キャリア教育について

経済学に根付いたキャリア教育を通じて、学生一人一人の可能性を花開かせます

キャリア教育に用いられるCareerという言葉は、車輪の轍を意味するラテン語のCarriereから派生した言葉と言われます。こうした語源を考えると、キャリアとは単に職種・職業を意味するものではなく、生涯にわたる人間形成や社会的活動の軌跡と考えるべきものと思います。したがってキャリア教育もまた、人間性および社会性を育成するための教育と考える必要があります。しかし、こうした教育は何も特別なものではなく、大学教育自体が果たすべき本来的目的そのものと言うことができます。学校教育法第52条には「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」と大学教育の目的が記されていますが、これを言い換えれば、知的かつ社会的に幅広い人間形成を図ることと考えることができるからです。

経済学部はかねてより起業教育やインターンシップ、あるいは社会連携教育などキャリア教育に積極的に取り組んできましたが、これらの取り組みは経済学部のカリキュラム制度全体のなかに必ずしも体系的に位置付けられていませんでした。2012年に全学的にキャリアサポーター制度が導入されますが、経済学部ではこれを契機にキャリア教育運営委員会を新設し、体系的なキャリア教育プログラムを本格的に始動させました。

経済学部ではキャリア教育の目的を「専門教育への認識をより深め、社会に役立つ能力を涵養する教育」と定義しています。ここで目標とされているのは、キャリア教育という言葉が一般に喚起するイメージ、すなわち「職業観」の育成や実用的スキルの修得それ自体ではありません。経済学部のキャリア教育の目標は、経済学との連動性を重視し、そこでの経験や学びが専門教育への興味を高め、経済学の理解を深める契機や手助けになることです。

こうした目標を達成するために、経済学部では5つの課題に取り組んでいます。具体的には、①初年次教育との連携、②キャリア系科目の整備、③ゼミナール教育におけるキャリア教育要素の確認・強化、④同窓連携・社会連繋の体制構築、⑤キャリア教育のグローバル化、これら5つの課題です。それぞれの課題に向けて、様々に具体的なプログラムが現在進行しています。例えば、2016年度にはPBL(Project-Based Learning)型の「課題解決演習」を複数新設し、企業と協働して主体的かつ能動的に学ぶための場を拡大します。2019年度からは、キャリア教育のプロフェッショナルを特任教員に迎えて「キャリアデザイン論」や「キャリアコンサルティング論」を開講し、教育内容の拡充を図っています。

立教大学は創立145年以上、経済学部の歴史も1世紀を超えます。この間、立教大学はもとより、経済学部でもすでに6万人を超える卒業生を社会に送り出してきました。これら卒業生たちは社会のあらゆる場所でさまざまに活躍をされています。経済学部ではこれら卒業生と学生たちを繋ぐ同窓連携もまたキャリア教育の一環と考え、学生と卒業生との対話型交流会「赤レンガセッション」を開催し、卒業生とのネットワーク構築を進めています。立教経済のOBOGと現役学生が集う場は彼らによって「四丁会」と命名され、学内きっての交差点「四丁目」同様に、縦・横・斜めの縦横無尽な交流を目指そうと意図されています。とくに「赤レンガセッション」では、その運営主体として「四丁会執行部」が結成され、今後さまざまな取り組みが進められています。学生と卒業生、また卒業生同士の触れ合いから生じた星火がいずれ燎原の広がりとなり、大きな力となることが期待されます。

経済学部におけるキャリア教育の取り組みをここで全て紹介することは到底できません。経済学部ではそれらを社会に発信する目的でキャリア教育WEBサイト「STORY」を開設しています。またフェイスブックやツイッターなどにもキャリア教育ページを設け、リアルタイムで情報発信ができる体制を整えています。これらの媒体を通じて多くの方々に経済学部の〈キャリア教育の現在〉を知っていただき、ご参加いただければと思います。私たちのキャリア教育は、経済学の学びにしっかりと根を張りながら、枝葉は広く社会に伸び開かれたものでありたいと考えています。

キャリア教育について

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