寄稿
フランス政府留学局 日本支局長
Franck Michelin氏
新鮮な眼で世界を見る
恩師と友人に恵まれた立教時代
日本文部省国費留学生としてパリから来日し、文学研究科・史学専攻で学部から大学院までの4年間、粟屋憲太郎先生のご指導を受けました。日本近代史の研究が僕の目的でした。フランスは大学を含めて個人主義の強い国で、ひとりひとりの権利は大事にされます。但し一人で頑張らなければならない。その一方で日本の大学は、教員や学生との距離感が近い。このことで多くの人間関係に支えられ、どうにか頑張ることができました。しかし来日当初、講義の日本語が僕にとっては、まさに立て板に水のごとく5パーセント理解できたかどうか。という有様で最初は辛かった。ただ立教を去る頃には「あとは草書の文献が読めるようになるといい。」と先生がおっしゃって、それは未だに僕の課題なんです。みんなと同様にカタカナ、漢字混じりの古い文献を読み進めなくてはいけないから必死でした。ずいぶん鍛えられました。実に手応えのある留学でした。
増えていった僕の引き出し
留学を終えたあと僕は筑波大学で国際関係や比較文化について学生に教え、3年間教壇に立ちました。日本語で講義を受けていた僕が、今度は日本語で学生に講義をする機会が与えられ、ここでも立教時代の経験が役に立ってくれました。そして日本の大学とフランスの大学の共通点と違うところを、今度は教える側から経験して、自分の引き出しがさらに増えました。
人生の味付けになった日本との関わり
日本が好きで、リュックサックを背負ってきた初めての旅行から行ったり来たりで20年近くが経ちます。その間、日本との関わりはとぎれることなく、立教時代やそのあとの日本での経験は僕という人間の「人生の皿のスパイス」になってくれました。そして立教時代が良い意味で僕の人生の分岐点になったのは間違いないです。
私の今
筑波を退職後帰国した僕は、フランス外務省の採用を受け在日フランス大使館フランス政府留学局(フランス語でCampus France)の日本支局長として2005年から再び来日しています。事務所ではフランスの高等教育制度・機関の振興活動を行い、日本の学生や大学にフランス留学に関する情報を提供しています。日仏の学術交流の支援のお手伝いと、留学を希望する日本の大学の学生たちの夢が現実になるように、今度は僕が、少しでもお役に立てたらという気持ちでいます。
後輩たちに伝えたいこと
ただ一つ。大学時代は、人生の中でとても大事な時期です。自由に考えることができる間ですから。授業からは、「知識」よりも「疑問点」をたくさん手に入れてください。そして、先入観をできるだけ除いて、世界を新鮮な眼で見てください。
2002年文学研究科史学専攻単位取得退学
(2002年文学研究科史学専攻卒)
-題字は本人直筆-


