ラテンアメリカ研究所The Institute for Latin American Studies

ラテンアメリカの総合的研究とその研究者や関連分野の人材育成を目的として設立され、図書資料の収集、所報(紀要)の発行、講演会の開催などを行っています。またラテンアメリカ論や言語など12科目程度の通年の「ラテンアメリカ講座」を開講しています。

研究所概要

研究所紹介
立教大学ラテンアメリカ研究所は、ラテンアメリカに関する総合的な研究と、その研究者および関連分野で活躍する人材の育成を目的とし、駐日ブラジル大使をはじめとする駐日中南米十数ヵ国の大・公使の賛同を得て、1963年に創設されました。
本研究所は、1964年4月に「ラテンアメリカ講座」を開講したほか、1973年から毎年「研究所報」を発行、さらに公開講演会やシンポジウムなど行事も頻繁に企画しています。本研究所が主催する公開講演会の中で特に高評を得ているのは、1969年以来毎年恒例の「現代のラテンアメリカ」で、講師に内外の研究者や著名な文化人などを招き、ラテンアメリカの文学、文化、音楽、美術、建築、宗教から、政治、経済、社会、環境、先住民問題にいたるまで、広範なテーマを取り上げています。
また、本研究所はラテンアメリカに関する図書、文献、資料などを収集しています。なかでも特に文学・文化関係の和書、ブラジルの日本移民史料館などから購入した日系移民に関する図書や資料が充実しています。これらの資料を所蔵している立教大学図書館は、講座受講生も利用することができます。
このように、本研究所は、日本の大学教育に欠けていた社会教育の場を提供し始めた草分け的な存在です。今日では多くの大学が市民講座を設けていますが、ラテンアメリカについてじっくりと総合的に学ぶ特色ある講座を提供し続けているのは、本研究所のみと言っても過言ではありません。過去50年、ラテンアメリカに関わり活躍する講座卒業生を輩出してきました。引き続き、組織的な研究活動をさらに深化させ、ラテンアメリカ研究の質的向上とその社会還元に努めていく所存です。
理念・目的
本研究所は、1963年に、当時の駐日ブラジル大使をはじめとする駐日中南米十数ヶ国の大・公使の賛同を得て、ラテンアメリカに関する総合的な研究と研究者および関連分野で活躍する人材の育成とを目的として創設されました。その後、1989年7月12日より研究所規則が施行されました。そこに述べられている理念と目的を紹介します。

■研究所はラテンアメリカの政治・経済・社会ならびに文化一般の研究および研究者相互の協力を促進し、あわせて、ラテンアメリカ諸国民および関係諸機関との連絡と協力を図ることを目的とする。

■研究所は前条の目的を達成するために次の事業を行う。

  1. ラテンアメリカに関する総合的な研究

  2. ラテンアメリカ研究者の養成

  3. スペイン語及びポルトガル語の講座並びにラテンアメリカの事情に関する講座の開設

  4. ラテンアメリカ関係の図書、その他の資料収集及び公開

  5. 研究会及び講演会の開催

  6. 機関誌(その他の図書)の刊行

  7. その他所員会が研究所の目的を達成するために必要と認めた事項
研究活動
本研究所は、次に挙げる研究活動を推進することを規則で定めています。
1.ラテンアメリカに関する総合的な研究
学内にはラテンアメリカを専門とする研究者があまり多くないため、久しく総合的な研究活動の推進には支障がありましたが、2007年度より所員体制の見直しを図り、学外のラテンアメリカ研究者にも研究員として参加いただき、組織的な研究活動の推進が実現可能となりました。その結果、2007年度にはラテンアメリカ研究所を申請母体とする立教SFR(学術推進特別重点資金)プロジェクト研究、「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」が採択され、慶應大学と連携しつつ学際的な研究が進められました。また、その成果を広く社会に還元する目的で、2008年度には立教SFRの助成金による国際会議、「ブラジル日本人移民100年の軌跡」が開催されました。さらに、現在「ブラジルにおける各国移民の非同化適応戦略とトランスナショナリズムに関する比較研究」を進めています。
2.ラテンアメリカ研究者の養成
公開講座の受講生の中には、本学および他大学の大学院生が複数存在します。また受講後に修士課程へ進学及び留学する受講生、海外で活躍するOB・OGも少なくありません。下の5.にもあるように、講座の一環として毎年「受講生セミナー」を開催して発表の機会を設け、所報に研究を投稿する機会を提供するなど、積極的に研究者の養成にも努めています。
3.スペイン語およびポルトガル語の講座ならびにラテンアメリカの事情に関する講座の開設
4.ラテンアメリカ関係の図書、その他の資料収集および公開
本研究所では、図書や資料の収集と情報の提供を積極的に行っています。具体的には、ラテンアメリカとカリブ地域やイベリア諸国に関する図書・文献・資料の収集、ラテンアメリカ関係の文化事業(講演会・音楽会・展覧会・映画等)に関する情報の収集と提供などがその内容です。情報は研究所ブログにも掲載しております。

