立教大学理学部化学科の教育

 立教大学理学部化学科は1949年に創立されました。以来56年、日本の私立大学に設置されたものとしては最も長い歴史を有する化学科の一つで す。創立 当時より、一学年学生定員を40名とし、少人数で高密度の指導を行う教育方針が貫かれてきました。特に3年生に課せられる学生実験は1971年のカリキュ ラム改定まで週6日の午後全部の時間が充てられて熱心に行われたことは今でも卒業生達の語り草となっています。講義・演習・学生実験を組み合わせて、少人 数教育の伝統を生かし基礎からじっくりと教育する指導方針は現在に受けつがれています。

 現在、IT(情報技術)が注目されています。ITは一見化学に関係なさそうにみえます、実際はITには原子や分子にかかわる化学の基礎研究が大きく貢献 しています。現代のコンピュータを支える半導体やモバイル機器を活かす高性能リチウム電池の開発も、実は化学の基礎研究なしにはできない科学技術です。巨 大な電波望遠鏡や宇宙望遠鏡は宇宙空間に多くの種類の分子が存在することを証明しました。宇宙の分子であっても、その形や化学反応は地球上で今までに行わ れてきた化学の研究からわかったものと同じです。近年の理論化学は宇宙に起こる化学反応を次々と明らかにしています。太陽の光を受けて植物の葉で起こるの は光化学反応ですし、生物は生きるためのエネルギーをすべて細胞の中でおこる化学反応から得ています。化学は自然現象や物質の性質を明らかにするものであ り、人間の生活に直接かかわる基本原理です。

 化学反応はどのような時に起こるのか、どのような化学反応によってどのような物質が得られるのか、分子の形はどのような原理で決まるのか、目に見えない 分子の形はどのようにすれば分かるのか、そしてどのようにすれば量を決定することができるのか、物質の色はどうしてつくのか、などなど、化学の基本的原理 は多岐にわたっていますし、それぞれが大切なことがらです。私たちは即戦力、とかすぐに役立つことにこだわっていません。立教大学理学部化学科では化学を 基本的原理から理解する姿勢を大切に考えています。10年先、20年.そしてそれ以上も通用する基本です。4年間、みっちりと落ちついて化学の基礎を学ん でみませんか。しっかりとした科学的視点を持ちながら、21世紀社会を生きなければなりません。自由な生き方は、基本の上に立つ広く深い知識があってこそ 可能です。それが、リベラルアーツを大切にする立教大学の基本姿勢です。

 学生実験は単に実験技術や操作法を学ぶためのものではなく、自らの体験によって事実を把握し、それを論理的に理解する能力を開発するためのもの で、化学 科の教育の中心です。

教授やティ―チングアシスタントとして参加する大学院生そして仲間の学生と実験の目的、器具の使い方、結果の意味などを話し合いながら進めます。教 員と学生間のコミュニケーション、個人的指導は化学科教育の柱です。ここでの経験が4年次の卒業研究やさらに大学院教育へと引き継がれます。

 化学科は創立以来の理念に基づいて実験系の科目を特に重要なものとして位置づけて、最大限の教育努力をはらってきました。これは理論化学系科目でも同じ で、コンピュータによる理論化学実験が行われています。講義と連動した最新の実験カリキュラムにより、経験の深い教授をはじめとして教職員スタッフ全員が 直接に指導します。実験室だけでなく個別の面接指導も組み入れられています。他大学にはない、この高密度教育の実践は立教大学理学部化学科の誇りです。

 4年次になると研究室に配属されて卒業研究を行います。卒業研究の教育効果については私たち教員スタッフ全員が確かな自信を持っています。卒業研究は単 に研究をして成果をまとめるだけでというものではありません。合成反応や測定などをしながら卒業研究の仲間や大学院の学生と、時には教授を交えて夜遅くま で語り合ったり、文字どうり寝食を共にするような研究室での生活、学会発表の経験などは一生忘れない思い出となります。私たちはこのようなプロセスが大切 な人間教育の場であると考えています。研究成果の発表会である4年次期末の業績報告会では、1年前とは較べられないほどに成長した4年生の姿を目にするこ とができます。教員は研究室で指導した卒業生全員を忘れることはありませんし、多くの卒業生がおりにふれてat homeで開放的な雰囲気の母校研究室を訪れて、近況報告や現役4年生の激励などをしてくれます。

 受験勉強では、もっぱら多くのことを憶えてテストの問題に答える能力を培うのでしょうが、理学部の勉強では、どこに問題点があるのかを発見してそれを追 求すること、そしてそれを面白いと感ずること、すなわち「課題探求型」の能力を身につけることが特に求められます。例えば卒業研究で課題を理解して、その 解決法を見つけたり、新しいことを発見するためには、多くの場合細心の注意を払いつつ、とても複雑な実験をおこなうことが必要です。それに煩雑な下調べも 必要です。これは、たとえ先生の指導であったとしても、他人からの強制ではとても出来るものではないのです。大学の勉強の成功は、いかに早くこの課題探求 の面白さに目覚めるかにかかっています。化学科の最も大切にする教育の基本です。

 立教大学理学部では専門教育だけを重視しているわけではありません。人間としてより良く生きるための基本的素養や教養を身につけるための勉強も大 切で す。立教大学には充実した全学カリキュラムがあります。現代を意識した多彩で幅の広い科目が履修できますし、「立教大学」という独自の視点から構成された 科目もあります。1-4年次を通して履修できるようになっています。理学部の学生は特に文科系の諸科目を履修することが望まれます。


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