(掲載日2010.02.10)
レポーター : 文学部文学科日本文学専修2年次 堀越 萌由子
「職業と人文学」は、キャリアデザインというよりも、「自分」とその「生き方」を考えるための授業で、毎回お招きしたゲストスピーカーから貴重なお話を伺うことができる。
磯崎憲一郎氏
これまで、ミュージシャンのサエキけんぞうさんや、本学職員の松島理恵さん・佐藤一宏さん、『AERA』編集長の尾木和宏さんなどをお招きしたが、ここでは2009年『終の住処』で芥川賞を受賞された磯崎憲一郎さんのお話をレポートする。
「人間は何でできているか」という問いに対して
簡単な自己紹介が済んだ後、磯崎さんは「人間は何でできているか」「自分は何でできているか」という単刀直入な質問を私たちに投げかけた。「水」「思い出」…など、さまざまな意見が会場より挙がったが、正答はないとしつつも、磯崎さん自身の答えは「過去」であった。人間(自分)は過去でできていて、死後残るものもそれであり、小説の土台にもなっているという。また、小説家という「職業」について、小説は現実世界を切り取ったものと思われがちだが、むしろ世界を先導していく存在であって、そんな小説を書くことは自分の天職であると考えている、とのことであった。
満員の教室
毎回のゲストスピーカーはまったく異なる分野の方々だが、共通しているのは「自分の生き方」を持ち、それを遂行しているという点だ。「これが私の生き方」と思っても、お話を伺うごとに「確かにそうだな」、「いや、それはどうかな」「そういうのもありかも」とかなり動揺させられ、「どうして『私』はそう思ったのか」「『私』とは何か」という問いを突き付けられる。すでに「自分の生き方」がある程度確立しているという人も、ゲストスピーカーのお話に動じないでいられるか、試してみるだけでも価値があると思う。
講義後も質問に気さくに答えていただきました
| 取材日 | 2009/12/08(火) |
| 教室 | タッカーホール |
■授業の目標
人文学本来の学びの中で、個々の目標を問い、学問の意味や目的を明確にしながら、じぶんで人生設計し、キャリアをデザインすることが目標です。
■授業の内容
もともと「汝自身を知ること」が人文学の永遠の主題です。どんな時代や文化であろうと、全ての人間が必ず「おのれとその生き方」を追求しました。しかも、その答えが個人個人で違う点こそが、他の学問と異なって、人文学の真髄なのです。
この授業は、職業教育ではありません。将来の人生設計を念頭に置きながら、「じぶんはいったい何者なのか」「人と共に生きるとは何なのか」「じぶんの人生全体で探求したいテーマは何か」といったことを考えるヒントを与えることが目標です。基本はじぶんで考えることです。
■授業計画
今の自分のおかれている学びの環境を念頭に置きながら、実際に社会で活躍しているゲスト講師の姿を知ることで、専門授業への意欲向上を目指します。職業活動に見られる人文学的な要素を探り、自分の目指すべき学問の方向性や、社会との関係から逆に見えてくる人文学の意味を考えてみましょう。そして人文学と社会的活動との接点をおのおので考えるようにしてください。授業計画等の詳細は第1回授業時に示しますので、必ず出席してください。なお、本授業ではビジネスデザイン研究科小島貴子特任准教授およびコオプ教育・インターンシップオフィス(現コオプ教育オフィス)の市川照代氏に共同担当をお願いしています。