苦難と向き合い、新たな一歩!立教男子駅伝チーム 3年目のチャレンジ

体育会陸上競技部

2021/03/19

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

立教大学が、2024年の創立150周年に向け、同年に100回目を迎える箱根駅伝への出場を目指す「立教箱根駅伝2024」事業は、2018年11月のスタートから、この3月いっぱいで2シーズン目を終える。1968年以来の出場という古豪復活に向け、チームを率いるのは、事業スタートと同時に同大学陸上競技部男子駅伝監督に着任した上野裕一郎監督だ。長くわが国の中長距離界のエースとして活躍し、いまも現役ランナーである上野監督に、2020年度の活動を総括してもらうとともに、21年度シーズンにチームの核となる2選手に、目標と抱負を語ってもらった。(文中一部敬称略)

部活停止で自ら進んで練習する大切さを学ぶ

上野 裕一郎監督

2018年12月に陸上競技部男子駅伝監督に着任した上野裕一郎監督にとって、2020年度は、自身がスカウトした有力新人が加わったことで、さらに成績アップが期待されたシーズンでもあった。ところが、年が明けてからの国内での新型コロナウイルス感染症拡大により、出足をくじかれてしまう形になってしまった。

創部100年の節目となる2020年の3月に完成し、利用が始まった部の専用寮「紫聖(しせい)寮」に一度集結した部員たちは、4月の緊急事態宣言の発令後、部活動停止となったことで、各自の判断で寮に残るなり、自宅に戻るなりし、密にならないよう、それぞれで工夫し自主練習に励んだ。
ただ、そうした逆境下でも、選手は着実に成長を遂げた。上野監督は、こう振り返る。

「全員が寮に戻り、部活動を再開することができた6月下旬まで、自由に練習ができない期間が2か月以上あったのは、うちのような経験の浅いチームにとっては、もったいないことでした。それでも、各自が自分の頭で考えて、自ら進んで練習することの大切さを学ぶことができた点では、よかったのではないでしょうか。ひとりで練習することで、体調管理のむずかしさが、よく認識できたと思うのです。」

予選会コース変更に対応できず出場権を逃す

給水は1人1ボトル、全部員個室での宿泊など、徹底した感染防止対策を施した上で行った山形、長野、熊本での3度の夏合宿では、前年の箱根駅伝予選会で、後半ペースを落としたことへの反省から、距離走を増やしたり、個々のジョギングの時間を延ばしたりして、しっかり「足を作る」ことに力を入れ、「スタミナはついた」(上野監督)との手ごたえを得ることができた。

そして、迎えた10月17日の箱根駅伝予選会。掲げた目標は、総合19位以内、各選手の平均タイム65分24秒の総合タイム10時間54分台。結果は、総合タイムは、前年の記録を29分37秒も上回る10時間54分12秒と目標をクリアしながらも、順位は前年の23位から28位に大きく落とし、上位10校に与えられる本選出場権を獲得することはできなかった。

感染症防止対策から、従来の陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、起伏のある国営昭和記念公園内を巡るコースが、1周約2・6キロのフラットな周回コースに変更されたことで、より速いペースのレースになったことが誤算のひとつだった。

「各自の目標タイムに向けて、ペースを合わせていく作戦でしたが、周回の2周目までに、判断ミスだと気づきました。他大学の選手が、あまりに速すぎました。こうした本番での私の判断ミスに加え、力のある1年生4人がけがでエントリーできなかったのも悔やまれます。4年間かけてじっくり育てたいという思いでいたにもかかわらず、オーバーワークを止めることができなかった。管理不足でした。そうした中でも、出場した選手たちは全力を出し切ってくれました」

学生連合チームとして12年ぶりに立教の選手が箱根出場

思いもかけぬ結果だったが、大きな収穫もあった。予選会でチームのトップだった1年生の中山凜斗(コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科)が関東学生連合チームに選抜され、立教の学生として12年ぶりの箱根駅伝出場を果たしたのだ。それに加え、2位の斎藤俊輔(3年、観光学部観光学科)も予選会で力強い走りを見せてくれた。斎藤は、昨年はけがで夏まで満足な練習ができなかったのにもかかわらず、そこから自己ベストを大きく更新する5000m13分51秒64を出している。「4年生になる2021年度は、中山に続く、学生連合の最有力候補」と上野監督は期待を寄せる。

