ぼ、ぼ、僕らは少年探偵団。この頃風呂に入るたびにこの歌を口ずさむ。
昨年末、6号館隣にある江戸川乱歩邸(元立教大学社会学部教授平井隆太郎教授邸)及びその所蔵品の多くが立教大学に移管されることが決まった。その頃から乱歩を読んで興奮した少年時代の血が妙に騒ぐ。大学は、大変な買い物をした。これは一つの事件に似ている。
推理小説家乱歩関連の資料に貴重なものがあることはもちろんである。私が殊に胸をときめかしているのは、江戸時代の版本・写本類である。江戸川乱歩即ち平井太郎が、岩田準一・南方熊楠等と男色文学に関して書簡を交わしていることはよく知られている。西鶴関係の貴重本の他に、乱歩のみが所蔵した男色関係の典籍や江戸時代初期の遊女評判記の山が土蔵の中には眠っている。秘密の花園がようやく幕を開けようとしている。
正月明け、乱歩の故郷三重県名張市に立ち寄り、市の図書館長の案内で長谷への旧街道側、<幻影城>と刻まれた生誕記念碑を見た。市の図書館では、乱歩が使っていた帽子・ステッキ・外套、座机・スタンドなども展示され、すぐれた研究成果も公刊されている。名張市民には乱歩への思い入れがある。アメリカの大学の乱歩研究者を平井邸に案内したことがある。新聞報道がされるとすぐにも資料を見たいとメイルがあった。近代文学を専攻した日本文学科卒業生からの興奮した電話もあった。江戸文学の研究者は羨望の目を向けている。かつて人呼んで池袋は芸術の巷モンパルナス。若き芸術家たちの巣窟の地でもあった。乱歩がここに居を構えたのもそのことと無関係ではあるまい。再び文芸の火がこの地から燃えさかることを豊島区の区民とも共に喜びたい。
事件は広がっている。立教大学がこの財産をどのように活用し、社会への期待にこたえることが出来るのか。社会還元への大学の責任は重い。
乱歩ワールドへの夢を広げながら、着実にアカデミカルに少年の如くに、学生諸君と<幻影城>を探偵したいものだ。その日は近い。 |
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土蔵~幻影城~ 内部 |