講演会レポート

(掲載日2011.12.22)

しょうがい学生支援室主催 講演会

「心のバリアフリーを目指して―目が見えなくなって気づいたこと―」

日時 2011年11月29日(火) 17:00~18:30
会場 新座キャンパス 7号館3階アカデミックホール
講演者 宮川 豊史 氏(1995年法学部卒、東久留米市市議会議員)
  • レポーター:コミュニティ福祉学部福祉学科4年次 栁 里佳

学生レポート

宮川 豊史 氏

今回講演をしてくださったのは、現在、東久留米市市議会議員としてご活躍中で、視覚しょうがいを持つ宮川豊史さんです。立教大学を卒業された、私たちの先輩でもあります。ご自身の目が見えなくなった経緯から、現在までの経験談とそれらから感じたことをお話ししてくださいました。

宮川さんは高校1年生の時の部活動中、目に違和感を覚え検査を受けたところ網膜剥離と診断され、その後、徐々に視力を失っていきました。視力喪失のショックで3カ月間高校を休んだそうです。しかし、その間に「学校へもう一度行きたい」と思うようになり、高校へ戻り、再び高校生活を送られました。盲学校に通うのではなく、同じ学校に通えたことが、宮川さんにとっては大きな救いだったそうです。しょうがいを持つと、盲学校、特別支援学校などのように、しょうがいを持たない子どもとは別の学校に通うことが圧倒的に多い傾向が現在の日本にはあります。しかし宮川さんは、「結局大人になったら同じ社会で暮らすのだから、学校を分けるのではなく、子どもの頃から同じ環境で学べた方がいい」とおっしゃっていました。しょうがいのある子どもはしょうがいのない子どもとは別の学校で育てられ、いわば“籠の中の鳥”になってしまいます。そうではなく、“みんなと同じ社会で生きる”ことが、しょうがいのある子どもにとっても、そしてしょうがいのない子どもにとっても、お互いがかかわり合うためには大切なことなのだと思いました。

立教大学に入学してからも、周りの人たちのサポートのおかげで嫌な思いをすることもなく、生活を送ることができたそうです。例えば、ゼミの課題で本を読む時には、同級生がその本の内容をテープに吹き込んでくれ、それを聞いて本を読んだり… 必ず誰かが手助けをしてくれ、宮川さんの大学生活を支えてくれたそうです。しょうがいを持ったとしても、周りの人々の対応により、社会の中で生活していくことができるのだから、周りの人々の理解・協力がいかに大切であるかと、強く感じたエピソードでした。

また、宮川さんはアメリカの大学への留学を経験されました。そこで得たものは、宮川さんにとって日本では経験できない非常に大きなものであり、特にアメリカで最も感じたのは、「人と人の間の壁(バリア)のなさ」だったそうです。日本とアメリカはハード面(施設や設備面)に違いはなく、むしろ日本の方が技術の高い、バリアフリーな施設・設備ですが、両国の大きな違いは、“心の部分(ソフト面)”だったそうです。つまり、「心の部分を表に出しやすい環境かどうか」ということ。日本人もアメリカ人も、心に持っている優しさは同じ。しかしそれを堂々と振る舞える・言えるという部分ではアメリカの方が上だと感じたそうです。それを踏まえ、最後に宮川さんがお話ししてくださった、日本での経験談が私の心に響きました。ある日、宮川さんが電車内で立っていた時、派手で一見真面目そうではない(と思われる)若い男性が、「席が空いているので座ってください」と声を掛けてくれたそうです。宮川さんがお礼を言うと、「こういうのって、偽善者っぽくて嫌なんですよね」と彼は言ったそうです。

日本では優しい行為をすることが“偽善”のように扱われる考え方が今でもあります。それが日本人特有の心のバリアであり、人前で優しい行為をすることへの戸惑いやためらいにつながっているのです。それを、「日本人の文化なのだから仕方ない」という考えにするのはもうやめて、意識を転換させるべき時が来ているのだと思います。一人ひとりが心に持っている自分の優しさを外に出していけば、もっと人と人の間にバリアのない、暮らしやすい社会になるのではないでしょうか。宮川さんは、「心のバリアをなくすほど、幸せを感じることができる」とおっしゃっていました。一人ひとりが幸せを感じながら暮らしていくための“心のバリアフリー”を進めていくべきだと感じました。

当日は、聴覚にしょうがいがある方へのサポートとして”パソコンテイク”が行われました。

講演会全体の様子

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