(1)蔵書数(2016年現在概数)
図書:和書 5,600冊・洋書 1,700冊 合計7,300冊
雑誌:和雑誌 13種・洋雑誌 2種 合計 15種

(2)図書/雑誌の収集(年間概数)
図書:和書 180冊・洋書 20冊 
雑誌:和雑誌 5種・洋雑誌 2種

※立教大学図書館に配架されているラテンアメリカ研究所の図書資料と、ラテンアメリカ研究所内で所蔵している研究資料は、「総合研究センター検索データベース」にて検索可能です。下記リンク先よりご利用ください。
5.研究会および講演会の開催
毎年恒例となった「受講生セミナー」や、公開講演会「現代のラテンアメリカ」の開催に加えて、さまざまな地域・分野に関する多くの公開講演会を入場無料で実施しています。詳細はこのWebsiteの講演会ページをご覧ください。
6.所報の刊行
ラテンアメリカ研究所報(年刊)を刊行しています。執筆者は研究所の所員・研究員、講座講師、受講生などです。投稿原稿は、研究所側で査読審査のうえ、掲載の可否を判定しています。
組織・構成員(2024年度)

所長

泉水 浩隆(外国語教育研究センター)

副所長

佐藤 邦彦(異文化コミュニケーション学部)

所員(ABC順)

林 みどり(文学部)(秋学期)
飯島 みどり(異文化コミュニケーション学部)
伊藤 実歩子(文学部)
金子 亜美(異文化コミュニケーション学部)
丸山 浩明(文学部)(秋学期)
松本 旬子(外国語教育研究センター)
宮本 裕子(現代心理学部)
佐々木 隆治(経済学部)

学外所員(ABC順)

伊高 浩昭(ジャーナリスト)
小池 洋一(立命館大学社会システム研究所客員研究員、JETROアジア経済研究所名誉研究員)

研究員(ABC順)

Anthony do Nascimento(ドナシメント, アントニー)(東海大学語学教育センター国際言語教育部門フランス語特任教員)
郷澤 圭介(拓殖大学外国語学部スペイン語学科准教授)
池田 昭光(明治学院大学教養教育センター助教)
木下 雅夫(早稲田大学他非常勤講師)
Daniel Machado(マチャド, ダニエル)(写真家)
大島 正裕(一般財団法人 日本国際協力システム)
洲崎 圭子(お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所研究協力員)

研究所事務局

植木 恵梨子
杵島 享子
研究所報
「立教大学ラテンアメリカ研究所報」(年刊)は1973年に発刊され、現在までに通算45巻以上刊行されています。所員、研究員、外部専門家、受講生による論文、エッセイ、旅行記など内容も幅広く、学術誌としての性格の他、ラテンアメリカ講座の受講生の研究成果発表の機会を与えています。
研究プロジェクト
2007~2008年度にかけて立教大学学術推進特別重点資金の助成を受けて実施したプロジェクト研究「ブラジルにおける日系移民資料の分析・保存とデジタルアーカイブ構築:移民百年の軌跡」では、ブラジルにおける日系人百年の軌跡を、多様な資料から解き明かし、デジタルアーカイブとして保存・活用するシステムの構築を目指しました。また、国際会議「ブラジル日本人移民100年の軌跡」も開催されました。

