身につくのは英語力だけじゃない、

「英語ディベート」の価値1年次必修カリキュラム「英語ディベート」紹介

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2020年度にスタートした立教大学の新たな英語教育カリキュラム。その柱の一つに、1年次必修カリキュラムにおける「英語ディベート」科目の導入があります。実際の授業はどのように行われるのか、その面白さやディベートを通して養われる力とは?学んでいる学生3人と指導にあたる先生、それぞれの声を通してご紹介します。

学生インタビュー

解決策は一つではないと気づき、複合的に考える力の大切さを実感

野澤 愛子さん
法学部 国際ビジネス法学科 1年次
東京都佼成学園女子中学高等学校
高校時代、英語は得意でしたか?
部活動に夢中で、勉強熱心とは言いがたい高校時代を過ごしました。英語に関しても大学受験のときに苦労したので、立教に入学したら授業についていけるか不安でした。実際には、1年次の英語必修科目はレベル別クラスで開講されるため、自分の英語力に合ったクラスで安心して学ぶことができています。大学に入るまで未経験だったディベートの授業でも、気後れすることはまったくありません。

ディベートのテーマ『レジ袋の有料化』について
私のチームは肯定側の立場に立ち、その理由として、レジ袋の有料化によってマイバッグを持参する人が増えること、街中でのポイ捨てやプラスチックごみの削減につながることを挙げました。根拠となるデータは、新聞記事や公的機関の資料などを調べて情報収集。有料化後、マイバッグを持ち歩く人の数が増えたという調査結果や、プラスチックごみが海洋汚染を引き起こしている実態を基に、自分たちの主張を組み立てました。
授業を通して自分が成長したと感じること
テーマの背景について調査する過程で、情報収集力や思考力が伸びたと感じています。『レジ袋の有料化』について否定側のチームから、「レジ袋は石油精製時に発生するポリエチレンで作られるため、資源の有効活用になっている」という意見が出たときは、レジ袋をなくすことだけが問題の解決策ではないと気づかされました。こうした複合的に考える力も、ディベートを通して得たものです。

今後、英語を使ってチャレンジしたいこと
まずは、法学部の「オックスフォード・サマープログラム」に参加することです。これは、イギリス・オックスフォード大学の寮で過ごし、現地の先生方から直接英語で西洋文化やイギリス法について学ぶプログラム。ディベートで培った英語力と議論する力を活かして、また新たなことを吸収し、日本とは異なる価値観にふれ、広い視野で世界をとらえることのできる自分になりたいと思います。

My Learning Point

内容を簡単な英文にして要点をつかむ
「英語ディベート」では、自分の意見を英語で話すスピーキング力や、相手の主張(英語)を聞き取るリスニング力も重要だと感じました。それを伸ばすために私が心がけたのは、ライティング。「自分の主張はこうで、その理由はいくつあり、内容はこれ」という簡単な英文を作ることです。それによって相手が発言しているときも、主張は何か、根拠は何かという要点がつかみやすくなると同時に、英語力が総合的に向上しました。

説得力を高める情報収集スキルと、英語を「使う」力が身についた

中村 喜一さん
法学部 法学科 1年次
北海道函館中部高等学校
高校時代、英語は得意でしたか?
英語は好きで、立教大学が英語教育に力を入れていることも知ったうえで進学先に選びました。英語ディベートについても高校の授業で経験していたため、戸惑うことはありませんでした。ただ、高校と大学では扱うテーマが違います。高校でも社会問題を取り上げることはありましたが、大学のほうがそのジャンルが幅広く、環境問題をはじめ自分を取り巻く物事について論ずるので、より熱が入ります。

ディベートのテーマ『レストランのテイクアウトシステム』について
私は否定側チームに属し、テイクアウトに適したメニューの企画や価格設定の難しさと、使い捨て容器を使用することでゴミが増えてしまう点を理由に主張を組み立てました。肯定側チームは、店に収入源が増えることや新たな客層を開拓できるという意見を主張し、その裏付けとして「テイクアウト実施店舗の約8割が効果を実感している」とするアンケート調査データを提示。リアルな数字はやはり説得力が高いと実感しました。
授業を通して自分が成長したと感じること
自分の考えを発信し、それに対して相手の意見が返ってきて、さらにまた自分も主張を行う。そうした一方通行ではない、お互いに活発に意見を交わす場面で「今、自分たちは英語で良い議論ができているな」と実感し、英語力の面でも思考力の面でも成長を感じます。英語は知識として蓄えておくものではなく、コミュニケーションのために使うもの。使って初めて意味をもつということも体得しました。

今後、英語を使ってチャレンジしたいこと
留学でも旅行でもどんな形でもいいので、海外に行ってみたいと思います。私は大学で体育会サッカー部に所属していて、サッカーが大好きです。そのため、海外の中でもヨーロッパなど、世界のサッカー強豪国が集まる地域を訪れ、本場の文化や空気を体験できたら楽しいでしょうね。卒業後は、具体的な職業などは模索中ですが、英語を使って仕事をしたいと考えています。

My Learning Point

情報の信頼性を見極める力も重要
ディベートで説得力のある意見を言えるかどうかは、事前の情報収集次第です。テーマが決まってからディベート本番までは短くても1週間あるので、その中で自分ができる最大限の準備を行っています。意識しているのは、テーマに関する記事や資料を集めるだけでなく、そこから正確性・信頼性が高い情報を選びとること。それを判断するのに、具体的な数字や実例が示されているかどうかも基準の一つになると思います。

