文明工学領域(科目群)

文明工学領域(科目群)においては、文明社会の深層を規定する欲望と、文化装置、文化現象に関わる問題群を検討の対象とします。

われわれ人間には欲望というものがあります。人間社会において欲望の過多は社会を破壊する危険をはらんでいますが、他方、欲望の抑圧と消滅は経済と文化の停滞を意味することになります。それは、われわれの欲望が、日常生活空間において、経済的かつ文化的な様相のもとに、個人と社会を動かすための不可欠のエネルギー源となっているからです。

その意味で近代文明の歴史は欲望の制御と刺激の歴史だったといえます。大衆化の段階を一度終えて新たな文明段階に入りつつある現在、人間の欲望の問題を私的なレベルの問題として扱うのではなく、文明社会の中心的な問題として扱うことが求められるようになってきました。

欲望は都市を中心に社会組織や文明装置を更新してきました。現代文明は従来にはなかった文化アイテムを生み出しています。また、この新しい文明状況は文化装置や組織が表出するコンテンツにも大きな変化をもたらしました。コンテンツの多様化に伴い表現形式にも大きな変化が見られ、従来にない新しい形式によってしか表現されないコンテンツも登場しています。これらに関わる装置や表現形式も現代文明を理解するためには重要な研究対象です。

文明工学領域(科目群)では、欲望が具体的に現われる場である<文化と経済>、<文化と政治>の問題について身体と消費の視角から通時的、共時的な分析を行うとともに、近代社会が作り上げてきた都市文明に典型的に見られるような、さまざまの文化装置や現象を取り上げ、その実相について具体的かつ詳細に検討することを目的としています。

【研究指導責任教員】
阿部賢一/彦坂尚嘉


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