平和・コミュニティ研究機構Rikkyo Institute for Peace and Community Studies

さまざまな角度から平和構築にかかわる研究活動を行うとともに、大学院科目も提供しています。また、研究書の刊行、継続的な講演会の開催など、学内外に向けた研究と教育への貢献をめざしています。

当研究機構について

ご挨拶

教育・研究両面での平和学展開を目指して

立教大学異文化コミュニケーション学部
立教大学平和・コミュニティ研究機構代表
石坂浩一
                                                                     
立教大学平和・コミュニティ研究機構(平コミ)は2004年3月に学部・研究科横断的な研究・教育組織として発足しました。平和という課題が今日ほど必要とされる時代はないでしょう。その平和を、社会に根付いたしっかりしたものとして共有、確立させていくために、国際関係はもちろんのこと、地域のあり方、メディアなどの社会のあり方、市民の活動の多様性まで含めて研究して行くことをめざすのが、平コミの役割です。グローバル化、あるいは国際化が語られる中、研究は多様化しているように見えますが、日本社会ではヘイトスピーチなどの排外主義や憎悪感情が高められていることを見逃すことができません。今日的課題に対応することを、研究者も大学も、そして地域も迫られていると思います。そうした対応のためにも、広く国内外の研究者と意見を交わし、その成果を公表していきたいと考えます。また、そうした活動を広く共有していくため、さまざまな公開講演会、映画上映会、研究会、ニュース・レターや紀要の発行などを行なっています。
同時に、その成果を教育において生かしていくため、大学院および学士課程の全学共通総合科目に科目を提供してきています。大学院では、平和学という世界的に認められている分野が、日本で十分に成立していないことを踏まえ、平コミ提供科目を履修することで平和学に触れる機会を提供しています。また、学士課程においては、平和構築のための基本的認識を身に着ける授業とともに、ロシアやパレスチナ、アフリカなど日本で十分に知られていない国際的課題や事情についても、科目を提供しています。
2016年度には、世界的な人の移動のあり方の意義を解明しようとする共同研究の「流動する移民社会」の公開シンポジウム、教室があふれるほどの方がたが来てくださった公開講演会「韓国と日本をつなぐ仕事2-言葉からつながる」など、活発な活動を行なってきました。東北アジアと日本社会の現実を直視しつつ、平コミは一層の活動に邁進していく所存です。
趣旨
<平和>とはつねに人類の希求してやまない課題ですが、半世紀にわたる冷戦の終焉がいわれる現在も、世界は平和への新たな挑戦に直面しており、その認識と対応が緊急の課題となっています。こうしたなか立教大学平和・コミュニティ研究機構は、平和の実現の条件を根本的に捉え、独自の視点から研究すべく、2004年3月開設されました。
私たちは身近な地域レベルから地球的レベルにいたるまで多層的に形成された<コミュニティ>において活動し生活しています。これらのコミュニティには伝統的・閉鎖的なものありますが、市民社会を支える共生的、開放的な諸コミュニティも存在し、それらは相互に影響を及ぼし合い、そのダイナミズムがしばしば世界を動かしています。その重要性を踏まえ、より平等、公正、かつ開かれた多層コミュニティを形成していくことが、持続的な真の平和の構築につながるのではないでしょうか。
これら多層的コミュニティは、政治、安全保障、経済、社会、福祉、歴史、文化などの諸レベルを有し、それらの充足の実現と相互的作用が、平和の条件をなしていると私たちは考えます。コミュニティのそのような構造とダイナミズムを分析、理解し、平和の条件を探求するために、本研究機構は立教大学の全学的な協力の下、また学外、海外の研究者との連係の下、学際的な共同研究を展開します。そして平和実現のための政策を探り、提言することをめざすものです。研究課題の重点としては、世界を見据えつつ、これまで立教大学として実績のあるアジア社会の研究の基づきながら、「アジアにおけるトランスナショナル・コミュニティの形成と平和の構築」を当面追究しています。
また研究とともに、大学院教育をも担い、平和・コミュニティ研究における若手研究者の育成、支援にもあたります。立教大学の建学の理念である「平和の叡智」を磨き、その成果を生み出すためにも、本機構はこの研究・教育に全力をあげて取り組んでいきます。
2024年度メンバー

代表

木村 自(本学社会学研究科)