自分とは真逆の意見も考えることで、視野が多角的に広がっていく

三浦 早織さん
法学部 政治学科 1年次
埼玉県星野高等学校
高校時代、英語は得意でしたか?
高校の授業はリスニングや長文読解が主で、それにあまり興味をもてず、英語は遠い存在でした。大学入学前も正直なところ、また英語の勉強か…と思っていたのですが、授業を受けるうちに苦手意識が消えました。「間違えて当然」とおっしゃる先生、失敗しても気にならないクラスの雰囲気に接して、間違えることが怖くなくなったからです。高校時代からは考えられないほど、今では積極的に発言しています。

ディベートのテーマ『買うモノを減らすべきか』について
私のチームは肯定側で、まずは日本のゴミ問題について客観的な資料を集め、分析。不要なモノを買うことでゴミが増え、それが深刻な環境破壊につながっていると主張しました。対する否定側チームは、消費が落ちると経済が停滞すると主張。それを聞いて、環境保全と経済発展の両立について考えさせられました。自分とは異なる意見を受け止め、そこからさらに考えを深めていけることがディベートの醍醐味だと思います。
授業を通して自分が成長したと感じること
ディベートは、肯定側立論(スピーチ)→否定側質疑→否定側立論→肯定側質疑という流れで進んでいきます。相手のスピーチに対して質問をするためには、相手チームの主張内容をあらかじめ予測し、その疑問点を抽出しておくことが必要です。これはある意味、自分たちの主張とは真逆の方向から問題を考えるということで、この経験によって物事を多角的に見ることができるようになりました。

今後、英語を使ってチャレンジしたいこと
せっかく英語で会話ができるようになったので、まずは外国の人と友だちになりたいと思います。高校時代、私は英語を話すと思うだけでプレッシャーを感じていましたが、それは英語を教科としてとらえていたから。大学に入って、英語も日本語と同じ一つの言語であり、コミュニケーションのためのツールなのだと気づき、英語を使って自分の世界を広げていくことが楽しみになりました。

My Learning Point

“伝える”ためには英語の表現技術も大切
自分の意見を一方的に話すのではなく、相手に“伝える”ためには、難しい英単語や言い回しを知っていても、それだけでは十分でない場合があります。相手にもわかりやすい言葉を使うことが重要ですし、スピーチや質問のどの部分を強調すべきかを検討することも大切です。そうした言葉のセレクトや話し方にも注意しながら「英語ディベート」に取り組んだ結果、英語の表現力も高まったと感じています。

教員インタビュー


グローバル社会を生き抜くために必要な、
「深く考える力」を養う



立教大学 外国語教育研究センター
副センター長
山本 有香 准教授
正解が一つではない問いに向き合うために
立教大学では2020年度より、学部1年次生全員を対象とする英語必修カリキュラムにおいて、これまで通年で開講していた「英語ディスカッション」科目を春学期のみの開講とし、秋学期に「英語ディベート」科目を新たに設けました。和気あいあいとした雰囲気の中、活発に意見を交わすディスカッションから一段階進んで、ディベートを通じて『クリティカル・シンキング』を身につけていただくためです。

クリティカル・シンキングとは、正解が一つではない問いに対して、論理的に答えを導き出す思考力のことをいいます。『深く考える力』ともいえ、これこそ、グローバル社会を生き抜くために必要な力の一つ。現代のように変化が激しく、過去からの連続性で未来を予測することが難しい時代においても、クリティカル・シンキングはとても大切です。

ディベートの成否は事前の準備で決まる
「英語ディベート」で培われるのは英語力だけではありません。英語力よりも、むしろ思考力を問われる部分が大きく、たとえ英語のスキルが高くても、ディベートでは成果を上げられない場合もあります。その要となるのが事前の準備です。

ディベートを成功させるには、まず、膨大な情報の中から適切な情報を探し出す『情報収集力』が必要です。そして、それをベースに論理的に主張を組み立てる『論理的思考力』が重要になってきます。さらに、相手チームの主張を予測して、批判的に分析する『批判的思考力』も欠かせません。批判と聞くと攻撃的なイメージがあるかもしれませんが、感情や主観に流されず、物事を多面的・客観的にとらえる思考を意味します。これら3つのスキルを身につけるための手段の一つとして、「英語ディベート」科目があるのです。
普段から時事問題に目を向けることも重要
私は学生に、「英語ディベートはプレゼンテーションの延長線上にあるもの」と伝えています。相手を論破するのではなく、周囲を説得するスキルを学ぶための科目だからです。大学に入るまでディベートは未経験という学生も大勢いますが、物事を追究する喜びや、チーム一丸となって取り組む楽しさを体験し、「ディベートが面白くなりました」という声をよく聞きます。また、そうした過程で身につく、一つの問題について深く考え、解決策を導き出す力は、社会のどのような分野に進んでも必ず役に立つでしょう。

高校生のみなさんは、普段から新聞やテレビなどのニュースで時事問題に目を向け、理解を深めることを意識してみてください。そうすることで考え方や発言に深みと説得力が生まれ、大学でのディベートの時間をより充実したものにできると思います。
なお、立教大学では『学部の専門領域を英語で学ぶ』科目を数多く展開しています。このような高度な英語力・思考力が求められる学びへの橋渡しとして、2年次以降の英語自由科目を改革していく予定です。これは「CLIL(内容言語統合型学習)」といって、英語を使いながら専門的な内容を学び、専門的な内容を学びながら英語を学んでいく科目です。
※記事の内容は取材時点(2020年度)のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

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