2009.09.29
立教大学アミューズメント・リサーチセンター本間元康特任助教らによる脳科学研究が国際科学雑誌「Neuroscience Research」のonline版 に 掲載されました。
この研究は、一つの視覚情報から二つの触感覚を感じるという現象を発見し、そこから脳メカニズムを推測した内容です。
| 論文タイトル | 「Double tactile sensations evoked by a single visual stimulus on a rubber hand」 (ラバーハンド上の一つの視覚刺激によって引き起こされた二つの触感覚) |
| 筆者名 | Honma M, Koyama S, Osada Y. (本間元康:立教大学アミューズメント・リサーチセンター特任助教、小山真一:千葉大学工学研究科助教、長田佳久:立教大学現代心理学部教授) |
腕に怪我をした時、その傷を見ることによって痛みが増すことがあります。この経験的な現象からも、皮膚以外の情報(ここでは傷を見るという視覚情報)も触感覚に影響を与えていると言えます。これをうまく表すラバーハンド イリュージョンと呼ばれる不思議な錯覚があります(Botvinick & Cohen, 1998)。ラバーハンド(マネキンの手)と自分の手を同時にペンなどで連続的に刺激した場合、自分の手は見ずにラバーハンドだけを見続けると、触感覚は 自分の手からではなくラバーハンドから感じるようになります。さらにレーザーライトをラバーハンドに当てるだけで同様の触感覚が生じます(図1A)。
今回我々は、自分の手とラバーハンドの向きを反対にした状況下で、ラバーハンドに一点のレーザーライトを当てる実験環境を作りました(図1B下側)。その結果、一つの視覚刺激(レーザーライト)に対して2点の触感覚が 生じる現象を発見しました(図2)。この結果から推察できることは、視覚情報(レーザーライトが当たっているラバーハンド)と体性感覚情報(自分の身体位置を把握する情報)を一致させる脳の領域が、それら二つの情報を空間的に重複させて処理している可能性です。これまでの脳科学研究では、複数の情報を特定の脳部位で統合していることは分かっていましたが、本研究によってその統合処理メカニズムの一端が見いだされました。


この研究は文部科学省オープン・リサーチ整備事業および立教大学学術推進特別重点資金の助成を受けて行われました。