現代都市に見られる諸問題は、グローバルな文脈とローカルな文脈が交わるところに生まれている。都市研究領域の特色は、様々な社会現象・社会問題に、都市という空間次元を組み込みながらアプローチするところにある。地域コミュニティ、町内会・自治会、地域におけるボランティアやNGO・NPOの活動、まちづくり、社会的ネットワークなど、これまで都市社会学が蓄積してきたローカル・レベルの研究に加え、都市における産業構造や階層構造の再編、再都市化と社会空間の変容、エスニシティと多文化共生、知識創造・文化生産と都市アメニティなど、グローバルな視点からの研究も生まれてきている。その他にも、都市研究として考えられるテーマはたくさんある。たとえば、都市の高齢化・少子化、都市政治と都市政策、交通・住宅・犯罪や非行などの都市問題、都市におけるサブカルチャー、地方都市の再生、都市間の国際交流事業の展開などである。
このように、都市研究領域は、広い意味での都市社会研究の拠点として、発展しようとしている。
都市研究領域専任教員/研究テーマ
江上 渉 教授 /都市コミュニティ研究・都市社会学
"まちづくり"や"コミュニティづくり"と呼ばれる地域住民が主体となる活動を対象として、現代社会における都市コミュニティの社会構造と社会過程を分析することがおもな研究テーマである。"新しい公共性"の構築や地方分権の推進といった現実的課題に、都市コミュニティはいかに対応していこうとしているのか、地域住民のネットワーク、NPOなども含めた地域住民組織、地方自治体政策などの諸要素の関連から探っていきたいと考えている。特に、社会関係資本、信頼関係というミクロな関係性の蓄積が、どのように組織化されつつ都市コミュニティという公共空間の形成に結びついていくのか、実証的に明らかにすることが現下の課題である。
松本 康 教授 /社会変動論・都市社会学
専門は都市社会学、とくに(1)都市住民の社会的ネットワークに関する研究(2)大都市における都市社会構造の変容に関する研究、(3)シカゴ学派都市社会学に関する学説史的研究を進めてきた。(1)については、都市下位文化理論の日本における適用可能性を実証的に検討するなかで、ネットワークの「構造化」という観点から都市化とコミュニティの変容を捉えようとしている。(2)については、日本の大都市圏における「再都市化」のメカニズムをグローバル情報経済と産業構造の変容といった社会経済的条件と、人口動態のような人口学的条件とを結びつけて研究している。(3)については、米国やシカゴの社会変化と結びつけてシカゴ社会学の展開を解釈してきた。
水上 徹男 教授 /都市エスニシティ研究
国際的な人の移動とエスニック・コミュニティの変容などが主な研究テーマである。関連領域として、エスニシティの多様化と関連した社会変動に対応する政策なども含まれる。これまでは、オーストラリアのエスニック・コミュニティを調査対象として、フィールドワークを実施してきた。最近は、非永住と永住に対比する概念的フレームに基づき、移住者のホスト社会へのセツルメントに関する調査や分析を行っている。
高木 恒一 教授 /都市空間構造研究
専門は都市社会学であり、そのなかでも特に空間に焦点を当てた研究を行っている。主たる研究関心は2つである。第1には、都心再開発地域や郊外における計画的に作られた住宅地の社会空間としての特質の分析である。これまでに都心では東京都中央区、郊外では千葉県佐倉市、東京都多摩市、神奈川県鎌倉市などにおいてフィールドワークを実施し、研究を積み重ねてきた。第2には、大都市圏のGIS(地理情報システム)を用いた空間構造の分析であり、これまでは東京圏の空間構造分析を行ってきた。現在は分析対象を大阪などの都市圏に広げている。
都市研究領域開講科目