本演習の基本的視点の一つに、ニュースは「事実の客観的記述」というよりは「社会学的構成物」であるということがあります。その構成にとってマスメディアの組織や記者の持つ人間関係や、組織と記者と取材対象の三者関係などは、重要な影響を及ぼしています。さらにこのように「構成された現実」は、社会の世論にも大きな影響を及ぼし、「メディアにおける現実」と「社会における現実認識」あるいは「世論」の関係を究明することは、メディア研究およびジャーナリズム研究における重要な課題であり、本研究ではその関係に注目していきます。
専門演習1では、メディア研究、とりわけニュース研究及びニュースの理解過程=つまり世論の研究における議論を理解し、現代のジャーナリズムと世論についてのクリティカルな思考力を身につけることを目標としています。授業では、世論とニュースの関係についての研究文献を読みながら、日々のニュースやその他のメディアの内容について討論します。また、内外の主要なメディアを日常的にウォッチしながら、調査研究を展開していきます。
専門演習2では、ニュースに加えて、ニュース、ドラマ、映画、漫画・アニメ、スポーツ報道などの様々なメディア生産物におけるイメージ・表象の分析に取り組み、メディアの現実構成にさらに真摯に考察していきます。
本ゼミのもうひとつの重要な問題意識は、「われわれと他者」という二項対立にあり、研究テーマは文化の領域に広がっていきます。メディアは現実を反映するだけでなく、現実を構成する力も持っています。その一例として、<ひと、もの、かね>がグローバル規模で動いている世界に住みながらも、私たちは、<国家、民族、人種、ジェンダー、階級など>のさまざまな境界を意識しつつ、「他者」との差異あるいは「他者」からの承認を求めていることを挙げられます。様々なメディアにおける表象は、<われわれと彼ら>のフレームによって見られ、解釈され、反復されているのであります。
以上のような問題意識からは、本ゼミにおける研究のテーマは、ナショナリズムと他者イメージを一つの中心としつつ、その他にも様々なメディアによるイメージ形成の事例分析を含みます。例えば、ジェンダー、人種、民族、外国、地方、子供、中年、企業などのイメージであり、その対象は、ニュース報道のみならず、映画やドラマ、漫画・アニメ、スポーツ報道などのポピュラーカルチャーなど多岐にわたります。
ゼミ生からの声
私たちファンゼミ3年生は、主に震災・原発事故関連の報道やその受容動向を前期の共同研究のテーマとして進めています。震災・原発事故報道と一口に言っても様々ですが、具体的に言えば、在日外国人とメディア報道、(反原発運動等の)社会運動とメディア、被災地報道といった具合です。
「在日外国人とメディア報道」班では、日本と海外のメディアの報道内容に着目しながら、在日外国人が今回の震災・原発事故をどのように捉えたのかを、「社会運動とメディア」班では、ソーシャルメディアの持つ影響力と、社会運動が組織化され、影響力を持つまでに至るプロセスを調査しようと考えています。
また、「被災地報道」班では、全国メディアと被災した地方のローカルメディアにはフレーミングに違いがあるという仮説の下、それがどのように明示的・暗黙的に現れているのかを分析してゆくつもりです。
昨年度までは、ゼミ活動として、文献の輪読や報道記事分析といった作業が主な割合を占めていたのですが、それらの活動に加え、今年度はより実地的に学ぶために、グループによってはフィールドワークを含めた研究を行うことを計画しています。
(メディア社会学科 三年 平野悠輝)

