地元・岩手に寄りそう臨床心理士
人との出会いが力になる

岩手県立南光病院 臨床心理士 小岩 健祐さん

2017/10/12

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

文学部を卒業し、今は岩手県立南光病院で臨床心理士として働いている小岩 健祐さんからのメッセージです。

小岩健祐さんの立教での臨床心理学の学びは、修士課程も合わせて6年間。特に印象深かったのは、学部2年次に行った実験・調査の実習。数人のグループで心理学に関する実験を行い、それをレポートにまとめる授業だ。

「発汗量を測る装置を用いてデータをまとめる実験など、仲間とディスカッションしながら体験的に学ぶのはとても刺激的でした。臨床のスキルだけでなく、土台となる基礎の部分を大切にすることを教わりました」

大学院修了後に勤務したのは埼玉県内の教育機関だった。そこで不登校や発達障害をもつ子どもたちと関わることになる。埼玉の風土の中で育っていく子どもたちをみていくうちに、地元・岩手で働きたいという思いが徐々に強まっていった。同じ町に育ち、土地への愛着を持つ臨床心理士だからこそできる心のサポートもあるのではないかと気付いたからだ。

岩手県での初任地1年目。被災前の三陸の海

「岩手県は広大な土地が自慢な反面、医療資源の乏しい地域が多くあります。そのような地で地域に根差した仕事ができることは、私にとってとても魅力的でした」

とはいえ、地方病院の臨床心理士は、毎年定期的な採用があるわけではなく、採用人数もごくわずか。欠員補充の形で少しだけ募集がかかるような職種である。小岩さんがまず苦労したのは、採用情報の収集だった。

「各機関の発する公募状況のチェックはもちろん、同じ職を目指す仲間との情報交換も重要な情報源でした。私の場合、自分がやりたいことを周りの人によく話していたことが今につながっているように思います」

冬は本州一の厳寒の地で、ワカサギ釣りを楽しむ

自分が何をしたいのか、明確にビジョンを描き、それを人に伝えることができていれば、それに関わる情報を手に入れた周りの人が、小岩さんに教えてくれることが増える。人とのつながりが情報をつないでくれたのだ。

「仲間たちはもちろん、日々仕事を通して出会う患者様やご家族など、多くの人々と関わっていく中で、私自身も力をもらうところがあります。皆さんからいただいた力が、明日の仕事の原動力になっています」

今小岩さんは、岩手県医療局の臨床心理士として精神科病院に配属されている。病気の回復に向けて一人一人の話を聞き、人生の新たな物語を紡ぐサポートを行うために。多くの出会いを重ねながら、いま、この場所で何ができるのか、小岩さんは考え、行動し続ける。

プロフィール

PROFILE

小岩 健祐さん (Kenyu Koiwa)

岩手県立南光病院 地域生活支援連携室 臨床心理士
2002年 文学部心理学科 卒業
2004年 文学研究科心理学専攻臨床心理学領域 博士前期課程 修了

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