総長就任にあたって

立教大学総長 吉岡 知哉
立教大学総長  吉岡 知哉

ちょうど4年前、21世紀の最初の10年が終わる年の4月1日、この同じ場所で、私は第19代総長就任のご挨拶をいたしました。

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故が起こったのは、それから1年も経たない2011年3月11日でした。21世紀の第2の10年は、人間の生、人類の社会そして文明の根幹部分に、深い傷を負って始まることになったのです。癒えることのないこの傷を私たちの目の前の現実として受け止め、これからの時代をどのように構想し組み立てていくのか。大学にはこの問題に答えていく責務があります。

高等教育機関としての大学には、これからの社会を担う能力を備えた人間を育てる社会的な使命があります。また、個々の学生についても、彼ら彼女らが人間として「善く生きる」術を身につけられるよう教育する役割を担っています。 しかし、大学が大学として行う教育・研究は、同時代の価値観やそれに基づく尺度と必ずしも一致しない。それどころか、むしろ本質的に齟齬を来すものであると言わなければなりません。
なぜか。

一言で言えばそれは、大学が関わる時間と視野が同時代の社会が有するそれよりもはるかに長く、広いからです。そしてそれこそは、社会が大学という存在を自らの一部として組み入れている最大の理由に他なりません。
もちろん、現在この瞬間の社会に対する貢献を否定するわけではありません。それどころか、現在の社会に対する真に有用で有効な貢献を行うことができるのは、大学が社会の内部に存在する「外部」として機能するからにほかなりません。

大学における教育・研究は、現在の尺度による効率性、有用性には収まらない。ましてや、現在のように世界の構造、価値観が大きく変動している時代において、大学教育を短期的な「人材養成」の効率化という視点からのみ評価すること、研究の価値を有用性と数量化された成果によってのみ判断すること、それは大学の社会的機能を縮減し、知的な生産性を減少させるだけであり、大学の社会的な存在意義を根本から否定することに等しい、と言わなければなりません。

今年創立140周年を迎える立教大学は、リベラルアーツと国際性の豊かな伝統を育んできました。この伝統を踏まえて私は、「リベラルアーツの現代的再構築」を立教大学の運営方針の中軸に据えてきました。

学生時代の4年間を、学生が全人格的に成長するプロセスとしてとらえ、全学共通カリキュラムと学部専門教育、正課教育と正課外教育活動の相互連関を強めるという考え方は、「学士課程統合カリキュラム検討委員会」の検討を経て、2016年度実施に向けて大きく前進しています。

同時に、立教大学の教育研究活動全体の基底をなすリベラルアーツの思想こそがこれからの国際化の要である、という全学的了解に基づいて、「学士課程統合カリキュラム」と密接な内的関係を強化しつつ、立教大学の国際化が進められています。

グローバリゼーションによって引き起こされる世界の均質化と平準化、それと表裏の関係にある格差の拡大と貧困の深刻化に抗して、世界の豊かな多様性を擁護すること、これが人類の未来にとって最重要課題であることは明らかです。立教大学は先頭に立ってこの課題を担っていかなければなりません。

これからの4年間を通じて、立教大学は、日本国内はもとよりアジアで、そして世界で際立つ大学としてその輝きを増していくに違いありません。すべての教職員、学生のみなさんと力を合わせて、そのために尽力していきたいと思います。

(総長就任宣誓式より 2014年4月1日)

理念

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