
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科は2002年に開設し、昨年には開設10周年を迎えました。また、2007年に博士課程後期課程を設置し、開設の理念であった社会人のための、高度専門職業人の創造的なあり方を求める教育研究機関としての役割をさらに高めてきています。また、この間、修了者は900名近くを数え、社会人を対象とする教育専門機関として着実な社会貢献を果たしてきています。
本研究科の名称である「ビジネスデザイン」とは、企業や組織・機関における創造的な事業の構想、計画立案、実行の総体を意味するものであって、しかも営利活動にとどまらず、非営利的な社会活動をも含む広い概念として構想されたものです。さらに、「ビジネスデザイン」を個の面から捉え、社会人が新たな価値観の下で自ら専門知識を高度化し、創造的なビジネス感覚を研ぎ澄ます、という役割を中心に据えています。本研究科で学ぶ社会人院生は、自らの職業経験の価値再確認と発見を行い、絶えず変化する社会・経済状況に対して能動的に働きかけることのできる創造的な職業人として、自己研鑽を重ねていきます。したがって、本研究科は社会人院生が自らの人生を新たに再設計するために、職業人としてのキャリアを社会・世界というさらに広いパースペクティブに位置付け、いっそう磨きあげる「場」ともなっています。
昨今のグローバル化による激烈な国際競争、企業間競争によって、富の集中と貧困、社会格差の拡大と固定化、企業倫理の崩壊など、市場経済がその制御を超えて進展して行くことに対して、Compassionateな市場経済のあり方を希求する考えも台頭しています。そのこと自体は、ビジネスを原理に遡って再評価、再構築することが必要な転換点に私たちが至っていることを意味するのかもしれません。
そうした認識は、本研究科の「ビジネスデザイン」の考え方に照応するものといえます。本研究科は創設の当初から、新たな職業観、つまり企業主導のものではなく、また厳しい時代に企業と命運を共にするものでもない、職業人が自らの価値を再発見し、ビジネスのプロフェッショナルとしての社会的な価値を再構築すべきと考えてきました。また、そのことが競争の時代における企業の存在価値を高め、新しい、創造的な事業を産み出す源泉ともなります。
本研究科の教育理念は「ゼネラリストのスペシャリスト」を養成することにあります。おそらく、多くのビジネススクールがスペシャリストの養成を目標に置いているであろうことに対して、本研究科は頑なに「ゼネラリストのスペシャリスト」を目指すと実行し続けてきました。その真意は今日のビジネス教育の要点が、特定領域でのスペシャリストを養成することではなく、経営という職能のスペシャリストを養成することであり、それが広く経営の視野を持った「ゼネラリストのスペシャリスト」だということです。そのためには「個」としての職業人が、より多くの知識を知恵に変換し、構想力と実行力ある創造的な能力を自らのものとするための研鑽が目標となります。
この目標を目指し、本研究科は社会人院生のみなさんと切磋琢磨していきたいと希望しています。
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