立花隆行氏が第17回真空進歩賞(日本真空協会)を受賞

先端科学計測研究センターの立花隆行博士研究員が,2008年度の真空進歩賞(日本真空協会)を受賞いたしました。表彰式及び受賞記念講演は2008年10月28日に,くにびきメッセ(島根県松江市)にて行われます。

第17回真空進歩賞受賞理由

授賞者: 立花隆行(立教大学先端科学計測研究センター)
業績 : ネオン固体表面上からイオン衝撃脱離するクラスターイオンの観測



(主論文)
立花隆行、深井健太郎、藤田慎也、小泉哲夫、平山孝人
「ネオン固体表面上からイオン衝撃脱離するクラスターイオンの観測」
J. Vac. Soc. Jpn. 51, No.3 (2008) 138.



入射イオンと固体表面との相互作用は、表面微細加工、表面分析、薄膜作製などへの応用上の関心から盛んに研究されてきた。この中で、希ガスイオンと希ガス固体表面との相互作用については、希ガス原子が他の原子と電子的な相互作用を行なわないため、化学結合を形成しうる系に比べて機構を単純化して考察できる利点がある。Ar固体表面に数keVの運動エネルギーをもつAr+ イオンを入射するとクラスターイオンArn+が脱離することが知られているが、クラスターイオンの形成機構や脱離機構は未解明であった。

立花隆行氏らは800原子層程度までのNe凝縮薄膜に1.2keVのAr+イオンを入射し、脱離するNen+ (n=1-19)クラスターイオン数の運動エネルギー分布、膜厚依存性を測定した。その結果、原子数3以下と4以上のクラスターイオンでは形成機構が異なることを明らかにした。n ≦ 3では3eV以上の運動エネルギーを持つ脱離イオンが含まれており、膜厚が数原子層でも観測されることから、スパッタリング(と電子刺激脱離)を含む過程で形成されると推測している。これに対して、n ≧ 4では3eV以上のエネルギーを持つイオンはほとんどなく、膜厚が数十原子層にならないと観測されないことから、固体中に形成された高密度の衝突カスケード領域が気体となって真空に放出される際に、脱離イオンが周囲の原子と衝突を繰り返すことによって形成されると推測している。

以上のように、イオン衝撃による希ガス固体表面からの脱離機構やクラスターイオンの形成機構について有用な情報を得たことは高く評価され、今後の発展も大いに期待される。

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