2015/04/23 (THU)プレスリリース

「免疫力は糖によって調節される!」 免疫反応の新しいON/OFFの仕組みを解明

キーワード:研究活動

OBJECTIVE.

免疫は病原体から我々の身体を守るために必須です。しかし、その免疫反応は厳密に制御されなければなりません(図1)。病原菌やウイルスが感染していない時に免疫反応が活性化してしまうと、自己免疫疾患や慢性炎症などが引き起こされ、身体は多大なるダメージを受けます(図1B)。一方、病原体が感染した時に免疫反応が活性化しなければ、感染症などで死に至る場合もあります(図1C)。従って免疫反応は、非感染時には抑制され、いったん感染が起こると速やかに活性化されなければなりません。このような免疫反応の抑制と活性化がどのようにして調節されているのか、その仕組みはよく分かっていませんでした。このたび、立教大学理学部の山本(日野)美紀PD、後藤聡教授のチームは、慶應義塾大学医学部 岡野栄之教授らと共同で、「糖鎖」という物質がこのダイナミックな制御を行っていることを発見しました。

山本らはまず、過剰な免疫反応を抑制する活性をもつ「糖鎖」が存在することを明らかにし、これを合成する遺伝子を同定して「senju(センジュ)」と名付けました。さらに、感染が起きるとこの抑制的に働く「糖鎖」は減少して免疫反応の活性化を促進していることを見出しました。今回得られた知見は、免疫反応制御の基本的な理解を深めるとともに、過剰な免疫反応による病態の改善や、効率的な免疫反応の活性化を目指した医療への応用が期待されます。

本研究の成果は「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」電子版4月21日(米国東海岸時間)付に発表されました。

図 1. 病原体の感染有無に応じて、免疫反応の強弱は制御されなければなりません。 (A)病原体が感染した場合には免疫反応が活性化され速やかに病原体をを排除します。  (B)非感染時に免疫反応が活性化されると自己免疫疾患や慢性炎症が引き起こされます。 (C)感染時に免疫反応が充分に活性化されないと感染症が引き起こされます。