研究プロジェクト

ラテンアメリカ講座

講座概要
語学や文化などラテンアメリカについて総合的に学ぶことのできる講座で、本学学生に限らず広く一般にも公開されています。多岐にわたる分野を扱う「ラテンアメリカ論」や、文化的背景を考慮にいれた語学科目「ラテンアメリカスペイン語」は、ユニークな科目として注目され、毎年熱心な受講生を多数集めています。

講演会情報

2023.06.16 在日ペルー大使館主催講演会(広報協力)【終了】

日本・ペルー外交関係樹立150周年記念企画「日本とナスカの地上絵」~発見の20年間~

■日時
2023年6月16 日 (金) 17:10~19:00

■場所
立教大学新座キャンパス7号館アカデミックホール

■事前申込制・参加費無料
参加ご希望の方は、以下の申込フォームもしくは添付チラシのQRコードからお申し込みください。(締切6月15日)

主催:在日ペルー大使館
後援:新座市
協力:立教大学
広報協力:立教大学ラテンアメリカ研究所
2022.11.26 公開講演会 第52回「現代のラテンアメリカ」【終了】
本研究所恒例の公開講演会「現代のラテンアメリカ」を、下記の演題で開催します。
■日時
2022年11月26日(土)17:30~20:00

■場所
立教大学池袋キャンパス14号館D401教室およびZoom(ウェビナー)による配信
※立教大学の活動制限指針における制限レベルが2以上になった場合はオンライン開催に変更となります。
→予定通り講演会は会場で開催されます(対面とオンライン)

■内容
第1部: 今日のラテンアメリカと環境問題—「自然の権利」を中心に—
講師:Tiago Trentinella(トレンチネラ・チアゴ)ブラジル国弁護士・環境法研究者
 従来、人間は法の主体として、司法を通してその権利を保障することが一般的である。その場合、自然は単なる人間の役に立つモノで、人間は資源や風景など、誰にでも健全な環境を守るために、環境法を開発してきた。その過程では自然は法の客体として捉えられ、司法を通してそれを保護してきた。しかし現在、ラテンアメリカにおいては、自然は法の客体から主体に変わって行く動きが顕著にみられるようになっている。具体的には、河川、湖、動物など、そのものの権利を保護するために、直接司法に対して訴訟を起こすことができるようになりつつある。本講演では、エクアドル、ボリビア、コロンビア、ブラジルというラテンアメリカ諸国において、様々な方法で自然の権利が承認されている過程を紹介し、ラテンアメリカにおける自然の権利の進行、あり方、そしてその展望を分析する。
第2部: 日伯民法におけるペットの法的地位—動物私法学の構築に向けて—
講師:Daniel Machado(マシャド・ダニエル)立教大学法学部特任准教授
 日本民法では明治時代から動物はモノとされてきたが、家族同然と考えられるようになったペットをモノとして取り扱うと、さまざまな不都合が起こりうる。これらの問題に対応するために、諸外国においてペットの法的地位を見直す動きが見られる。本講演では離婚後のペットに対する面接交渉権を認めたブラジルの裁判例等の紹介を通じてブラジルにおける法状況を紹介し、日本の現状と比較検討する。

■講師プロフィール
Tiago Trentinella(トレンチネラ・チアゴ)
2002年サンパウロ大学法学部(ブラジル)卒業。2003年ブラジル弁護士会入会、法律事務所や社内弁護士として勤務後、2010年大阪大学大学院法学研究科博士前期課程入学、2012年修了。2016年同大学大学院法学研究科博士後期課程修了。2017年大阪大学大学院法学研究科助教。2020年1月より法律事務所Rusch Advogadosに勤務、主に契約、環境法に係る事件を担当。同年5月よりサンパウロ大学法学研究科ポストドクターとして廃棄物に関する研究にも携わる。また大学や高等教育機関でも教鞭をとる〔2021年サンパウロ大学法学部、ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)廃棄物エネルギー回収MBA〕。
Daniel Machado(マシャド・ダニエル)
2014年東京大学法学部卒。2016年東京大学法学政治学研究科修士号取得。2016年東京大学法学政治学研究科博士課程入学。2019年尾中郁夫・家族法新人奨励賞受賞。2020年本学法学部特任准教授(現在)。専門分野は民法学であり、ブラジルやフランスとの比較家族法研究を中心に研究してきた。主要な研究は『ブラジルの同性婚法ー判例による法生成と家族概念の転換』(信山社、2018)。そのほかに日葡英で様々な論文を公表してきた。現在は本学法学部国際ビジネス法学科グローバルコース教員として英語で日本の民法(不法行為法、物権法、比較家族法)を教えている。