運営委員

佐々木 正徳(全カリサポーター)(立教大学外国語教育センター)
林 みどり(本学文学研究科)
市川 誠(本学文学研究科)
郭 洋春(本学経済学研究科)
田島 夏与(本学経済学研究科)
水上 徹男(本学社会学研究科)
野呂 芳明(本学社会学研究科)
黄 盛彬(本学社会学研究科)
西山 志保(本学社会学研究科)
小川 有美(本学法学研究科)
竹中 千春(元本学法学研究科)
石坂 浩一(元異文化コミュニケーション学部)
カプリオ・マーク(本学異文化コミュニケーション学部)
李 香鎮(本学異文化コミュニケーション学部)
大橋 健一(本学観光学研究科)
杜 国慶(本学観光学研究科)
小長井 賀與(長野大学社会福祉学部)
萩原 なつ子(元本学21世紀社会デザイン研究科)
五十嵐 暁郎(本学名誉教授)
庄司 洋子(本学名誉教授)
栗田 和明(本学名誉教授)
勝俣 誠(明治学院大学国際平和研究所)

所員

松本 康(元社会学研究科)
伊藤 道雄(元21世紀社会デザイン研究科)
李 鍾元(早稲田大学大学院)
佐久間 孝正(東京女子大学)
佐々木 寛(新潟国際情報大学)
高原 明生(東京大学大学院)
田中 治彦(上智大学名誉教授)
林 倬史(立教大学名誉教授)
藤林 泰(大阪経済法科大学、アジア太平洋研究センター)
浪岡 新太郎(明治学院大学)

外部評価委員

上村 英明(恵泉女学園大学)
吉原 和男(元慶應義塾大学)

特別任用研究員

段 躍中(日本僑報社)
金 兌恩(立教大学兼任講師)
加藤 恵美(帝京大学外国語学部 准教授)
近藤 秀将(ベトナム国立フエ科学大学 特任教授)
三浦 優子(中央大学兼任講師)
権 赫泰(聖公会大学人文融合自立学部 教授)
李 昤京(立教大学兼任講師)
Dirk Hebecker(立教大学兼任講師)
尹 在彦(慶應義塾大学非常勤講師)

研究員

中村 翔(慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程)

研究成果

出版物

『SOCIAL INCLUSION FOR POVERTY ERADICATION: THE ROLE OF LAW AND LEGAL INSTITUTIONS IN KENYA A Case for the Street Children』

RIPCS Working Paper Series No.4 Geoffrey OWUOR
(2019年)

『東アジア安全保障の新展開』

平和・コミュニティ叢書 第1巻

五十嵐暁郎・佐々木寛・高原明生編著
(明石書店、 2005年)
ISBN:9784750321028
2,500円+税

『平和とコミュニティ-平和研究のフロンティア』

平和・コミュニティ叢書 第2巻

宮島喬・五十嵐暁郎編著
(明石書店、 2007年)
ISBN:9784750326115
2,500円+税

『移動するアジア-経済・開発・文化・ジェンダー』

平和・コミュニティ叢書 第3巻

佐久間孝正・林倬史・郭洋春編著
(明石書店、 2007年)
ISBN:9784750326276
2,800円+税

『地方自治体の安全保障』

平和・コミュニティ叢書 第4巻

五十嵐暁郎・佐々木寛・福山清蔵編著
(明石書店、 2010年)
ISBN:9784750332529
2,400円+税

『平和の再構築は可能なのか?』

平和・コミュニティ研究 No.1

(唯学書房、2005年)
ISBN:9784902225174
2,500円+税

『新たなコミュニティ形成に向けて—アジアとヨーロッパの事例に学ぶ』

平和・コミュニティ研究 No.2

(明石書店、 2007年)
ISBN:9784750326115
2,500円+税

『共生社会への課題——人の移動と参加型開発』

平和・コミュニティ研究 No.3

(唯学書房、2007年)
ISBN:9784902225365
2,300円+税

「村神を巡る信仰実践から見る民衆ヒンドゥー教の実相-北インド、U.P.州ワーラーナシー県の事例より」

RIPCS Working Paper Series No.1

小松原秀信
(2009年)
100円

「観光事業と地域開発の展開と諸問題-復帰後沖縄の振興開発と海洋博に関する政策史的吟味」

RIPCS Working Paper Series No.2

上間創一郎
(2009年)
100円

「現代中国における都市開発と住民運動-2007年アモイ市の住民運動を事例に」

RIPCS Working Paper Series No.3

武玉江
(2010年)
100円

『日本政治論(岩波テキストブックス)』

関連書籍

五十嵐暁郎著
(岩波書店、2010年)
ISBN: 978-4000289054
2,800円+税

『アジアで出会ったアフリカ人-タンザニア人交易人の移動とコミュニティ』

関連書籍

栗田和明著
(昭和堂、2011年)
ISBN: 978-4812210680
2,400円+税

『ドイツは脱原発を選んだ (岩波ブックレット)』

関連書籍

ミランダ・A・シュラーズ著
(岩波書店、2011年)
ISBN: 978-4002708188
500円+税

『女性が政治を変えるとき——議員・市長・知事の経験』

関連書籍

五十嵐 暁郎 (著), ミランダ・A・シュラーズ (著)
(岩波書店、2012/7/24)
ISBN: 978-4000258388
3,675円+税
ニュースレター

