講演会レポート

(掲載日2005.06.02)

公開講演会

第6回 法務研究科特別セミナー 「敵対的企業買収と防衛戦略~M&Aの観点からの会社法の考察~」

日時 2005年6月2日(木曜日)18時30分~20時30分
会場 立教大学池袋キャンパス11号館地下1階 AB01教室
講演者 太田 洋氏 (弁護士・西村ときわ法律事務所)
松古 樹美氏(野村證券株式会社)
松井 秀征 (本学法務研究科・法学部助教授)
司会 早川 吉尚(本学法務研究科・法学部教授)
  • レポーター:上田 啓子(法務研究科2年次)

「敵対的企業買収と防衛戦略~M&Aの観点からの会社法の考察~」

今春、ニッポン放送株を巡るライブドアとフジテレビの攻防がマスコミを通じて巷をにぎわせた。これを契機として、2005年6月2日、「敵対的企業買収と防衛戦略~M&Aの観点からの会社法の考察~」という表題の特別セミナーが開催された。M&A問題を専門とする研究者、これを日常業務とする実務家を招いての充実した講演会であった。
 まず、松井助教授からわが国における敵対的企業買収の現況とニッポン放送株をめぐる諸問題についての解説がなされた。その中で、ニッポン放送株問題により、敵対的企業買収の局面におけるわが国の法制度の不備が顕在化したことが指摘された。立会外取引に対する証券取引法の「穴」については、直ちに法改正による手当がなされたが、ニッポン放送株における高裁決定によれば、買収に着手され大部分の株式を買い占められた後では、買収を防ぐ手立てはほとんどないことから、敵対的企業買収に対する対抗策としては平時における対抗策が重要であるとのことであった。
 続いて行われたパネルディスカッションでは、まず、「会社は誰のものか?」という根源的な問題が司会の早川教授から提起された。この点、パネリストの先生方からは、会社は、株主利益の最大化を図ることが求められるが、そのためには、そこで働く従業員の労働に対するインセンティブを高める必要がある。したがって、従業員の利益と株主の利益とは通常一致するものであり、敵対的企業買収の側面においても従業員の利益が判断要素に加えられる必要があるという趣旨のご発言もあった。

したがって、ニッポン放送株問題におけるフジテレビへの新株予約権発行差止めが認められた高裁決定は、結論から言えば妥当ということになりえよう。攻防戦が繰り広げられていた頃は、フジテレビに勝算ありというのが大勢だったと記憶するが、理論的にはライブドアに勝算ありだったということであろうか。ここで重要なことは、株主とそれ以外のステークホルダーとの間のどこに調和点を見出すかという点である。この点、官がガイドラインを作って企業の対応策の指針を示しているのが現状であるが、そこまで世話を焼く必要があるのだろうかという意見も出された。しかし、企業の経営者としては、本来会社にとって必要か否かにかかわらず、なすべきことをしなかったとして責任追及されることを避けるためには防衛策を講じることが必要となろう。過剰な防衛策を避けるためにはある程度のガイドラインは必要だ、というのが企業で法人向けコンサルティングをしてきた私の感想である。
経営者、株主、従業員、さまざまなステークホルダー。立場の異なる人の利害が対立し、情報が錯綜する。それにいかに対処するか、まさに生きる教材だった。最後には参加者との質疑応答も活発にやりとりされ、終了を惜しみつつ幕を閉じた。

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