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講演会「HIV/AIDSから世界を知ろう
− Stop AIDS! 12月はAIDS予防月間。−」

2011.12.20

開催概要

日時 2011年12月9日(金) 18:20~19:50
場所 池袋キャンパス太刀川記念館3階多目的ホール
主催

協力
ボランティアセンター、立教大学保健室、
NPO法人かものはしプロジェクト
学生保険委員会、献血運動の会
講師 クリストファー・ナイト氏(英スタンダードチャータード銀行、在日総支配人)
村田早耶香氏(NPO法人かものはしプロジェクト共同代表)
参加者数 39人
内容 アジア・アフリカ・中近東地域でAIDS予防教育を積極的に行なっているスタンダードチャータード銀行在日総支配人による,世界規模で見たAIDS予防教育の現状に関する講演と,貧困と子どものAIDS予防の関連からアジア地域の子どもや女性を支援している日本のNPO代表による講演。
講演を通して,自分たちが正しいAIDSに関する知識を持つ重要さと,さらに世界には多くの自由や人権を抑圧・搾取されている子どもたちがいること,なかでもAIDSに罹患した子どもたちの現状と支援の現状を知り,特に若い世代の力を世界に向けて発信する想像力を涵養することを目的とする。

レポート

 12月1日は、世界規模でのHIV/AIDSの蔓延防止やHIV感染者/AIDS患者に対する差別・偏見の解消を目的として、1988年よりWHOによってWorld AIDS Day(世界エイズデー)と定められた。UNAIDSの報告書によると2009年末の時点で世界のHIV陽性者数は3,330万人であり、HIV新規感染者数は260万人とされている。HIV新規感染者数は、1999年より19%減少したとされているが、一方で、日本国内ではHIV感染者報告数が右肩上がりとなっており、2006年~2010年のHIV 感染者報告数は5,256 件で累計の41.6%を占めている。

 日本では、依然としてHIV/AIDSが「対岸の火事」という状況にあると言わざるを得ないことは非常に残念であるが、HIV/AIDSというテーマを1つのつながりとして、普段はそれぞれの違う専門分野で活動に取り組む2つの組織がコラボレーションした公開講演会が12月9日の夜に立教大学池袋キャンパスにて開催された。

 1つ目の組織は、世界70ヵ国にて事業ネットワークを展開する世界有数の銀行金融グループと言えるスタンダードチャータード銀行である。その在日総支配人であるクリストファー・ナイト氏が、現在当銀行がCSRの一環として取り組んでいるAIDS予防教育について語ってくれた。当日は通訳が入らない状況であったが、ナイト氏が非常に丁寧で分かりやすい講演をして下さったことで、講演会の参加者にとっても言葉の壁はなくしっかりと内容を理解することが出来たのではないかと感じている。多くのNPO/NGOがHIV/AIDSに関する問題の解決、改善に取り組んでいるが、やはり世界的な規模の問題であるだけに、企業の力というものも非常に重要になってくる。そういった意味では、スタンダードチャータード銀行だけではなく、日本の企業も数多く取り組んで頂ければ嬉しい限りである。

 2つ目の組織は、カンボジアで様々な問題の根底にある「貧困」の解決に取り組む特定非営利活動法人かものはしプロジェクトである。共同代表である村田早耶香氏は、2005年に史上最年少で日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2006 リーダーシップ部門」に選ばれるなど、新進気鋭の社会起業家として活動中である。村田氏は、カンボジアで人身売買に巻き込まれている女性たちにとっても切り離せない問題としてHIV/AIDSに焦点を当て、その上で、普段日本で生活しているだけでは意識しない様々な問題が世界では実際に起きているということに踏みこんだ内容の講演をして下さった。これは、HIV感染者報告数が右肩上がりで増え続けているにもかかわらず「対岸の火事」という認識のままであることへの警鐘でもあり、潜在化している問題を顕在化させていくためには想像力を働かせたり、1つの問題を他の問題へ転化して考えたりすることが如何に重要かという投げかけであると言える。現代は情報過多の時代であり、見えづらい部分が非常に多い時代だからこそ、その中で常にアンテナを立て、多様なチャンネルが開いていることが、当日の参加者の大半を占めた大学生の世代には求められている。そういったメッセージが込められた講演であったと個人的には感じている。

 しかしながら、このような貴重な機会にもかかわらず、参加者の人数が必ずしも多くなかったということは残念である。確かに、平日の夕方からという時間的な部分での制約はあったにせよ、もっと多くの人に、特に今回の講演会の主対象として考えられる大学生の世代の参加があればさらに有意義な時間となったのではないか。また、自分自身これまであるNPOにてHIV/AIDSに関する活動に取り組んできたが、この日のように未だに日本では大学生等を対象にした場合でもHIV/AIDSについては基礎的な内容の話が中心になっていることがある意味では当たり前となってしまっている。このことは非常に遺憾であるとともに、自分も含めHIV/AIDSに関する活動に取り組んでいる人間は改めて自分たちの活動を見直していかなければいけないことも痛感させられた。

 本公開講演会に参加された方々が、両氏の講演に込められたメッセージについてご自分なりに考え、HIV/AIDSに限らず、今後社会に存在する何かしらの問題について行動していって頂けることを願うばかりである。

(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士後期課程  武藤良太)

クリストファー・ナイト氏と村田早耶香氏

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