(掲載日2010.01.19)
連続公開シンポジウム
| 日時 | 2009年11月14日(土)14:00~16:00 |
| 会場 | 池袋キャンパス 5号館5121教室 |
| 講演者 | 杉本 博司 氏(現代美術作家) |
| 主催 | 文学部 |
今日は珍しいものを持ってきました。サハラ砂漠で発掘された22万年前の石器です。アートの起源と意識の起源は時期を同じくしているのではないかと考えていますが、この石器が使われた旧石器時代がちょうどその頃にあたります。世界があって自分がある、自分とは何だろう、と意識し、道具を使って世界に働きかける。つまり道具の発生と意識の発生は同時に起こっているわけです。
持ってみると、手にしっくりとなじむので驚きます。皮膚感覚から、22万年前の人間の意識が染み込んでくるようです。そこから20万年ほど後の新石器時代の石器も、旧石器のものと比べてかなり薄くなっていますが、実によく手になじむ。こうして古いものを体感することによって、自分の血の中に流れている人類の歴史が思い出されるような気がします。
古代人と現代の自分とが共有できるようなイメージ、ビジョンはないものだろうか……。そう考えて行き着いたところが海です。地上はすべて人間が手を尽くし、壊してしまった。でも、海の景色だけは数十万年前と比べてもそれほど変わっていないのではないか。そこで1980年に「海景」(Sea Scapes)シリーズを撮り始めました。