(掲載日2010.02.03)
レポーター : 21世紀社会デザイン研究科博士課程前期課程1年次 勝田祥子
北山晴一教授
「親密社会」、そして「親密空間」、どちらも、わかりそうでわからないことば。でも、「わかりそうでわからないこと」について多くの人が話題を持って集まるとき、人間の思考の幅広さに感動し、刺激を受ける。それが、「わたし」に新しい幅を与えるのだと思う。
授業の目的は、「人間関係の問題を<親密空間に発生する諸問題>として統一的に扱うこと」だと書かれている。理由は、近代社会の規範がもっとも熾烈に貫徹してきたのが「親密空間」であり、規範がドラスティックな異議申し立てを受けてきたのも、この「親密空間」だからだという。
授業の様子
授業では毎週2-3名が「親密空間」について自身の興味、研究分野を通して15分ほどの発表を行う。その後、議論が行われ、最後に北山教授からの議論を総括してのコメントと発表者に対してのアドバイスがなされる。
学生による発表
「宮廷社会における儀礼の意味」、「過労死」、「愛情に基づく暴力問題」、「親密空間とケンカ」、「日本語と親密社会について(敬語、位相)」、「舞台と能などからみる身体のメディア化」、「茶の湯 居心地と型」、「空間と場所は同じか」、「都市公園の親密性」、「公共の場における親密空間(ホームレス)」、「マイノリティの内輪意識、沖縄と沖縄口」など、これまでどれも刺激的な発表が行われた。
報告についての意見交換
今週のテーマは、「学校」、「トイレ」、「ファッション」が取り挙げられた。では、どのような議論がなされたか。「学校」を例に挙げると…学校の中にある施設(職員室、教室、トイレ、指導室など)はどのような空間か、人間関係(生徒、職員、保護者、卒業生など)はどのような空間を生み出すか、など。発表者は、教員希望の学生だった。研究科のおもしろさは、さまざまな人生経験を持った人が在籍していて、実体験に根ざしたユニークな提案や質問が活発に飛び交うところ。この授業でも、教員経験者、職員経験者からのするどい指摘や、提案がなされた。他の受講生も含め、学校における親密空間とはなにかについてより広い視点から議論がなされた。
最後に一言でこの授業を言い表せていただくならば、「ものごとを多面的に考える楽しさがほんとうに実感できる授業」だということ。
| 取材日 | 2009/12/11(金)18:30~20:00 |
| 教室 | 池袋キャンパス 11号館A101教室 |
■ねらい・授業内容
親子、男女、夫婦、恋人関係、家族、学校、地域などにおける人間関係の問題を<親密空間に発生する諸問題>として統一的に理解することをめざす。こうした統一的な理解が何故必要かといえば、近代社会の依ってたつ社会規範がもっとも熾烈なかたちで貫徹してきたのがここでいう<親密空間>においてであり、同時にまた、ここ半世紀の間の激しく異議申し立ての中で急速に脆弱化してきたのも、まさしくこの<親密空間>においてだったからである。こうした<親密空間に発生する諸問題>に対する統一的な理解をすすめることによって、性、ジェンダー、身体、生と死、家族、人口、教育、地域社会学などの分野で個別的に行われてきた研究を統合し、21世紀の社会組織の方向性、すなわち「21世紀の社会デザイン」を描くためのヒントがいくらかでも見えてくるのではないか、そうした期待感のもとに、議論がすすめられれば幸いである。
■授業計画
授業の中では下記の項目を扱いたいが、受講者のみなさんの反応を確認しながら話の順番を適宜組み替えることもある。授業の進めかたは、適宜、指定テキストの講読を狂言回しにつかいながらも、受講生のみなさんの個別発表と教室での議論を重視したい。
1.なぜ親密空間の研究が必要か
(1)親密空間とは何か
(2)ミクロな親密空間
(3)マクロな親密空間
(4)親密社会論の広がり
2.親密社会論と現代社会
(1)親密社会論と家族問題
(2)親密社会論と性・ジェンダー
(3)親密社会論と消費
(4)親密社会論と主体
(5)親密社会論とQOL
3.親密社会論と公共性の議論
(1)親密空間と「法」
(2)親密社会論と人口動態
4.親密社会論と21世紀の社会デザイン