立教大学学生相談所による「学生相談を核とした全学的学生支援の展開」が、文部科学省平成18年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択されました。
「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」は、大学教育の改善・充実の観点から、学位を与える課程に応じた教育内容・方法等の高度化・豊富化に資する特色ある優れた取組を選定し、高等教育の活性化を促進する教育プログラムです。
立教大学学生相談所は1954年に設立された。50余年の歴史の中で発展と拡充を続け、我が国の学生相談の先鞭として他大学のモデルとなってきました。
本学では「キリスト教の精神に基づく人格の陶冶」という建学の精神に基づき、「専門性ある教養人~共生社会を創る自立した個人の育成」を教育目標とし、学生相談の役割を大学教育の一端を担う機能として位置付けています。学生相談所では、「よろず相談」を入口に、カウンセリングとガイダンスを行い、広く学生が参加して体験的な学びを得られる機会を提供するプログラムを組み合わせ、大学生活への適応を支え、さまざまな青年期の課題への取り組みを通じて学生の成長・発達を支援しています。
本学の学生相談所の最大の特徴は、学生の成長・発達を大学コミュニティ全体で支える環境づくりを先導している点にあります。相談活動から得られた学生状況・発達への理解を、学生相談所所員会を活用して学内へ還元し、新たな学生支援施策や正課・正課外プログラムに活かしています。
学生相談所では「よろず相談」として、学生生活におけるあらゆる悩みや問題を、即時に受け付け、相談内容に応じて対応しています。職員相談員が学業、健康、経済、進路、課外活動等に関する適切な情報提供や助言を提供する「ガイダンス」、青年期を専門領域とするカウンセラーが継続的に心理的な問題の解決を支援する「カウンセリング」、また、特に深刻な心の問題を抱える学生等に対する「心理療法」「医療ケア」「療学援助」等のサポートを行っています。さらに、学生が危機的な状況に陥るような場合は、事件や事故となるのを防ぐための「危機介入」も行っています。
学生の個別性や自主性を尊重するサポートによって、学生個々の力を活性化し、それが学業や正課外活動に発揮され、他の学生にも影響が波及します。
社会体験の少ない現代の学生に対しさまざまな「プログラム」を提供することにより、概念的な知識だけでは得られない自己に根ざす学びを促進しています。学生の成長・発達を支援するために開発された体験的学習を行う、相談所独自の「心理教育プログラム」のほかに、授業として展開されている「正課外プログラム」への企画・運営、学生部やチャペルが実施する「正課外プログラム」への参加協力なども行っています。
学生相談所は、「よろず相談」を入口とする相談活動から得られた学生状況やニーズの理解を学生相談所内外に還元しています。学生相談に関する教職員向けハンドブックの作成等の広報活動、全学部の教員代表と関係部署の職員から構成される「学生相談所所員会」の運営、学生部長を通じての全学への情報発信や提言など、多角的なチャンネルで学内に発信をしています。
また、1)教員へのコンサルテーションや授業による正課教育への関わり、2)全ての学生を対象とした、学生相談所独自の「心理教育プログラム」の開発、3)他部署での相談機能拡充への働きかけや各種プログラムへの協力による正課外活動への関わり、などを通じて、大学コミュニティ全体で一人ひとりの学生を受け止め、成長・発達を支える基盤を形成しています。
2004年度の来談者数は実数で545名(在学生数比率3.3%)、延数では3,854名であり、来談者数は年々増加傾向にあります。ハード・ソフトの環境整備を通じて来談しやすい環境づくりを進めた結果、相談内容も多岐にわたり、あらゆる相談を受け付ける「よろず相談」として定着しています。
例えば「心理教育プログラム」の一つである『アサーション・トレーニング』の参加者コメントをみると、学生の成長のきっかけとなったことが伺えます。
学生の声~「アサーション・トレーニングアンケート」より
・人は皆違っていて、それていいのだと実感した。
・自分ひとりで悩んでいたが、他の人も同じようなことを悩んでいると知り、安心した。
入学時健康診断において、新入生全員が「メンタルヘルス問診票」に回答し、それをもとに必要と判断された者にカウンセラー面接を行っています。この面接から学生相談所のケアに繋がった学生は、2005年度で30名でした。このように、必要とされる学生に入学初期からケアを行い、問題の深刻化を予防しています。
本学の退学者率は0.8%(2004年度実績)と、私立4年制大学平均の3.3%(日本私立学校振興・共済事業団調査)に対して著しく低い状況です。この理由として、学生相談をはじめ学内の学生支援ネットワークが機能している点が挙げられます。
本年度から全学部が導入した各学部の「アカデミックアドバイザー制度」と連携を図り、学生状況に関する情報交換や個別ケースに関するコンサルテーションを行う仕組みづくりを進めます。
学内の多様な機能との連携により、導入時教育やキャリア教育に関する新たなプログラムなど、より学生のニーズにを開発・実践します。
新入生対象に実施しているメンタルヘルスについての質問票の機能を拡充し、学生に対する4年間の追跡調査など、発達的視点からみた調査・研究を実施します。
公開シンポジウムの開催や広報の充実などによって学生相談に関する情報を学内外に発信します。
<関連サイト>
文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」