレッスンを受ける。卒業後、コンソートおよびアンサンブルの通奏低音奏者として主にバロック音楽の演奏を行ってきたが、中世・ルネサンス音楽の分野でも意欲的に活動している。現在、国立音楽大学、上野学園中学・高等学校で古楽アンサンブルの授業を担当し、若い人にヴィオラ・ダ・ガンバを教えている。日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会理事。

ソプラノ・ソロ、聖グレゴリオの家宗教音楽研究所講師
上出 朝子(かみいで あさこ) 氏

武蔵野音楽大学声楽学科卒業。国立音楽大学音楽研究所研修課程(イタリアバロック)修了。聖グレゴリオの家宗教音楽研究所教会音楽科及び専攻科修了、現在同研究所講師。2010年Vocal Duo A・Bu・miを結成し活動中。日本の唱歌や童謡、オリジナルアレンジ曲、あまり演奏されることのないクラシックの二重唱などを中心に演奏している。

ソプラノ・ソロ/ゴシックハープ、青山学院大学聖歌隊トレーナー
名倉 亜矢子(なくら あやこ) 氏

ニューイングランド音楽院を演奏優等賞で卒業。中世~バロック時代の作品中心に、ソリスト、アンサンブル要員として演奏活動を展開中。CD「やすらぎの歌」は、レコード芸術誌上で「プライヴェート・ベスト5」に選出された。2000年古楽コンクール第3位。青山学院大学聖歌隊トレーナー。

演奏

合唱+古楽器アンサンブル
ラウデージ東京

ラウデージ東京は、杉本ゆり氏の指導の下、9世紀から16世紀までの教会音楽をレパートリーとする演奏集団である。2005年の結成以来、様々な演奏・公演を行っている。

詳細情報

名称

レクチャーコンサート「Hispania vetus—中世スペインの聖歌と典礼—」

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 不要
  • 参加費 無料

主催

立教大学教会音楽研究所

お問い合わせ

立教大学教会音楽研究所

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。