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第22回「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」受賞者決定

2010.01.22

立教大学では1988年来、名誉教授故辻荘一先生(音楽史)及び故三浦アンナ先生(美術史)のキリスト教芸術研究上の功績を記念し、「辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励金」を設定しています。
この度、第22回受賞者を決定しました。今年度は「音楽学」部門が対象となります。

【受賞者氏名】
  故笠原 潔(かさはら きよし)氏 1951年生、2008年没
  元放送大学教授

【受賞対象業績】
  洋楽流入史におけるキリスト教音楽の研究

【選考理由】
笠原氏は、名古屋芸術大学助教授を経て、1990年より放送大学助教授、2007年に同教授となられましたが、2008年10月に惜しくも逝去されました。享年57歳。
 
笠原氏は、キリシタン時代から幕末にかけて、日本人が西洋の音楽や文化に実は多様に接触していたことを、広範かつ緻密な資料調査に基づき、明らかにされました。著書『黒船来航と音楽』(吉川弘文館、2001年)や『西洋音楽の諸問題』(放送大学教育振興会、2005年)等において、キリシタン降誕劇や復活祭プロセッションと日本の祭礼との交錯、漂流民が漂流先で出会った音楽や、黒船艦上での礼拝音楽、乗組員の葬儀に使われた音楽などを、生き生きと論じられています。ともすれば、閉鎖的なコンテクストで扱われがちなキリスト教音楽を、同時代の器楽やオペラ、さらにはミンストレルや俗謡などの大衆芸能と同じ土壌で扱い、従来の枠組にとらわれない自由な発想と深い洞察力により叙述しているところに笠原氏の研究の特色があります。当時の政治情勢や技術革新の流れにも関連付けて、音楽の果たした役割の再考を促しました。
笠原氏はまた、ご自分の研究を通して、16世紀半ばから19世紀後半までの約300年間に、日本にいかなる西洋音楽がもたらされたかを解明するにとどまらず、逆方向の視点をも常に強調されていました。すなわち、ルネサンス後期からロマン派後期にあたるこの時代の欧米で、いかなる音楽がいかなる手段によって演奏されていたのかを究明する記録として、日本に流入した西洋音楽を位置付けたのです。笠原氏の研究はこうして、異文化の遭遇と変容を立体的にとらえようとするものでした。

専門的論文においても、また、広く日本の関心ある聴取者に語りかける放送大学での活動においても、今に生きる日本人にとっての西洋音楽、そしてその基盤にあるキリスト教音楽の影響の大きさについて、多様で柔軟な文化交流の視点から述べられた笠原氏の貢献は、キリスト教とその音楽の理解を深める上で、大変重要なものです。その途上で道を断たれたとはいえ、洋楽流入史におけるキリスト教音楽の研究に関する笠原氏の業績の全体を、遺稿も含めて明らかにし、顕彰することで、それに続く研究者の基盤となることを念じ、第22回辻荘一・三浦アンナ記念学術奨励賞を決定しました。

授賞式およびレセプション

授賞式 【日時】 2010年1月23日(土) 11:00~
【場所】 立教学院諸聖徒礼拝堂(池袋キャンパス)
レセプション 【日時】 2010年1月23日(土) 12:15~(予定)
【場所】 セントポールズ会館2階(池袋キャンパス)

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