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(掲載日2012.07.13)

第2回日本学術振興会育志賞を受賞!!

上沖 正欣さん(理学研究科生命理学専攻博士課程後期課程3年次)

本学理学研究科生命理学専攻博士課程後期課程3年次の上沖正欣さんが、研究課題「鳥類の夜間囀(さえず)り:視覚信号伝達困難な状況下における音声コミュニケーションの適応的意義の解明」により、第2回(平成23年度)日本学術振興会育志賞を受賞しました。
本賞は、将来、我が国の学術研究の発展に寄与することを期待される優秀な大学院博士課程後期課程に在籍する学生を顕彰し、その勉学および研究意欲を高め、若手研究者の養成を図ることを目的としています。
上沖さんに、研究内容や今後の抱負について伺いました。

第2回日本学術振興会育志賞の受賞、おめでとうございます。 今回の研究課題、「鳥類の夜間囀(さえず)り:視覚信号伝達困難な状況下における音声コミュニケーションの適応的意義の解明」はどのような研究か教えていただけますか。

(写真左から)家城理学部長、上沖さん、
吉岡総長、上田教授

これまで、動物たちは人間のように複雑なコミュニケーションはできないと思われていました。しかし、最近の研究から、動物たちも高度な情報伝達を行っていることが分かってきました。特に鳥は、人に次いで複雑な音声コミュニケーションが発達している動物です。
鳥の雄は繁殖期に「さえずり」と呼ばれる鳴き声を出します。さえずりには、縄張りの防衛と、雌への求愛の2つの機能があると言われています。昼行性の鳥は、普通は昼間にさえずりますが、昼間だけでなく夜間にもさえずる種類もいます。しかし、他個体の姿を直接認識することが難しいなど、行動的制約があると思われるのに、なぜわざわざ夜間にさえずるのか、その明確な理由は分かっていません。
そうした、夜にさえずる鳥の一つにヤブサメという鳥がいて、その理由を調べてみようと考えました。ヤブサメはウグイス科の全長10cmほどの小鳥で、雄は昼間、虫のような「シシシシ・・・」という、数秒ほどの短い単純な声でさえずります。しかし夜間は、一晩中途切れることなくさえずり続けます。この夜間さえずりは、渡りの時期にだけ行われており、縄張り防衛や直接的な雌への求愛としては機能していないと考えられました。
では、なぜ夜間にさえずるのか、次のように推測しています。
小鳥は夜間に渡りを行い、一般的に雄は雌よりも先に渡来することが知られています。そのため、ヤブサメの夜間さえずりには、繁殖地に渡ってくる個体(主に雌)を誘引する機能があるのではないか。繁殖地により多くの個体を呼び寄せることで、より早く繁殖が開始でき、繁殖して子孫を残す機会を増やしているのではないかと考えています。
これを解明するために、現在、研究を続けています。

なぜ、この研究に取り組もうと思ったのですか?

ヤブサメ

知り合いの虫を研究されている方が「虫のような声で一晩中鳴いている鳥がいる」ということを教えてくださり、それがヤブサメでした。
そのさえずりは本当に虫のようで、鳥に詳しい人でも、鳥とは思えないくらいです。どうしてそんなふうにさえずっているのか気になったのと、もともと鳥の鳴き声や、動物のコミュニケーションについて興味を持っていたので、ヤブサメの夜間さえずりについて研究しようと考えました。

研究をする上での苦労などはありますか?

ヤブサメの渡来に合わせて調査を行いますが、いつ、何羽渡来するかは年によって違いますし、天候に左右されたり、データ収集にも苦労しています。ヤブサメは非常に憶病な鳥で、野外観察が難しい上に、飼育実験もできないので、やきもきすることが多いですね。鳥と会話することができたらいいのに・・・と、いつも思います。

いつ頃から鳥に興味を持つようになったのですか?

小さい頃から田舎の野山を駆け回って、虫や魚を採集して遊んでいました。それで幼稚園の頃には自然と鳥の図鑑を眺めるようになっていました。中学生の頃、日本野鳥の会に入り、高校ではバードウォッチング部に所属していました。高校2年生の時に東京で開催された鳥学会で発表したのですが、そこで現在の指導教官である上田恵介教授(理学部生命理学科)に出会いました。ちょうど進学先の大学を選んでいる時で、上田先生の研究の話を聞いてとても面白いと思ったので、立教大学へ進学することを決めました。
ただ、立教大学の生命理学科は分子系の講義が主体なので、鳥に興味を持って入学したのに鳥と関連する科目はほとんどなく、学部時代は少し辛い思いをしました。しかし、現在は研究のためにヤブサメの血液からDNA抽出したり雌雄判定したり、分子実験も行うので、その時の経験が生かされています。

今後の研究について教えてください。

今年は、5月から8月まで北海道でヤブサメの調査を行います。どれだけデータが収集できるかにもよりますが、その後、博士論文を執筆する予定です。大学院終了後も、夜間さえずりはもちろんですが、ヤブサメに限らず鳥をテーマにして、社会性の成り立ちや異種間コミュニケーションなど、幅広く研究を続けていきたいと思っています。

本日はありがとうございました。今後のますますのご活躍を楽しみにしています。

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