予選会の後、上野監督は、現役のアスリートとして、12月4日に大阪府で開催された日本陸上選手権大会の男子5000mに出場し、13分45秒28で13位という成績を残した。レースを走り終えた上野監督は、「こうした日本一を決める舞台で走るのは僕ではない。選手たちだ。立教大学陸上競技部の選手をこの場で走らせてあげたい」と強く感じたそうだ。

まずは全日本大学駅伝を照準に、大きな目標達成を目指す

3シーズン目となる2021年度を迎えるにあたり、上野監督は、力強く、こう話す

「事業の目標を達成できるかどうか、いま、どちらに転ぶかわからない大事な時期を迎えていると思います。選手たちには、昨年の予選会後、目標タイムを告げ、それをクリアした選手しか予選会で起用しないと伝えました。まずは、大学3大駅伝のひとつである全日本大学駅伝の選考会に照準を合わせ、本選への出場を目指します。
選手それぞれには、自分のやりたい種目で、4年間を通じて目標を達成できるよう指導しています。各自がそれぞれの目標を達成することで、トータルな結果として目標を達成できると信じています。
ただ、それは私たち駅伝チームだけでは、成すことはできません。立教大学や、OB、OG、関係者の方々など、多くの人の支えがあってこそ、実現可能だと思っています。幸い、新しい寮のおかげで、全部員での朝練ができるようになりましたし、コミュニケーションも十分とれるなど、すばらしい練習環境に恵まれています。皆さんへの感謝の気持ちを常に抱きながら、目標に向かっていきたいと思っています。これからも、応援をよろしくお願いいたします」

新主将・石鍋拓海 「下級生を巻き込みながら、チーム力アップを図っていきたい」

石鍋 拓海(3年、法学部法学科)

伝統として選手の自主性を重んじる立教大学陸上競技部では、選手間の話し合いで、新主将が選ばれる。昨年の予選会後、新しく駅伝チームの主将に就いたのは、多くの下級生に支持され、上野監督からも「大学に入ってから、こつこつ努力して記録を伸ばしている。彼なら異存ない」と高く評価された石鍋拓海(3年、法学部法学科)だった。主将の大任を引き受けた当時の心境について、石鍋はこう話す。

「まず、最上級生として、チームに貢献したいという思いがありました。私を主将に、という声が上がる中、いろいろと下級生の話を聞いているうちに、主将として広い視野を持つことが、自身の成長にもつながるのではないかと思い、引き受けることを決断しました」

昨年の予選会後、石鍋はチーム内に、「箱根駅伝の本選に出場したい」との気持ちが高まっていることを実感しているという。その上で、こう続ける。

「特に、事業が始まってから入学した1,2年生にその気持ちが強いように感じます。私たち3年生は、そうした事業にかかわる中で、その土台づくりに貢献できればとは思っていましたが、そうした下級生の思いを知ることで、それ以上に強い気持ちがなければ、目標を達成できないと考えるようになりました。自分たちの代での目標達成を目指し、私たち上級生が下級生を巻き込みながら、チーム力アップを図っていきたいです」

4区を走った中山凜斗 「次はチームとして出場する」

中山 凛斗(1年、コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科)

そうしたチーム全体のモチベーションを高めるきっかけになったのが、立教大学の学生として12年ぶりに箱根駅伝に出場し、往路の4区、平塚から小田原までの20・9キロに挑んだ中山凜斗の走る姿だった。

「最後の上り坂が本当にきつくて、足が止まりそうなくらいでした。でも、この襷をつながなくては、と思い、必死で走りきりました。力を使い果たしました」

懸命の力走を、中山はこう振り返る。

チームの目標に先んじて、個人で箱根駅伝出場の夢をかなえたものの、本選での走りは決して満足できるものではなかった。記録は、1時間5分33秒(参考記録)、21人のうち18位相当という成績だった。

大会後、チームに戻り、「もっと、タイムを出せた。思い通りの走りができなくて悔しかった」という話をしたところ、「予選会でチームトップだった中山でもそうだったのだから、自分たちの力はまだまだ足りないということだ。全体としてもっと力を底上げしよう」とチームが一丸になったそうだ。

4月には実力のある新戦力も加わる。2年生となり、チームの主軸としての期待がかかる中山は、抱負をこう話す。

「目標の実現に向け、チームのメンバーに頼られる存在になりたいと思っています。そのためには、最後に足を残せるよう、スピードをつけていきたい。次は、チームとして箱根駅伝に出場したいです」

選手、大学、OB・OGといった関係者を巻き込んだ立教大学のチャレンジはこれからが本番を迎える。


[2021年2月12日]

※本記事は「読売新聞オンライン」掲載広告(2021年3月19日公開)をもとに再構成したものです。

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