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教員に聞く!文学部で学べること  史学科日本史学専修 後藤 雅知 教授

歴史学とは、過去の断片からオリジナルの答えを模索すること

 大学で歴史を学ぶ方法や意味は、はたして高校までと違うのか。高校までの歴史の授業は、教科書に書いてある事項などを年代順に暗記することがほとんどです。しかし、大学ではそうした教科書の記述のいわば基礎となるような史料を探し、そこに記述された内容から当時の姿を自分で一から組み立てて復元していく方法をとります。結果として、教科書に書いてあるような画一的なものではない、当時の社会のあり方が見えてきます。

 例えば江戸時代の村には名主という長がいて、村方三役がいて......という構造を学んだと思います。そのため村に名主は一人しかいないとイメージされている方もいるかもしれませんが、実際は村に名主が何人もいたり、複数の領主が一つの村を支配したりすることもありました。これは当時の史料を見ればすぐわかることです。教科書の記述は何を根拠に書かれているのか、というところから始まり、テーマに即して掘り下げて考え、史料を探し、当時のあり方を自分の手で再現してみる。それができるのが、大学で歴史を学ぶ面白さでしょう。

 史学科には、世界史学・日本史学・超域文化学という三つの専修がありますが、何を学ぶにしても重要なことは、自分が学んでいることを踏まえて、今私たちが暮らしている社会をどう相対化するのかということです。現代社会と比較する対象として、日本の過去の時代を選ぶのか、異なる文化の歴史や社会のあり方を選ぶのか、その方法はいろいろですが、現代の私たちが持つ価値観だけで、人間が生きてきたわけではないということを理解することが重要です。

 今の日本では、結婚制度が家庭を構成する基本的な仕組みとなっていますが、昔の日本でも結婚に対する風習・考え方は異なりますし、世界を見てみれば、例えばフランスなどは長く一緒に暮らしても結婚しない人々も多数います。どれが良い、悪いではなく、それぞれ、社会に蓄積されてきたさまざまな経緯を踏まえているのです。今の日本社会で「あたり前」だと思っていることは、本当に「あたり前」なのか、さらにこれからも永遠に続いていくのか、そんなことを考えて欲しいのです。史学科で勉強することは、ただ過去を知るだけではなく、未来の私たちのあり方を考えていくことにつながります。

 一番の基礎となる史料から自分で物事を組み立てていく作業を体得することで、現代社会のさまざまな問題を、その表層だけで判断するのではなく、問題の根底に立ち返り、深く物事を見る視点を育て、自らの答えを導き出せる力を身につける。それを学べるのが文学部という場であり、史学科の教員としてみなさんに提供したいことだと考えています。

(取材日:2016年1月14日)

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