平和・コミュニティ研究機構提供科目

2024年度 大学院提供科目一覧
2024年度 学部提供科目一覧

イベント・講演会

2024.2.18 公開講演会「詩人尹東柱とともに・2024」
2024.1.29 映画「ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち」上映会および講演会
日時:2024年1月29日(月)17時30分~21時00分
場所:池袋キャンパス 太刀川記念館カンファレンス・ルーム(定員100名)およびオンライン配信
内容:パレスチナ難民発生から75年、オスロ合意から30年にあたる2023年、ガザの武装勢力のイスラエルへの越境攻撃によって始まった5回目となるガザ地区への大規模空爆により、これまでに8,000人以上の子どもたちが亡くなった。2006年以降封鎖されているガザ地区では、こうした大規模な空爆は今までに少なくとも4回あり、多くの子どもが亡くなってきたが、ガザの子どもが空爆の合間にどのように暮らしているのかはあまり知られていない。映画「ぼくたちは見た ガザ・サムニ家の子どもたち」(古居みずえ監督、2011年作品)の上映を通してガザの子どもの状況を知るとともに、同映画を製作した古居みずえ監督、イスラエル平和活動家のダニー・ネフセタイ氏のお話しを伺い、ユースやフロアとの対話を通して占領下における子どもの権利について考えたい。

講師:古居みずえ氏(映画監督)、ダニー・ネフセタイ氏(木製家具職人、平和活動家)
主催:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
共催:平和・コミュニティ研究機構
対象:本学学生、教職員、一般

申込:事前申込要
問合せ先:平和・コミュニティ研究機構事務局
2024.1.17 公開講演会「パレスチナは今、そして未来への希望は」
日時:2024年1月17日(水)18:00~20:00
場所:池袋キャンパス 1号館1203(定員77名)
内容:パレスチナ問題が発生して75年、平和の象徴と呼ばれたオスロ合意から30年目の2023年、ガザ地区からの攻撃とイスラエルによる報復攻撃により多くの一般市民が亡くなっている。出口戦略がないまま始まったガザへの大規模空爆により、ガザのインフラは壊滅的な被害にあい、また人々の心身にぬぐい切れない大きな傷と禍根を残している。ガザとヨルダン川西岸地区が分断されて16年の今年、パレスチナ社会の展望を在京パレスチナ代表部のワリード・シアム大使に伺い、日本がどのようにパレスチナに関わっていくべきかを考える機会としたい。会の前半はシアム氏に講演していただき、後半はシアム氏と本学学部生によるパネルセッションを実施する。

講師・パネリスト:ワリード・シアム氏(駐日パレスチナ常駐総代表部大使)
ファシリテーター:金子由佳氏(立教大学兼任講師)
通訳者:藤沢由美氏(フリーランス通訳)
主催:平和・コミュニティ研究機構
対象:本学学生、教職員、一般

申込:事前申込要
問合せ先:平和・コミュニティ研究機構事務局
2023.11.23 公開映画上映会「若者たちの中国、多様性の中国 中国学生映像作家作品上映会」
日時:2023年11月23日(木)17時30分~20時00分
場所:立教大学池袋キャンパス 8号館8101教室
内容:中国がますます画一的なイメージで語られる現在、私たちは中国社会を生きる人々の多様性とどのように対話することができるのでしょうか。中国の若者たちのなかには、自らの生きる社会の根底にある問題や多様性につぶさに目を向け、映像作品を通して発信しようとする人も少なくありません。本映画上映会では、中国で映像制作を学ぶ学生たちが、自分たちの生きる社会を見つめ、社会の多様性を撮影した短編作品を5作上映します。映像作品を通して、中国の若者たちの視点と多様性にぜひ目を向けてみてください。
主催:豊島区日本中国友好協会
共催:アジア国際青少年映画祭日本、平和・コミュニティ研究機構
対象:本学学生、教職員、一般
問合せ先:平和・コミュニティ研究機構 z3000307@rikkyo.ac.jp
2023.11.16 公開講演会「韓国と日本をつなぐ仕事7 立教大学における朝鮮語教育の模索」

研究・研究者紹介/書評

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平和・コミュニティ研究機構

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