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担当者:奥村隆 教授 私という地点から社会を切り取る
奥村ゼミ
「私」というものほど、私たちにとって身近で大切なもの、でも不思議で思い通りにならないものは、ないように思います。たとえば、自尊心とかプライドとか呼ばれるものは、私たちの生きる支えですが、私たちはそれに振り回されたり悩んだりします。そして、この「私」の姿は、家族や恋人や友人との関係によって成り立ち、変化していくものですし、10年前、30年前、100年前・・・の「私」(同じ若者世代でも)や、別の社会に生きる「私」を想像すればわかるように、社会のあり方によって相違し、変貌をとげていきます。

この「私」という地点から「社会」を切り取るという作業を行うこと、これはとてもおもしろく、難しい作業です。それを直接行おうとすると、私たちがあてどもない「私」をめぐる悩みをひとり悩むのと同じ循環に入り込んでしまいますから。このゼミでは、さまざまな人々にインタビューをすることを通して、この作業を試みています。2008年度は出会い系、情熱系、ビジュアル系、夢追い系というサブゼミを作り、研究を進めてきました。ある学生は60年代に学生運動していた人々と現在学生運動をする若者たちにインタビューして、それぞれの「私」を支えるものの違いを分析し、ある学生は街角でナンパをする男性たちにインタビューをして、そのなにがおもしろく・なにがつらくて、そこで「私」がどう変化していくのかを探りました。学生自身が感じる違和感から出発して、それを自分だけの世界で問わないで、他者がいる別の場所に行って調べてくること、そのことで「私」と「社会」をつなぐ回路が開かれるように思います。

このゼミでは、どんなテーマであれ、「私」「他者」「関係」「社会」を問うものであれば、自由に考えることができます。それを、自分自身がこれまで生きてきた現実以外の、他者が生きる現実を知ることから始めて、3年のゼミ論文報告書刊行までと、4年の卒業論文作成の2年間をかけ、ゼミの仲間たちとともに形にすることができれば、と思っています。

ゼミ生の声

私たち奥村ゼミでは、毎回活発な意見交換が行われ常に刺激を受けられるような仲間が集まっています。一人ひとりが関心テーマに真剣に向き合い、仲間もその関心をより深く理解したいと思っているからでしょう。いつもゼミの仲間の意見を聞くと勉強になり、視野が広がるような気がします。また、研究に真剣になればなるほど先生の指導にも熱が入り頭を抱える事もありますが、ちょっとしたことでその突破口が見つかると何とも言えない満足感や達成感があります。このような感覚って大学では実はなかなか味わえない物なのかもしれないな、と思っています。奥村ゼミで1年過ごし、考え悩むことがありましたが、そのことが何よりも自分の力になったことは確かです。

要は、楽しく興味のあることをつきつめるにはもってこいのゼミだということです!

荻原 汐里(2008年度3年ゼミ・ゼミ長)



しかし、社会学ゼミってどんなことを学べるのかあまりイメージが湧きませんよね。簡単にヒントになる様なことをお話したいと思います。

皆さんは、「当たり前を疑う」ことはありますか?
  • 電車の中でメイクをしている人に対してイライラするのはなぜ?
  • タクシーの運転手は乗客の話が聞こえているのに聞こえていないふりをするのはなぜ?
  • ナンパをする人はみんなチャラい?

日常生活には様々な当たり前がありますが、その当たり前は本当に当たり前なのでしょうか? 私たちはたくさんの人が存在する社会で、様々な人と接し、そこには暗黙のうちにしたがっている「ルール」があります。しかもそのルールは法律ではありません。

これこそが私たちが持つ、「当たり前」なのです。しかしなぜ、人は無意識にこのような行動をとるのでしょうか?

このような日常を意識化することで、意外と疑問が湧いたりしますよね。こうした観点を大事にして、私たちは個々でテーマを設定し研究をしてきました。美容整形について研究する人もいれば、ナンパについて研究する人もいました。こんなことを研究してもいいの!?と驚くかもしれませんが、意外と奥が深いんですよ。

今まで疑問に持っていたことだけでなく、新しい視点で物事を深く考えたいと思う人にはとても良いゼミだと思います。

澤村 桂(2008年度3年ゼミ・副ゼミ長)



卒業論文タイトル(2009年3月卒業生)

論文
タイトル
他者と生きる――男性同性愛者と「カミングアウト」「パレード」
必死にならないバンギャル――バンドマンという対象の不在
自己紹介の社会学――自らが自らを語ることの不思議
女性がひとりで生きるということ――頼らない生き方
仲間へ託す甲子園への想い――補欠球児の青春の賭け方
「私」から離れる笑顔
夫婦にしか築けない愛――恋愛だけでは見えなかったもの
親友というもの――その定義と機能
不透明な時代における社長たち――強い自己をみつめる
仕事をやめるということ――働くことと「私」
ビッグバッグ症候群――なりたい「私」を持ち運ぶ
「笑い」のエキスパートであるということ
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