学生が主体となるゼミ講義はグループ討論が白熱!
法学部政治学科 倉田徹ゼミ
2019/07/17
立教を選ぶ理由
OVERVIEW
法学部政治学科の倉田徹ゼミの授業風景を紹介します。
この学科で学ぶこと 法学部政治学科
政治という人間の営みについて徹底的に考え、現実を分析し、未来を構想する力を養う。そのため、世界や社会が抱える問題を見出し、理論や政治制度を学習。ヴィジョン形成などを経て、問題解決の方法を探る。
この講義で学ぶこと 演習 〜アジア政治の課題解決を構想する〜
朝鮮半島の緊張と緩和、中国との領土問題など、アジアの政治には複雑な課題が存在する。その課題に日本はどのように対応すればいいのか。グループで考察し、討論を経てアジアの未来像を構想する。
中国、アジアの環境問題を未来予測してみよう
「中国では、経済振興と環境保護の両立はできるのか?」問いかけたのは、今回、司会を担当する環境班の学生たち。倉田ゼミでは、ゼミ生は環境班、安全保障班(安保班)、経済班、歴史文化班(歴文班)のグループに分かれ、テーマに沿って討論を行う。
安保班の学生は「CO2排出量規制も売買により達成されるので、結局は経済力次第」と両立に疑問を呈した。
歴文班の学生からは「先進国の企業はブランドイメージ維持のため環境保護を推進するが、中国では企業間格差もあり、難しいのでは」との意見が出された。
一方、経済班は「政府主導で環境ビジネスを推進すれば、モデルケースもあり、両立できる」と反論。
そのモデルケースについて問われると、日本企業が公害を克服した事例を挙げ、環境保護と経済振興の両立は可能ではと持論を展開した。
この点については、日本で公害の反対運動が起きたように、今後、中国のような社会主義体制下でも環境への意識が変化するかどうか、議論は伯仲した。
安保班の学生は「CO2排出量規制も売買により達成されるので、結局は経済力次第」と両立に疑問を呈した。
歴文班の学生からは「先進国の企業はブランドイメージ維持のため環境保護を推進するが、中国では企業間格差もあり、難しいのでは」との意見が出された。
一方、経済班は「政府主導で環境ビジネスを推進すれば、モデルケースもあり、両立できる」と反論。
そのモデルケースについて問われると、日本企業が公害を克服した事例を挙げ、環境保護と経済振興の両立は可能ではと持論を展開した。
この点については、日本で公害の反対運動が起きたように、今後、中国のような社会主義体制下でも環境への意識が変化するかどうか、議論は伯仲した。
パリ協定は達成されるのか? 環境問題の近未来を徹底討論
環境班は次に、気候変動抑制の国際合意「パリ協定」を取り上げ、「2030年に世界の環境問題は改善するか、それとも悪化するのか」と問いかけた。
歴文班は「アメリカの協定離脱、中国の経済優先政策により、自国優先が進み、現状維持にとどまる」と予測した。経済班は「欧州など先進国は達成し、途上国は厳しく、環境施策の技術指導が求められる」と結論。安保班も「先進国は達成し、途上国は経済優先の考えから厳しい」と発言。かろうじて先進国の技術革新により、環境悪化にまでは至らないと推論した。
司会を務めた環境班は、最後に自分たちのまとめを発表。「先進国は、産業がITやAIに移行する中、パリ協定はCO2削減の売買取引などで目標を達成するが、途上国にそのしわ寄せが行き、経済優先は止まらず、結局、環境は悪化していく」と結論づけた。
意外なことに、最後の問いかけについては、いずれの班も「環境問題の未来予測は改善には至らない」と、一致した。
歴文班は「アメリカの協定離脱、中国の経済優先政策により、自国優先が進み、現状維持にとどまる」と予測した。経済班は「欧州など先進国は達成し、途上国は厳しく、環境施策の技術指導が求められる」と結論。安保班も「先進国は達成し、途上国は経済優先の考えから厳しい」と発言。かろうじて先進国の技術革新により、環境悪化にまでは至らないと推論した。
司会を務めた環境班は、最後に自分たちのまとめを発表。「先進国は、産業がITやAIに移行する中、パリ協定はCO2削減の売買取引などで目標を達成するが、途上国にそのしわ寄せが行き、経済優先は止まらず、結局、環境は悪化していく」と結論づけた。
意外なことに、最後の問いかけについては、いずれの班も「環境問題の未来予測は改善には至らない」と、一致した。
倉田先生は、議論の推移を見守り、最後に講評を述べた。先生が議論に加わらないのは、学生たちに自主的な運営の下、自由に議論し知見を深めてほしいという意図による。
「日本では産業の海外移転により、国内の公害が改善されたこと、経済振興と環境保護の両立からアメリカがいち早く離脱したこと、そして両立は先進国にとっても大きな課題であること」を倉田先生は指摘した。
一方で、学生の未来予測が一致し異論がなかったことを危惧する。
「10年前には普及していなかったスマートフォンが生活環境を劇的に変えたように、何が起こるかわからないのが未来。そして未来を柔軟な頭で構想するのが政治学なのです」と付け加えて講義を終えた。
「日本では産業の海外移転により、国内の公害が改善されたこと、経済振興と環境保護の両立からアメリカがいち早く離脱したこと、そして両立は先進国にとっても大きな課題であること」を倉田先生は指摘した。
一方で、学生の未来予測が一致し異論がなかったことを危惧する。
「10年前には普及していなかったスマートフォンが生活環境を劇的に変えたように、何が起こるかわからないのが未来。そして未来を柔軟な頭で構想するのが政治学なのです」と付け加えて講義を終えた。
倉田徹先生に聞きました 今日の講義は、10年後の社会でどのように役立っていますか?
2030年、「パリ協定」が定める各国のCO2削減目標を、日欧の先進国と中国が達成できるかは、学生たちの議論のようになるかはわかりません。未来は必ずしも現在の延長ではないという観点で答えを模索し、幅広い知識に基づく柔軟で自由な発想を磨き、価値判断能力を養うことが大切です。
受講生のコメント
近藤俊介さん 法学部法学科4年次生 埼玉県私立西武学園文理高校卒
メガベンチャーでゼミの知見を実践へ
グローバルな視点、論理的な思考を深めたくて3年から受講しています。中国やアジア周辺の政治・経済・文化など学んだことを、卒業後はメガベンチャーで生かすつもりです。
グローバルな視点、論理的な思考を深めたくて3年から受講しています。中国やアジア周辺の政治・経済・文化など学んだことを、卒業後はメガベンチャーで生かすつもりです。
李天愛さん 法学部 政治学科4年次生 神奈川県私立山手学院高校卒
政治だけでなく 歴史や文化も視点に
中国本土の日本製品ボイコットが、なぜ香港では起きなかったか。日本製品が深く根づいていたからでした。政治体制だけでなく、歴史的背景や生活文化の視点を加えるとアジアの理解が深まります。
中国本土の日本製品ボイコットが、なぜ香港では起きなかったか。日本製品が深く根づいていたからでした。政治体制だけでなく、歴史的背景や生活文化の視点を加えるとアジアの理解が深まります。
※本記事は、大学選びのための『東進タイムズ講義ライブ2019』(ナガセ/2019年6月発行)をもとに再構成したものです。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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プロフィール
PROFILE
法学部政治学科 倉田 徹 教授
著書にサントリー学芸賞を受賞した『中国返還後の香港-「小さな冷戦」と一国二制度の展開』(名古屋大学出版会)ほか、編著書が多数ある。