今年度の講演会等

2019年3月9日

公開講演会「第6回学術研究大会」

立教大学経済研究所主催の第6回学術研究大会「トランプ政権とアメリカ経済」が、2018年3月9日(土)に立教大学池袋キャンパスの8号館8201教室において開催された。

この度6回目を迎える本大会は、本学経済学部にゆかりのある研究者(卒業生、名誉教授、助手・助教経験者など)による年に一度の研究会であり、研究上の交流を通じて懇親を深め、経済学部および経済学研究科の研究・教育の向上を図ることを目的にした公開講演会である。

研究大会では、まず大友敏明(立教大学経済研究所長)による開会挨拶において、保護主義を志向するトランプ政権下のアメリカ経済を考察することの意義について説明がなされた。その後、本学名誉教授2名、本学経済学部教授1名、計3名の研究者による研究報告と全体討論が行われた。当日は、本学経済学部の教員および退職者、本学経済学研究科の修了生、一般参加者など105名が参加した。

第一報告の小西一雄(本学名誉教授)「分裂するアメリカ資本主義―トランプ現象の経済的背景を考える―」では、まずリーマンショック以降も経済成長を持続し得たアメリカ経済の背景として、大量の移民流入と家計債務の増大による内需拡大のほか、情報通信産業の勃興や金融のグローバル化があったことが強調された。しかし、増大する移民労働者はラストベルト(さびついた工業地帯)から吐き出された白人労働者と低賃金労働力市場で競合し、金融のグローバル化は資産格差の拡大をもたらし、トランプ政権登場の背景となったことが指摘された。

第二報告の山縣宏之(本学経済学部教授)「トランプ現象の経済的背景―ラストベルトの産業構造高度化と製造業労働者―」では、まず2010年以降のアメリカにおける製造業の雇用回復傾向のなか、当該地域は平均よりも下位にあったことが確認された。次に、伝統的な民主党支持州でありながらもトランプ候補を選んだウィスコンシン・ミシガン・ペンシルベニア3州のデータでは、製造業雇用者が相対的に多いことが指摘された。その背景として、州政府による労働組合弱体化をともなう製造拠点誘致策があり、トランプ現象の一因となったことが報告された。

第三報告の北原徹(本学名誉教授)「中間層の没落とトランプ政権下のアメリカ経済」では、まず資産格差の拡大による所得格差の拡大や、中間層の所得低迷などのグラフが示された。続いて、家計資産増大の多くはキャピタルゲインによるものであり、2010年以降は株式保有比率の高い富裕層の保有資産が増大した一方で、中間層の家計債務が拡大したことが指摘された。家計債務の増大による支出拡大と資産価格上昇による資産効果は限界にたっしつつあり、所得格差の拡大による消費低迷が顕在化するリスクに警鐘が鳴らされた。

最後の全体討論ではフロアから多岐にわたって質問が出た。資本市場および金融政策に関するアメリカと日本との比較、アメリカ中間層に位置する白人労働者に対する移民労働者が与える影響、自動運転にみられるような従来型産業(自動車産業)と新興産業(IT産業)との融合、州によって異なる税制が個人消費に与える影響、個人所得の収入源の内訳、金利低下と景気循環との関係についてなど、報告者との間で活発な質疑応答が行われた。

最後に、菅沼隆(立教大学経済学部長)による閉会挨拶において簡単な総括がなされた後、今年度で定年を迎える大友敏明(立教大学経済研究所長)への慰労の言葉で締めくくられ、満場拍手で閉会となった。

小西 一雄氏(本学名誉教授)
第一報告者「分裂するアメリカ資本主義ートランプ現象の
経済的背景を考えるー」
小西 一雄氏(本学名誉教授)

山縣 宏之氏(経済学部教授)
第二報告者「ラストベルトの産業構造高度化と製造業労働者
ートランプ現象の経済的背景の考察ー」
山縣 宏之氏(経済学部教授)

北原 徹氏(本学名誉教授)
第三報告者「中間層の没落とトランプ政権下のアメリカ経済」
北原 徹氏(本学名誉教授)

全体の様子
全体の様子

2018年10月4日

国際シンポジウム「農業の持続可能性評価の試みと有機農業」

2018年10月4日(木)に池袋キャンパス7号館7101教室において、国際シンポジウム「農業の持続可能性評価の試みと有機農業」を開催しました。

経済研究所長のあいさつの後、イントロダクションとして大山利男准教授(本学経済学部)より本シンポジウムの趣旨が説明されました。有機農業は、もっとも持続可能な食料農業システムの一つと見なされてきましたが、ここ数年あらためて真に持続可能なシステムであるのかを再点検する国際的な動きがあること、その背景には持続可能な開発目標(SDGs)が国際的課題とされる中、食料農業分野においても持続可能な食料農業システムのあり方が問われていること、国連食糧農業機関(FAO)は「食料農業システムの持続可能性評価(SAFA)ガイドライン」を策定し、環境、経済、社会、ガバナンス等の多次元的な観点による持続可能性評価手法の開発を促していること、などの動向を紹介しました。

