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黒岩常祥特任教授が米国植物科学賞(バーンズ賞)を受賞

2008.07.17

細胞生物学者である黒岩常祥特任教授(理学研究科)が2008年度の米国植物科学会賞(バーンズ賞 Charles Reid Barnes Award)を受賞しました。同賞は1925年に創設されて以来今年で83回となり、日本人が受賞したのは初めてです。
 
米国植物科学会(American Society of Plant Biologists、会員約1万人)は、世界の生物科学の基礎分野におけるリーダーとしての業績のみならず、20世紀における地球の人口増を支えた、穀物生産に関わる多くの研究を発表してきました。人類の社会活動により、予想を越えた速度で温暖化、酸性雨、砂漠化、森林破壊が進み、環境、エネルギー、そして食糧の問題が日ごとに深刻さを増しています。特に近い将来、地球人口に対して急速な環境変動により食糧生産が追いつかない深刻な事態が懸念されています。
 
学会は21世紀におけるこうした食糧、環境問題の解決に向けて分子生理学や先端バイオテクノロジーを使って取り組み、植物科学分野で最も権威ある雑誌"Plant Cell (IF=10)", "Plant Physiology (IF=6)"を発行していることでも知られています。
 
バーンズ賞は、学会とともに創設された国際的かつ最も伝統と権威ある賞で、会員の中から毎年顕著な業績を挙げた米国人1人に授与され、現在までにK.V. Thimann(植物ホルモン研究開拓者)など80名余りが受賞しています。5年に一度だけ、米国以外の特に優れた業績を挙げた研究者も受賞の対象となります。これまで外国人受賞者としてE. Bunning(生物時計発見者)、P. Boysen-Jensen(近代生態学創始者)など数名が受賞しており、受賞者には終身会員権が与えられます。
 
黒岩氏の受賞の理由は、葉緑体とミトコンドリアの増殖と遺伝の基本原理を解明したことでした。植物は無尽蔵の太陽の光エネルギーを使って(光合成)、温暖化の原因となる二酸化炭素を固定して封じ込め、酸素を放出し、糖(食糧)を合成(生産)して、人類をはじめすべての生物の生存を支えてきました。その現場は植物細胞内で分裂・増殖する「葉緑体」です。一方われわれを含めほとんどの生物は植物が作った糖を分解して生命活動のエネルギーとしています。このエネルギー(ATP)生産は細胞内の発電所「ミトコンドリア」で行われます。葉緑体とミトコンドリアは太古の細菌の子孫であり、分裂・増殖、遺伝するが、その仕組みは未解明でした。黒岩氏は「これら生命活動に必須なミトコンドリアと葉緑体の細胞生物学的研究の開拓者であり、これらの分裂・増殖及び遺伝の基本原理を世界で初めて解明したこと、及びシゾン(Cyanidioschyzon merolae)のゲノムを完全解読し、細胞研究に最適な研究システムを構築したことなど」を主要な業績として挙げています。

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