(掲載日2010.1.12)
レポーター : 現代心理学部映像身体学科3年次 西倉 茜
香山 リカ教授
アーティストとその作品を、美術的立場から分析するのではなく、病跡学の立場からとらえ直すと新たな作品の見方ができます。
「アウトサイダー・アート」とは、美術教育を受けていない者の作品を指す言葉で、精神病患者の作品のことをいう場合が多いです。彼らの作品は独特で一見すると理解しがたく、これまで美術家にとっては作品とすら見られてきませんでした。しかしフランス画家のジャン・デュビュッフェがこれらを賞賛したことで一転して価値が高まり、さまざまな画家にも影響を与えるようにもなりました。今では世界中で人気が高まり、展覧会も開催されるようになっています。
アウトサイダーの条件としては、美術教育を受けていないこと、芸術の流行に影響を受けていないこと、更に名声を得ることを求めてはいけないこと、とされています。結果として、精神病患者の作品に多く発見されることになりました。
しかし人気が高まるにつれて、「アウトサイダー・アート」と「アート」の境目が曖昧になっていきます。有名になればなるほど、利益が生まれてしまうからです。とはいえ、彼らは自発的に制作しているし、訓練だって受けていません。見方を変えれば、「アウトサイダー・アート」か「アート」かという分類も変えられるのです。
外れ者と認識されてきたアウトサイダーですが、今やその存在は芸術の世界に大きな影響を与えています。絵を描くことが仕事になると、自分の本当の表現したいことが出せなくなることもあります。認められるために、正規の教育を受け、依頼通りの仕事をする。受け手側の要望に合わせなければならなくなります。しかし本来、アーティストは自発的に表現しなければなりません。この授業でアーティストの存在を改めて考えさせられました。
| 取材日 | 2009年12月7日(月) 10:40~12:10 |
| 教室 | 新座キャンパス 3号館N312教室 |
■授業の目標
著名な芸術家や表現者を病跡学的な観点からとらえ直してみる。
■授業の内容
精神医学における病跡学の方法論について簡単に紹介し、それを用いて芸術家や表現者に新たな光を当ててみる。アウトサイダー・アートについての紹介も行う。
■授業計画
取り上げる予定の芸術家、表現者(順不同)
ファン・ゴッホ
カスパー・フリードリヒ
エドヴァルド・ムンク
太宰治
三島由紀夫
尾崎豊
アンディ・ウォーホル
ルードヴィヒ・ウィトゲンシュタイン
アウトサイダーアーティストたち
ヘンリー・ダーガー
マッジ・ギル など