現場の視点、実証的調査能力、実践的提言能力を備えた人材を養成する
社会学は、人々が生きる現場を踏まえながら、現代のアクチュアルな問題に実証的にアプローチする学問です。社会に生起している問題を現場の視点に立ち返って把握する能力、その問題をデータの収集により実証的に調査・分析する能力、研究成果に基づいて実践的な提言を行う能力――本研究科は、社会学が提供しうるこの3つの能力を備えた人材を養成することをめざしており、これらの能力を高い水準で育てうる環境が、質・量両面で非常に充実したスタッフと、教室、研究室、図書館など適切な物的基盤によって整えられています。
本研究科は、こうした人材を6つの特色ある研究領域において養成します。高齢社会、消費、環境、ジェンダー、家族など社会構造の諸変動を捉える「社会研究領域」、政策科学的思考の基礎から現場への提言までをつなぐ「政策研究領域」、異文化接触、文化の多様化、文化変容を捉える「文化研究領域」、グローバルな力とローカルな力がせめぎあう都市を研究する「都市研究領域」、現代のメディア環境の急激な変貌を究明する「メディア研究領域」、対人関係からインターネットにいたる相互作用の場を扱う「コミュニケーション研究領域」の6つです。各領域では、高水準の現代社会学の成果が教育現場に還元されており、知的刺激に満ちた自由な研究と学習の場となっています。
前期課程では、院生はいずれかの研究領域に所属して、その領域の「基礎論」から始まる教育プログラムで専門性を高めると同時に、他領域の授業を自由に履修して視野の広い研究を進めることができます。また、「調査方法論」科目により調査能力を養うこともでき、学部レベルの能力に加えてこれらの科目を履修することによって、「専門社会調査士」の資格を取得することが可能となります。
前期課程出身者は、自治体、NPO、一般企業などで高度専門職業人として活躍する能力を獲得することができ、後期課程に進学することもできます。これまでにも、多くの修了者が福祉、教育、メディアなどの分野で活躍しています。
後期課程は、博士論文作成の過程を通して研究職につくことができる人材の育成をめざしており、すでに多くの出身者が、大学・研究機関の研究者や、一般企業の高度専門職業人として活躍しています。
2006年度に行われた二専攻体制から一専攻体制への再編以降、本研究科では新しい教育課程の導入、博士論文審査体制の整備など、数々の試みを行ってきました。2008年度からは、院生の希望で兼任講師を招く「社会学特別講座」と博士論文予備審査会の新方式をスタートさせました。
社会学研究科では、これからも着々と教育体制、教育方法を改善し、高度な専門教育へのニーズに応えていく予定です。
社会学研究科委員長 間々田孝夫