第60回研究例会「薩摩藩の文芸とその環境——地域資料からの展望」

INFORMATION

  • 2017年12月17日(日)10:00~18:00
  • 池袋キャンパス 12号館地下1階 第1・2会議室

16~17世紀の、いわゆる中世近世移行期を経て、幕藩体制の安定化が図られていくのと対応する形で、南九州に拠点を置く薩摩藩・島津家でもそれまでとは異なる新たな体制整備が進められていった。その過程では、藩主島津家以下諸家において現在に至るまでの家譜を再構成したり、領内の寺社や名所・旧跡を含めたあらゆる〈場〉が持つ由緒が検証されたりしたことが明らかとなっている。一方、そうした政治的な動きと不可分な形で、さまざまな文芸にかかわる営みが活性化していたことについては、まだ十分な検討がなされていない。この研究例会では、薩摩藩に関わる17~19世紀の文芸資料を取り上げ、それぞれが持つ意義を資料学的側面を中心として検証するとともに、薩摩藩が近世を通じて育んでいった文芸を巡る環境の質について、他藩の状況も視野に入れながら検討する。山口眞琴氏・丹羽謙治氏による基調講演を行い、木村淳也氏・宮腰直人氏および鈴木彰の研究発表を踏まえて、全体討論を行う。

登壇者

講師

兵庫教育大学大学院教授
山口 眞琴 氏

「『本藩人物誌』から浮かび上がる諸問題」

【略歴】
専門は日本古代・中世説話。主要業績は、単著『西行説話文学論』(笠間書院 2009年)、論文「島津家朝鮮虎狩伝承の光と影——〈虎退治〉から〈虎狩〉へ——」(『兵庫教育大学研究紀要』49 2016年)など。

鹿児島大学法文学部教授
丹羽 謙治 氏

「薩摩藩の文学・歴史資料の転写と保存について」

【略歴】
専門は日本近世文学。主要業績は、共著『薩摩藩文化官僚の幕末・明治木脇啓四郎『萬留』—翻刻と注釈—』(岩田書院 2005年)、単著『鹿児島県史料集(54)通昭録(三)』(鹿児島県立図書館 2015年)、「島津重豪の『成形図説』出版事業」(『黎明館開館30周年記念企画特別展島津重豪薩摩を変えた博物大名』鹿児島県歴史史料センター黎明館 2013年)など。

明治大学文学部助教
木村 淳也 氏

「薩摩が描いた「琉球」——『琉客談記』『琉館筆譚』から見えるもの」

【略歴】
専門は琉球文学、日本古典文学、東アジア文化。主要業績は、「島津重豪の時代と琉球・琉球人」(鈴木彰・林匡編『島津重豪と薩摩学問・文化』勉誠出版 2015年)、「王府の歴史記述——『球陽』と『遺老説伝』」(島村幸一編『琉球 交叉する歴史と文化』勉誠出版 2014年)など。

山形大学人文学部准教授
宮腰 直人 氏

「米沢藩士と語り物文芸——平曲と幸若舞曲を中心にして」

【略歴】
専門は日本中世文学・語り物・物語絵画。主要業績は、論文「牛若の地獄極楽遍歴譚試論—『天狗の内裏』の版本系諸本と奥浄瑠璃諸本をめぐって」(『立教大学日本文学』116 2016年)、「舞の本『敦盛』挿絵考—明暦版と本問屋版を中心にして」(『文化現象としての源平盛衰記』笠間書院 2015年)、など。

文学部文学科教授・日本学研究所副所長
鈴木 彰

「移行期を生きた薩摩藩士の文事——『高麗渡』と『夢物語』」

コーディネーター・司会
鈴木 彰

詳細情報

名称

第60回研究例会「薩摩藩の文芸とその環境——地域資料からの展望」

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 不要
  • 参加費 無料

主催

日本学研究所

共催

日本学術振興会科学研究費基盤研究(C)「戦国期島津氏の領国文化とその近世的再編を支えた文芸環境の研究」(課題番号25370236 研究代表者:鈴木 彰)

お問い合わせ

日本学研究所事務局

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