立教大学 文学部・経済学部100周年記念企画 立教人たちの履歴書

寄稿

生命保険コンサルタント

吉田 正博氏

住谷ゼミの思い出
住谷ゼミの思い出

 毎週水曜日の午後3時から始まる住谷一彦先生のゼミを中心に私の大学生活はあった。マックス・ウエーバーの世界的権威であった住谷先生の社会思想史のゼミは2年生から4年生まで行なわれた。4年生の後半から住谷先生がウィーン大学の客員講師として渡欧されたため、卒業論文を締切日の1月と、3月の2回に分割して航空便で郵送した。

 一学年4、5人の少人数のゼミの授業は、タッカーホールの4階の教室で行なわれた。テキストは翻訳本か英語の原書が使われ、原書のときは全員で担当ページを翻訳したものを使った。学生は1週間の間に次の授業で使われる範囲の内容を、各自予め調べておくのだが、これが一苦労であった。今なら、インターネットで検索すれば簡単に調べられるが、当時は図書館に行き経済学辞典・哲学辞典・歴史辞典・人名辞典や語学辞典をはじめありとあらゆる辞典で片っ端からテキストにある単語を調べた。


前列左から2人目(吉田)
後列左から2人目(住谷一彦先生)

 授業はセンテンスごとにどのような内容なのか、著者の考えにそった言葉に翻訳されているかなど、徹底的に読み進んでいく。翻訳本の訳が不適切なこともあるのだから、なかなか授業は進まない。ひどいときは、3時から7時までの4時間で1行半すすんだだけでその日のゼミが終わったこともあった。私の学生時代での一番の収穫は、このとことん納得するまで、物事を調べ追求するという経験である。

 ゼミの授業が終わると、全員で街に繰り出し、夕食をとった。

 池袋周辺の飲食店だけでなく、ワイン好きの先生がひいきにしていた六本木にあるワインレストランまでしばしば足をのばし、先生やゼミの学生との楽しい時間を過ごした。あるとき池袋の路上で、お酒が入って上機嫌になった住谷先生が、反対側にいた経済原論の川鍋先生となにやらドイツ語で怒鳴りあっていたことがあった。このお元気な住谷先生の姿が印象的で、今でも懐かしく思い出される。

(1976年経済学部経済学科卒)
-題字は本人直筆-

2008-01-03 |
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