寄稿
ドイツ立教会会長
磯 洋子氏
文化とつながる「人」を求めて
入学して間もないころ、キャンパスに咲く八重桜の見事さに圧倒されていた。なにもかも新鮮で自由でそれゆえに身のおきどころがなかったのは、私だけだったろうか。つたの絡まる本館が教室で、ここからほとんどの授業へアクセスしていた。
英文科を選んだのは、残念ながら特にこれといった理由はなかった。母校平安女学院で教鞭をとるのなら「英語」と決めていたことぐらいだろうか。しかし、この決断が今日の私につながっているのは運命としか言いようがない。英文科の4年間で言語を担う文化にふれ、かなたには文化につながる「人」が見えた。必修科目には「文学としての聖書」があり、自分の信仰をかき混ぜることなく客観的に聖書にふれ、そこにまた新たなメッセージを感じられたのは吉田新一先生のおかげである。

ドイツ語は、選択する人が少ないからという理由で決めた第2外国語であった。文IIDで知られるこのクラスは、何につけてもユニークであった。ドイツ語の授業ではドイツ文学者国松孝二先生、ハインリッヒハイネをひも解いて下さった吉井由吉先生にご教授いただいた。しかしドイツ語があまりにもできなくて「ドイツ語は二度とやらない!!」「ドイツには行かない!」と豪語したのに、なぜかそのドイツに在住すること34年。先生方にインプットされた何かがあったのかもしれない。大学やギムナジウムで日本語教育に携わり、2006年からは教材などの執筆・監修のほか新たに可能性を探る未来へとスタートした。まさに大橋総長の言われる「終点なき挑戦」を、卒業して37年たっても続けているわたしはやはり立教人なのだろう。
立教大学では来年「異文化コミュニケーション学部」が新設されるという。これは「文化」「コミュニケーション」を核とするものと理解するが、この基盤は「人」と「ことば」であり、創立以来立教大学に流れる普遍的建学精神の礎なのだ。自然体で世界を羽ばたく学生諸君や校友の皆さんに出会うことをひたすら楽しみにしている昨今である。
(1970年文学部英米文学科卒)
-題字は本人直筆-


