説教壇(池袋チャペル)

チャペルの豆知識

2015/01/01

キリスト教とチャペル

OVERVIEW

チャペルにまつわる豆知識をご紹介します。

諸聖徒礼拝堂(池袋チャペル)の説教壇は、他の調度品とちょっと雰囲気が違うと感じられたならば、とても目利きだと言えましょう。他の調度品と不釣り合いだと言うのではありません。実際、チャペルによく似合い、スタイル的にも他の調度品に加えるのにぴったりです。実は、この説教壇は割合新しく、2001年にチャペルに加えられました。スタイル的にはとても質実剛健で機能的です。周りの調度品に似せているのでもなく、かと言って、目立っているわけでもありません。そういう意味では、チャペルの宝物として加えるのに理想的です。なぜなら、立教大学のキャンパス全体の雰囲気と似た要素を持つからです。池袋キャンパスの新しい建築物を見てみると、マキムホールやポール・ラッシュ・アスレティックセンターは、大学本館(モリス館)や他の設立当初からある建物そっくりではありません。しかし、れんが造り風だったり、全体のバランスなどにおいて調和を保っていて、キャンパス全体で美しいハーモニーをなしています。新旧あい合わさり、一つの機能的スタイルになっています。
チャペルの説教壇の意匠は、戦前の諸聖徒礼拝堂の写真に残るオリジナルな説教壇をモデルとしたもので、側面にゴシック様式の透かしの彫刻が施されています。製作は、元立教大学チャプレンでもあった大郷博氏の工房によるものです。そして、この説教壇は、とても特別な背景を持ってチャペルに備えられたものです。日本聖公会北関東教区主教(1947~76年)であった大久保直彦主教と長島直之氏のご遺族により、諸聖徒礼拝堂に奉献されたものなのです。大久保直彦主教は、立教学院院長(1970~79年)、チャプレン長(1965~82年)も務められた方です。また、長島直之氏は、1999年の全日空ハイジャック事件でただ1人犠牲になられた機長を務めた方です。

長島直之氏は、小学校から大学まで立教で学ばれました。責任感と正義感にあふれ、機長として一人コックピットの中で犯人に対峙し、乗客乗員の命を守るために致命傷を負いつつ、最期まで操縦桿を離さなかったといいます。そして、その尊い命を落とされました。長島氏の勇気ある行動に、あらためて敬意を表したいと思います。また、立教で学ばれたもの、学業と同時に人格教育上学ばれたことに思いを馳せます。

これらのことを心に留め、この説教壇から説教をさせていただくことに大きな意義を感じます。私達も長島氏が育まれたようにこの説教壇から多くのことを学び、行く路の道しるべを得ることができれば、幸いです。長島氏の勇気と立教での学びが忘れ去られることなく、彼の示した行動から学ぶことができますように祈りたいと思います。
 参考:『チャペルニュース』第472号1999年9月号「故長島直之氏のこと」香山洋人、
    『チャペルニュース』第489号2001年6月号

立教大学チャプレン マーク・シュタール


〔『チャペルニュース』第581号 2015年2・3月号/連載「チャペルのタカラモノご紹介します!」より〕

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