第1部の基調講演では、はじめにマティアス・シュトルツェ氏(FiBL:スイス有機農業研究所理事・社会経済研究部長)により、ヨーロッパにおける有機農業・市場の展開状況と農政改革の新しい潮流についてご講演をいただきました。世界的にもっとも有機農業が普及しており、有機食品市場も成長をつづけている地域ですが、その鍵となってきたのは政府の直接支払制度でした。しかし近年、持続可能性評価に基づいた新しい支払制度の提案がなされており、そこでは持続可能性の評価手法の開発に注目が集まっているという状況も紹介されました。つづいてクリスチャン・シャダー氏(同研究所 研究開発グループリーダー)より、食料農業システムの持続可能性評価手法について、実際に開発に携わる立場からご講演をいただきました。FAOのSAFAガイドラインにおける評価指標は、4局面、21項目、58小項目ですが、シャダー氏らが中心となって開発している評価手法SMARTでは、327指標を組み込み、世界各地の有機農場データを収集し、評価手法の改良をすすめているということでした。つぎに大山利男准教授より、日本の有機農業データに関する収集状況について報告がありました。日本国内の状況を把握できる客観的な統計データはきわめて限られていますが、その限られたデータの中から、日本の有機農業のポイント(土地利用型の耕種部門、畜産部門で弱いことなど)について指摘がありました。また谷口葉子氏(宮城大学講師)からは、有機市場データの収集システムについてご報告がありました。統計データがもっとも整備されているヨーロッパ諸国における有機農業データの収集方法、有機市場の調査手法などについて説明されました。

第2部のパネル・ディスカッションでは、より具体的な評価手法の実際について、またこのような評価手法を採用して実際に評価を試みている国にはどういった国があるのか、といった数々の質問・疑問への回答や、これからの日本の有機農業・食品産業部門への適用可能性と課題について意見交換がなされました。

シンポジウムには、平日午後に時間にもかかわらず約70名の参加がありました。大学・研究機関等の研究者や学生のほか、行政・議会関係者、有機農業関係者、流通事業者など多方面からご参加をいただきました。ここに厚くお礼を申し上げます。

大友敏明所長 開会挨拶
大友敏明所長 開会挨拶

シンポジウム趣旨を説明する大山利男准教授
シンポジウム趣旨を説明する大山利男准教授

マティアス・シュトルツェ氏(Dr.. Matthias Stolze, FiBL
マティアス・シュトルツェ氏(Dr.. Matthias Stolze, FiBL)

クリスチャン・シャダー氏(Dr.. Christian Schader,, FiBL)
クリスチャン・シャダー氏(Dr.. Christian Schader,, FiBL)

谷口葉子氏(宮城大学)
谷口葉子氏(宮城大学)

会場風景
会場風景

2018年4月25日

公開講演会「公認会計士への道」の開催報告

2018年4月25日(水)に11号館A203教室において、公開講演会「公認会計士への道」が例年通り開催された。昨年実施された講演会に比べて参加者は増加し42名が講演者の話に聞き入った。また、講演会後には多くの個別質問が寄せられた。

司会及び経済研究所長のあいさつの後、日本公認会計士協会が作成したビデオ「コウニンカイケイシってナンダ!?」の上映が行われた。公認会計士の業務について、監査、コンサルティング、組織内会計士という3つに分けて説明をするものであった。内容は大変わかりやすく簡潔にまとまっており、初めて「公認会計士」について知る参加者にも良く伝わったのではないだろうか。

その後、本学文学部フランス文学科を卒業された羽山友紀子氏(公認会計士・日本公認会計士協会東京会 広報委員会委員)より、公認会計士協会が作成したパンフレットに沿って公認会計士制度についての解説があった。また、ご自身の経験を踏まえ、公認会計士という職業の魅力についても穏やかに語っていただいた。

次に、昨年、本学経済学部4年在学中に公認会計士試験に合格し、現在、PwCあらた有限責任監査法人に勤務されている近藤はるか氏(本学経済学部2018年卒・2017年合格)から、小学生の時に公認会計士を目指すことを決め、大学1年の後半から公認会計士試験に挑戦し始めたこと、1日10時間ほど勉強し、試験に合格したというお話をいただいた。また、最後に、参加者に対して、公認会計士試験に挑戦して欲しいという激励があった。
また、山田浩一氏(公認会計士・立教公認会計士会会長)からは、本学OB・OGの公認会計士の方々のご活躍の様子等についてもお話しいただいた。さらに、公認会計士という資格を活かして、どのようなキャリアパスがあるのかを丁寧にご説明いただき、公認会計士試験へのチャレンジの推奨がなされた。

大変短い時間の講演会ではあったが、講演者のご尽力により内容は充実し、個別の質疑応答も行列になるほど活発に行われ、勉強方法を中心に参加者へ多くのアドバイスもいただいた。

監査業務の繁忙期にもかかわらず、後輩のためにご協力いただいた講師の先生方には、篤くお礼申し上げたい。

大友敏明所長挨拶
大友敏明所長挨拶

全体の様子
全体の様子

羽山友紀子の講演
羽山友紀子氏の講演

近藤はるか氏の講演
近藤はるか氏の講演

山田浩一氏の講演
山田浩一氏の講演

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