■司会
島村 暁代(本学ラテンアメリカ研究所所員、法学部教授)

■問合先
ラテンアメリカ研究所事務局 
TEL: 03-3985-2578
E-mail: late-ken@rikkyo.ac.jp

■事前申込制・入場無料
以下のWebサイトよりお申し込みください(参加費無料)。

会場参加申込はこちら(先着100名)

オンライン参加申込はこちら(先着500名)

1126講演会チラシPDF

2022.07.16 2022年度ラテンアメリカ講座「受講生セミナー」【終了】
「受講生セミナー」は本研究所が開設しているラテンアメリカ講座の受講生の研究成果を発表する場となっています。 講座受講生でなくても、どなたでもご参加いただけます。今年度はハイブリッド型(対面・オンライン)で開催いたしますご興味のある方はぜひご参加ください。
■日時
2022年7月16日(土)17:15~19:00

■場所
立教大学池袋キャンパス11号館A203教室およびZoom(ウェビナー)による配信
※立教大学の活動制限指針における制限レベルが2以上になった場合はオンライン開催に変更となります。

■内容
第1部:藤田 茂暢 氏「中米移民キャラバンと気候変動」
 中米から米国を目指す移民キャラバンが続いている。その原因・背景として政情不安、治安の悪化のほかに、気候変動による災害の激化があるのではないか。ハリケーンや干ばつなどの被害との関係に着目し考察する。
第2部:樫村 慶一 氏「エビータと日本人経営カフェとの秘話」
 エビータの伝記は、映画・演劇で沢山上演されたが、彼女の小学校卒業から成人するまでの少女期の経歴が抜けている。この間はエビータにとって人に知られたくない職についていた時代で、最も秘匿しておきたい経歴である。この間何があったか、そしてエビータはなぜ親日家になったかなどを、日系移住者の話をもとに明らかにしたい。

■発表者
藤田 茂暢 氏(ラテンアメリカ講座受講生)
上智大学外国語学部卒業。日墨交換留学制度で1989年メキシコに留学。1992年NHK入局。番組ディレクターとしてペルー・メキシコなど中南米を取材。2020秋学期~22年度ラテンアメリカ講座を受講。
樫村 慶一 氏(ラテンアメリカ講座受講生)
1953年KDD入社、1982~85年ブエノスアイレス事務所長として駐在、1990年3月定年退職。「11年振りに見るブエノス・アイレスの変貌」、「没後61年目に初めて明らかにされた…カルロス・ガルデル 飛行機事故の謎」他数編を執筆。2016年度からラテンアメリカ講座を受講。

■司会
佐藤 邦彦(本学異文化コミュニケーション学部教授、ラテンアメリカ研究所所長)

■問合先
ラテンアメリカ研究所事務局 
TEL: 03-3985-2578
E-mail: late-ken@rikkyo.ac.jp

■事前申込制・入場無料
以下のWebサイトよりお申し込みください(参加費無料)。

研究所からのお知らせ

2023.11.11公開講演会会場に忘れ物がありました
携帯用座布団にお心当たりのある方は、以下リンクの落とし物窓口にお問い合わせください。
2023.02.13. 2023年度ラテンアメリカ講座出願要項掲載
2023年度ラテンアメリカ講座出願要項掲載は講座Webサイトをご覧ください。
2022.02 寄付への御礼
「立教学院創立150周年記念募金」として、当研究所へご寄付いただきありがとうございました。
寄付金につきましては、引き続き今後の研究所活動に役立たせていただきます。
2017.10.11 ラテンアメリカ研究所のウェブページをリニューアルしました
大学公式サイトのデザインを適用し、スマートフォンなどモバイル端末にも対応しました。

お問い合わせ

立教大学ラテンアメリカ研究所

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