(掲載日2009.09.01)
レポーター : 法務研究科3年次 小高未来
民事模擬裁判では、ある事件について、事前に配布された資料を元に、各学生が裁判官、原告代理人、被告代理人、原告本人、被告証人役に分かれて、裁判の流れを自分たちで実践する授業です。
具体的には、事件の争点はどこにあるのかを決定するための争点整理、本人尋問や証人尋問、和解の試み、判決言い渡しという流れで進んでいきます。
裁判官は、事前の争点整理、証人尋問の訴訟指揮を行い、最後には判決を下します。原告・被告代理人は、原告や被告から事前に事情聴取を行い、それぞれの主張が認められるような証人尋問を行ったり、主張書面を提出し、和解に臨んだりしていきます。原告・被告は、それぞれの言い分が記載された資料を元に事情聴取に応じ、証人尋問では相手方からの厳しい反対尋問に臨むこととなります。
私は今回、裁判官役となり、初日に行われる争点整理の進行を担当しました。裁判官としては、「判決を書くにはどのような事実が必要か」ということを常に意識して争点整理や証人尋問を進行していきました。代理人から異議が出た時に、どのように対処すべきか、どうすれば公平なのか、法律に書かれていない部分での裁判官としての対応に一番苦労しました。
被告代理人からの尋問の様子
撮影日である8月7日には、被告である信用金庫の担当者を証人として、証人尋問が行われました。相手がどのような質問をするかによって対応を変えなければならない反対尋問は真剣勝負そのもので、相手からも次々に質問に対して異議が出されます。異議を審理し、尋問を進めていくのが裁判官の重要な任務です。また、尋問を受ける証人も、証人尋問での一言が勝敗を大きく左右する可能性があるため、慎重に言葉を選びながら答えていかなければならず、張りつめた空気が漂う一日となりました。翌日の証人尋問では尋問時間をめぐって意見が衝突し、裁判官としては、円滑な訴訟の進行と当事者間の公平とのバランスをとることの難しさを痛感することとなりました。
原告代理人からの尋問の様子
民事模擬裁判では、普段、教科書を読むだけではなかなか理解することができない細かい手続きや、民事裁判の流れについて、しっかりと身につけることができます。また、手続きだけでなく、主張すべきこと、立証すべきことを考える際には民法や民事訴訟法についての知識が不可欠となるので、それぞれが知識不足を痛感することとなります。他方で、実務に就いた後の仕事を具体的に想像することができるため、今まで以上に法曹という仕事への思いを膨らますことができます。この二つのことが、今後より一層勉強に励むためのエネルギーとなっていくことと思います。
写真手前から法務講師の佐藤雅彦先生、川添利賢教授、 吉野高教授、法務講師 石塚健一郎先生
| 取材日 | 2009年8月10日(金)15:00~ |
| 教室 | 池袋キャンパス A101教室 |
■科目のねらい
学生に、裁判官、当事者双方代理人、本人、証人などの役割を与え、訴訟代理人による具体的尋問を実施し、立証活動及び尋問の事前準備についての理解を深めさせるとともに、尋問技術の習得を図ることを目的とする。あわせて、裁判官の交互尋問の進め方や補充尋問・介入尋問、異議の処理などの訴訟指揮、判決の基礎となる事実認定等についても体得させることによって、適切な尋問期日の進行(訴訟運営)や事実認定のあり方についても研究させる。
講評は、実務家教員が尋問の問題点や全体の感想などを指摘し、学生に対して多面的かつ的確な指導を行う。