学びのキーワード別座談会「文化・歴史・地域交流」
立教大学
2015/04/01
立教を選ぶ理由
OVERVIEW
それぞれ異なった文化や歴史を持った人びとが生活する世界では、時に相互に理解しあう難しさを痛感します。それは海外との関係だけではなく国内でも同様です。そこで、それぞれが生きた時代や文化を理解することで、そこに暮らす人びとを尊重する。そんな大切さに気付き「文化・歴史・地域交流」について学ぶ4人の先輩にお話しを伺いました。
文化を学ぶことで、相手を理解しようとする姿勢が身についた 自分の興味を軸に勉強することでさまざまな「気づき」がある
ーまず、皆さんがそれぞれの学科を志望した理由を教えて下さい。
相川(史学科 超域文化学専修) 経験で選んだという点では私も同じです。高校生の時にハワイのパールハーバーを見学する機会があったのですが、戦勝国であるはずのアメリカにも深い悲しみが感じられたのが印象的でした。そこから戦争と平和といったテーマに興味を持ち始め、歴史だけはちゃんと学んでおきたいという思いから史学科を希望しました。ただ、私は漠然と戦争と平和に興味を持っていただけで、歴史の中で何を学びたいかはまだ決まっていなかったため、史学科の中でも、日本史や世界史ではなく自由な発想で学びたいと考え、“未知の分野”のイメージがある「超域文化学専修」を選びました(※2)。また、文化に着目することで今まで高校の教科書からは知りえなかったことにも出会えるのではという期待がありました。
日向(現代文化学科) 「現代文化学科」には、ゼミで議論することに加え、生の現代文化に触れるため外に出て調査をしよう、というフィールドワーク(※3)があり、そこが魅力的だと感じました。高知県四万十市にある人や自然などの資源をうまく冬の観光に活かせないかというテーマで研究をしたくて、実際に何度か現地にもお邪魔させてもらい調査を行っています。
城山(交流文化学科) 僕もフィールド演習に魅かれて交流文化学科を選んだので、その気持ちはよくわかります。せっかく大学に進学するのだから、高校の延長のような勉強をしたくないと考えていたので、フィールド演習は魅力的でした。もともと旅が好きだったことから観光学部を受験することは決めていたのですが、その中で「交流文化学科」を選んだ理由は、交流文化学科という名前に、何だか無限大にいろいろなことが学べそうな、懐の深さを感じたからです。
英語ともう一つの言語をしっかり学べる(※1)
異文化コミュニケーション学部の特長の1つに、英語に加えて、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、朝鮮語のいずれかを必修として、2言語の運用能力を養うという点が挙げられます。
「超域文化学専修」を選びました(※2)。
史学科では、1年次の授業を通して自分の興味ある学問領域を理解し、2年次から世界史学専修、日本史学専修、超域文化学専修の3つから選んで所属します。
フィールドワーク(※3)
現代文化学科では、教室の中だけの学びにとどまらず、テーマとなる場所を実際に訪れてアンケートやインタビューなどを通じて調査する授業があります。また、調査の方法について学ぶ科目も用意されています。
ーでは実際に入学してみて、入学前に抱いていたイメージとのギャップを感じたこと、またおもしろかった授業について教えてください。
日向 本当にいろいろな人がいますよね。社会学部は留学生も多く、反対に日本から海外に出ていく人も多い。今はTwitterやFacebookで近況を報告し合えるので、世界中からいろいろな情報が飛び交っていて、すごくおもしろいです。さまざまな文化を背景に持つ人たちと交流することは、文化を学ぶ上でもとても重要だと思います。面白かった授業で思い浮かぶのは、1年次に履修した「環境と文化」の授業ですね。環境問題といっても森林破壊のようなものだけではなくて、捕鯨問題も取り扱いました。単に「文化」といっても、この学科で学べる内容は多様性に富んでいるので、自分の興味のある分野が必ず見つけられるはずです。ただ、だからこそ明確な学びの目的を持っておいた方がいいとは思いますね。
城山 おもしろかった授業といえば昨年、ゼミで九州に行った時のエピソードがあります。まず日程と時間だけ決められて、現地集合だったんです。するとどういうことが起こるかというと、15人ほどいたゼミ生がそれぞれ異なる方法で現地までやって来る。その後どうしてその方法で来たのかを共有する。これだけで実は「人の移動」の研究になっていたわけです。こういう学びは、高校では考えられなかった方法だったので、足を使って勉強をしていると感じた瞬間でした。
伊瀬谷 経験が勉強に生きるということは、私も実感しています。入学してすぐは、専門的な勉強が難しくて、なかなか理解できなかったこともあったのですが、3年生になった頃に、「なるほど、あの勉強はこういう風につながっていくのか」と見えた瞬間があったんです。勉強は点じゃなくて線なのだと思うと、自分の経験ひとつとっても無駄なことは何もないと考えるようになりました。また、勉強していくにつれて、今までの自分の価値観や視野がいかに限られたものだったか気づいた時には自分でもびっくりしました。おかげで、入学前に考えていた以上に、異文化理解がいかにこれからの社会を生きていくうえで重要か理解することができました。
ー今の学科で学んでみて、自分自身に何か変化はありましたか?
相川 私も同感です。ニュースなどで国際問題が取り上げられた時、それまでは「ひどい!」といったネガティブな感情を持つだけで終わっていたのですが、歴史学を勉強してからは、「なぜそうなってしまったのか」と、そのニュースの背景を考え、一歩踏み込んで相手を理解しようとする姿勢が身に付きました。また、歴史に対する認識が変わりました。狩猟採集の生活をいまなお営んでいる人がいることを考えると、歴史とはつまり現代の社会や文化を考えることなのかなと思うことがあります。また、キリスト教とイスラーム教の融合した建築物があると知った時は、地域を超えた文化の学びのおもしろさを感じました。
マーケティングや経営、簿記とかも絡み合ってきます。(※4)
観光学科では観光のビジネス的側面や観光地計画について学びます。交流文化学科では観光現象の文化・社会的性格について学びます。同じ学部なので、学科をまたいでの授業履修も可能です。
ーみなさんそれぞれの学科でしっかり勉強しているのですね。ではその学びを、これからの人生にどう生かしていきたいと考えていますか?
相川 教育と歴史は切っても切れない関係にあることをこの学科で学んであらためて知りました。大学で学んだことはあらゆる場面で生きてくると思います。教育にかかわっていきたいと考えています。教職課程をとっているので教育実習も経験したのですが、教材を作ることも教育の一環だと思いますし、教員のみにこだわるつもりはありません。
城山 そもそも観光について学ぶということは、つまりは人の行動について学ぶわけですから、私たちの生活のさまざまな場面で応用できますし、進路も幅広く考えることができると思います。僕も同じく教員を目指してはいましたが、もっと幅広く考えてもいいのかなと最近は感じています。観光学部というと旅行会社や航空会社のイメージがあるかと思いますが、学部の友人はみな限定せずにもっと幅広く考えています。
伊瀬谷 この学科にはもともと社交的な人が多く、大学でその人たちに揉まれたおかげで私もずいぶんと行動的な性格になれたと思うので、そこを活かした仕事ができたらいいなと考えています。具体的には商社を含めて業界研究をしているところです。国際的にビジネスを展開する商社は存在そのものが異文化コミュニケーションとも言えると思います。
ーみなさんそれぞれ学びを活かした進路先を考えているのですね。本日はありがとうございました。
左から観光学部交流文化学科 城山真司、文学部史学科超越文化学専修 相川知美、社会学部現代文化学科 日向佑大、異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科 伊瀬谷生麗
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