修了生紹介

下地 芳郎さん

下地 芳郎さん

明治大学法学部法律学科を卒業後、沖縄県庁で会計、許認可担当部署などを経て建設省(現国土交通省)へ派遣され道路行政に従事。その後沖縄県人材育成財団からカナダトロント大学へ派遣され公共政策を学ぶ。日本貿易促進機構(ジェトロ)研修を経て初代沖縄県香港事務所長として香港を中心にアジア全般の経済調査、観光客誘致、沖縄県産品販路拡大などを担当。帰国後、沖縄県サミット推進事務局を経て観光行政に従事し、東京事務所副参事、観光振興課長、観光企画課長及び観光政策統括監を経て、2013年3月に沖縄県退職。
同年4月より国立大学法人琉球大学観光産業科学部教授及び地域連携担当学長補佐就任。観光政策論、観光地ブランディングなどを担当。「地(知)の拠点整備事業」本部長。著書に『沖縄観光進化論』

大学院進学を決めた理由、動機

沖縄県庁の職員として様々な業種を経験しましたが、なかでも観光振興による地域活性化に長年取り組んできました。30代前半に約1年間カナダのトロント大学で勉強する機会に恵まれましたが、限られた期間でしたので、英語とフィールドワーク中心の勉強でした。

その後香港事務所や観光部署で、海外での誘致活動や国際会議に参加する度に、各国の政府観光局や関連機関の担当者の多くが大学院で学んだ経験があることを知りました。マーケティング、戦略策定、統計、人事管理など幅広い分野における専門家チームで観光政策を担っていました。

通常、公務員は3年毎に異動することが多く、一つの部署で専門家として長期間勤務することは稀ですが、今後沖縄県の観光が発展していくためには「観光地経営」の視点を持つことが重要であると考えていました。東京事務所異動を契機と捉え、多くの方々の理解と支援を頂き大学院への進学を決めました。

Q 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科を選択した理由

現在、日本は貿易大国、技術大国に加えて「観光大国」を目指して積極的に取り組んでいます。近年は外国人観光客が増加しており、昨年初めて1千万人を突破しましたが、世界一の観光大国フランスには約8千万人、中国には約5千万の外国人観光客が訪れています。世界ランキングでみると日本はまだ30位代です。

こうした中で日本の国際的地位を上げるためには産学官の連携による観光振興が必要です。「学」に関していえば、国内には観光学部を有する大学は多数ありますが、立教大学では日本で最初に観光学科を設置した大学であり、国内の観光産業界には多数の卒業者が活躍しています。

立教大学には観光学部にも大学院が設置されておりますが、ビジネスデザイン研究科では、ビジネス部門とホスピタリティ部門の両方を学ぶ機会が設けられており、優れた研究者や実務経験豊富な教授陣から実践型の勉強が出来るものと考え選択しました。

本研究科で何が習得できたか、何を得られたか(知識、スキル、その他大学院生活から得られたもの)

大学院での「学び直し」は非常に新鮮でした。経験を積めば積むほど大学という学びの場所から離れがちですが、ビジネスデザイン研究科において改めて経営や会計、統計、ホスピタリティなど幅広い分野について最新の理論や実例を学ぶことが出来たことで、改めて自分の仕事を見直すきかいになりました。

特に、ブランディングについては国内外企業の実例研究を通してブランドの役割や価値などを学ぶことが出来ました。

また、院生有志でホスピタリティ研究会を立ち上げ、講師や大学院生との定期的な意見交換会を通して、ホスピタリティ産業の発展方策や課題の共有などを図れたことも大変有意義でした。残念ながら最近研究会活動が行われていませんが、ホスピタリティ分野は立教大学の専門分野でもあり今後の活動再開を願っています。

大学院での勉強は現在の仕事、今日のあなたにどのように役立っているか。

行政に携わるスタッフにとっても「経営」感覚は必要ですが、現実には経営について学ぶ機会はほとんどありませんでした。大学院で企業活動について学べたことで、観光政策の企画立案だけでなく持続可能な観光地経営を強く意識するようになりました。また、戦略論やブランド論などを通して中長期的な視点での取組の重要性を再認識し、観光政策の実務の中で2012年度には外国人観光客の誘致に関して戦略的に取り組むプロジェクトを実現させました。

30年余に渡る公務員生活から大学教員へと転職しましたが、学生に接するにあたってはビジネスデザイン研究科で学んだ経験をもとに、教科書だけでなくグループワークやケーススタディなどを意識して取り組んでいます。特に、学生と実業界トップの方々との「接点」を持つことが重要だと考えており、企業経営者や行政関係者との意見交換の機会を設けています。

今後のキャリアプラン、展望

現在、琉球大学観光産業科学部で主に観光政策論や観光地ブランディング論、観光地リスクマネジメント論を担当しています。沖縄県は観光産業がリーディング産業であり、近年は外国人観光客が大幅に増加していますが、新たな市場からの誘致や受入体制の強化など課題も山積しています。こうした中観光政策は今後益々多岐に渡っていきますので、大学における研究も非常に重要になります。

また、観光産業学部での役割に加え、現在、大学の社会貢献を担う学長補佐として、地域貢献プロジェクト本部長を務めています。学生の「学びの高度化」を図るための取組や社会人の「学び直し」事業に取り組んでいます。

沖縄県は島しょ地域であり、多くの島には高等教育機関がありません。こうした地域に大学プログラムを提供するため、サテライトキャンパスの設置を進めています。また、都市部においても学べる環境を作ることにしています。3年間で9箇所のサテライトキャンパスを設置しますが、いずれは観光客向けの琉球大学オリジナルプログラムを作成し、長期滞在者に提供していきたいと考えています。

仕事の合間に大学院に通うことは大変でしたが、一方で年齢も仕事内容も違うメンバーとの勉強を通して強い充実感、達成感を感じることが出来ました。

終わってしまえばあっという間の2年間ですが、この経験を今後に活かすためには修了後の付き合いが大事になります。私自身は沖縄県に住んでいることもあって、なかなか大学院のセミナーなどに参加出来ませんが、機会があれば是非参加したいと思っています。地方でのセミナー開催などもあれば嬉しいですね。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科出身者のネットワークが更に拡大し、様々な分野で活躍されることを期待しています。