新しい「らしさ」を目指した三谷主将——言葉で紡いだ1年の歩み

ハンドボール部

2024/03/22

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

2021年11月、全国8強入りを果たしたハンドボール部。手にした1部の座を守り抜くべく、三谷世代は始動した。競技だけではなく、選手一人一人に向き合う真摯(しんし)な姿勢。コートには、関東最高峰の舞台を前に奮闘する主将の姿があった。

リーダーとして

試合中にチームを鼓舞する三谷光翼

厳しいリーグ内競争で敗戦が続き、部の雰囲気がよどんでいた22年度。11月、世代交代を迎え主将を任された三谷光翼こうすけ(営4)は、学年間の壁がないチームを目指す。下級生も部をけん引する力を養うため、「全員での並走」をテーマとした。不満やアイデアを上級生に伝えやすい関係性を築くため、部員とのコミュニケーションを重視。選手に寄り添うトップの姿が、チームの雰囲気を晴れやかにした。

捨てる勇気。競技と向き合う中で、三谷が大切にした価値観だった。「何かを捨てられる人でなければ、高い目標をつかむことはできない」。友人や家族と過ごす時間を削り、強いチーム作りに注力。並走を重視する中、勝利のために一緒に戦ってきたメンバーを試合から外すこともあった。彼らの士気を保つため、常に意識したのは伝え方。声掛けや目線、聞き手の立場も考慮して思いを届ける。期待に応えるため部員たちはつらい中でも足を動かし続け、ベンチ外の選手も声出しでプレーを鼓舞。全部員で勝ちにいく。ミーティングや個人の対話を通し、全員が同じ目標を追う体制を作り上げた。

とにかく前を向いて

ゴールを狙う大久保光将(営3)

新世代で迎えた2023春季リーグ。チームの雰囲気向上がプレーを後押しするも、結果は1勝7敗1分。続く入れ替え戦は僅差で敗れ、2部降格を喫した。星取表に黒星が並ぶ中、チームの背中を押したのは三谷の言葉。「ここで下を向いていても何も始まらない」。誰よりも悔しいはずの主将が前を向く姿に部員は再び顔を上げる。トップの姿勢に並走し、一人として最後まで勝利を諦めなかった。

グータッチをする大久保(左)と三谷(右)

2部での戦いを控え、オフシーズンは堅守速攻に磨きをかける。代々引き継ぐ立教らしいプレーで試合を運び、コート内外の声出しも強化。三谷の言葉通り、チームは常に前を向いていた。迎えた秋季リーグは点差にこだわり、白星を重ねる。本命の1部奪還に向け、助走は十分だった。入れ替え戦では両者譲らぬ攻防を見せ、3点ビハインドで臨んだ後半も泥臭くコートを駆ける。1点差まで詰め寄るも、試合終了の笛が響いた。1部の壁にあと一歩届かなかったが、三谷は次年度への手応えを覚える。最高峰奪還は後輩たちに託された。

三谷が部を率いた1年で結果以上に得られたものはチーム力。試合会場は前年にない盛り上がりが広がった。ウオーミングアップから積極的に声を出し、笑顔で試合に臨む姿は観客の心をつかむ。再構築した雰囲気は、チームを応援しがいのある存在へと昇華させていた。好転した空気は「らしさ」となり次世代へ引き継がれる。世代交代を迎えたハンドボール部は、新体制で新たなページを開く。

※2022年11月から1年間主将を務めた三谷光翼(営4)の姿を追いました。現在の主将は大久保光将(営3)です。

得点を決めた青木蓮斗(コ2)と盛り上がる観客席

「立教スポーツ」編集部から

立教大学体育会の「いま」を特集するこのコーナーでは、普段「立教スポーツ」紙面ではあまり取り上げる機会のない各部の裏側や、選手個人に対するインタビューなどを記者が紹介していきます。「立教スポーツ」編集部のWebサイトでは、各部の戦評や選手・チームへの取材記事など、さまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

writing/「立教スポーツ」編集部
経済学部経済学科2年次 小島優太

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