研究の目的と意義

 真核細胞は、原始真核細胞とバクテリアの融合による複膜系オルガネラをもつ細胞システムの誕生、多細胞化をうけた細胞の機能分化と組織化、という2つの飛躍的な「システム進化」を遂げてきた。
 本プロジェクトでは、2度の「システム進化」においてオルガネラが主導的に果した役割を解明することを目的とし、(A)オルガネラの誕生と維持機構の解明、(B)多細胞体制を支えるオルガネラの新機能の解明の2つの主題のもとにグループを組織して研究を行う。
 そして、現在の真核細胞を、異なるシステムの融合と高度化によって成立した階層的超システムと捉え、(A)と(B)を総合した課題の研究によって、オルガネラが超システムの成立をどのように駆動してきたかを明らかにする。多様なモデル生物を用いることで、超システム成立におけるオルガネラの役割の共通性と多様性を追究する。

ミトコンドリア

研究内容

(A)オルガネラの誕生と維持機構の解明 バクテリアと原始真核細胞という全く異なる自立したシステムが融合して、安定的に維持される新しいシステムが構築された。そこで起こった、2つの異なるシステムに由来する要素の機能の変化・消失、新機能の獲得、および、要素間のクロストーク様式の変化などを解明する。
 (A-1)オルガネラ移行シグナルの獲得機構
 (A-2)オルガネラDNAの安定維持機構
 (A-3)葉緑体特異的リボソームタンパク質の機能
 (A-4)オルガネラATP合成酵素の活性調節機構
 (A-5)フリーリビング微生物から共生微生物への進化

葉緑体

(B)多細胞体制を支えるオルガネラの新機能の解明 多細胞化により細胞極性が出現し、細胞の機能分化と組織化が起こった。複膜系オルガネラと単膜系オルガネラ(小胞体、ゴルジ体など)がどのような新機能を獲得することで、真核細胞システムの高度化を駆動したかを解明する。
 (B-1)ミトコンドリアの形態制御機構と、そのアポトーシスや損傷ミトコンドリア排除における役割
 (B-2)始原生殖細胞の分化に重要な母性mRNA翻訳におけるミトコンドリアの機能
 (B-3)接着細胞におけるミトコンドリアを中心としたアポトーシス誘導シグナルの制御
 (B-4)多細胞化に伴う小胞体・ゴルジ体の機能分化の機構
 (B-5)根端分裂組織の幹細胞再生におけるプラスチドの機能

表皮細胞

(A・B共通) オルガネラ関連タンパク質の構造生物学的解析